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2018年01月08日

『ベロニカとの記憶』リテーシュ・バトラ監督インタビュー「人生で二度目のチャンスを与えるということ」

『ベロニカとの記憶』リテーシュ・バトラ監督インタビュー「人生で二度目のチャンスを与えるということ」




1月20日(土)公開の映画『ベロニカとの記憶』のメガホンをとった、リテーシュ・バトラ監督のインタビューがシネマズby松竹に到着した。

このニュースのポイント

・NYで行われたリテーシュ・バトラ監督のインタビューが到着
・女優に関する質問など、シネマズby松竹独占の内容もふんだんに紹介する

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──前作『めぐり逢わせのお弁当』は日本でも大ヒットしました。多くの日本人に映画が受け入れられたことについて、どう思われますか。

リテーシュ・バトラ監督(以下、監督):すごくうれしい。僕自身、日本に行くのが大好きだしね。

日本には1週間ほどいたんだけど、本当に楽しかったんだ。その時感じたのは、日本の文化には、ノスタルジアを愛する心があるということ。過去を愛おしく思い、大事にする心があると思った。同時に最新の近代的な世界へ向かう動きも共存しているけどね。

でも、僕は、日本にはすごくノスタルジックなところがあって、ものすごく共感できた。だから、日本で映画がヒットしてすごくうれしかった。

──インド、イギリス、アメリカと、色々な国で映画監督をされていますが、活躍の場が広がっていることについて、いかがでしょうか。




監督:僕自身色々な場所に行くのが好きなんだ。色々な場所で、物語を語りたいと思っている。

それに、人間の経験には、場所や文化を超えた普遍的なものが存在するはずだと思っている。人間の核にあるものは全て同じだと信じているんだ。だから映画も、文学も、世界中で受け入れられるのだと思う。監督や作家が世界を飛び回って仕事しても不思議ではない。

ただ、僕は自分がさまざまな国で仕事できて、さまざまな国のキャラクターを描けてすごくラッキーだと思っている。

──原作小説「終わりの感覚」は、トニーの一人称で語られています。この小説を映画化するにあたり、大切にした点、苦労した点など教えてください。




監督:僕は、映画でもトニーの一人称で、彼の視点を中心に描いたつもりなんだ。それから、脚本は元々素晴らしかったんだけど、僕がこだわったのは、それをさらに編集して可能な限りミニマルにするということ。だからかなり多くを削除していったんだ。

僕は、可能な限りミニマルに描くのが好きだからね。そうすることで、観客が自分の考えを巡らす余裕ができる。観客が映画を観ながら、自分の人生が投影できる余裕をもたせたかったんだよね。

──ベロニカを演じた女優ふたり、シャーロット・ランプリング、フレイア・メーバーについてお聞かせ下さい。




監督:シャーロット・ランプリングの演じたベロニカのキャラクターは、映画の中では、小説よりも悲劇的には描いていない。というのも、僕は、彼女はトニーよりもある意味よりよい人生を送ったと思ったからね。この映画の中に登場する女性達は、男性よりも、強くて、人生が何たるかをより理解している人達だ。

だから、シャーロットのような女優はぴったりだったんだ。なぜなら彼女は映画の中では、悲劇的な役を演じたことが多かったから。でも、だからこそそれを重く背負い過ぎない感じで演じてくれると思った。実際、完璧だった。彼女は、役を演じながら真実を探求し続けるタイプの女優だった。本当に偉大な俳優だけが持っている才能を持った人だと思ったよ。




フレイア・メーバーも素晴らしい女優だった。すごく細かいところに拘った演技ができる人だった。また彼女と仕事したいと思う。真実は何なのかを探求し、常に予期してないようなことをしてくれる女優だった。

彼女と若き日のジムを演じたビリー・ハウルとのコラボレーションはすごく楽しかった。それからミシェル・ドッカリーの役は原作にはなかったんだけど、ポジティブな役柄で、映画に必要な素晴らしい要素を彼女がもたらしてくれたと思う。彼女は仕事しやすい女優だったしね。彼女の演技が、非常に新鮮な空気を映画にもたらしてくれたと思う。彼女は10日しか撮影に参加しなかったけど、ジム・ブロードベントとの相性も素晴らしかった。それはスクリーンで見てみても分かるんじゃないかと思う。

ベテランの女優がいて、ミシェルのような女優がいて、すごく若い女優がいて、3世代の女優とそれぞれ違う方法でコミュニケーションしながら、監督したことで、学べたことがすごく大きかった。

──映画の感想は人それぞれですが、本音として監督は観客にどう感じてほしいですか。




監督:人生はやり直しができるんだ、ということについて考えてみてもらいたい。それから、人生で、それまで自分が思っていたことが、全く違うものに見えることがあるかもしれないということ。

この映画に登場する主人公には、どんなに小さい役にでもそれぞれにそれぞれの人生を映し出してみたつもりだ。観客の皆さんが何からの形で、自分の人生と重ねてくれたらうれしい。

──次回作の企画、構想等、教えていただけますか。

監督:ボンベイで『Photograph』という映画を撮り終えたばかりなんだ。僕自身が脚本を書いた作品で、『めぐり逢わせのお弁当』と同じキャストと再会している。だから、すごく楽しかった。それに、ボンベイでどうしてもまた撮影したかったしね。内容は全く違うけど、2作には、何かしら共通する雰囲気があるかもしれない。これから編集して2018年には公開したいと思っている。

それから今、ある本を元に自分で脚本を書いているところなんだ。まだタイトルは言えないけど。今は、自分の書いた脚本を監督するのが大事なように思える。今後は、そうするつもりなんだ。

──1月20日(土)より、日本でも公開を迎えます。日本の映画ファンにメッセージをお願いします。




監督:この映画を作っている時、僕が大事だと思っていたのは、人生で二度目のチャンス、やり直しを与えるということ。それから、人生についてある見方をしていたものが、あることによって、それを全く違う方向から見なくてはいけなくなってしまうこと。つまり、もうひとつの真実があったことを知るということ。だから、撮影している時に、それを自分の人生に置き換えて考えていた。

もちろん、日本の観客の皆さんがこの映画を見て、何を感じてくれるかは自由です。でも、楽しんで見てもらえたらうれしい。実際の人生は、映画のようにいかないことも多いけれど(笑)。

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