2018年01月21日

共感できる?『伊藤くん A to E』岡田将生演じる“伊藤くん”のクズ男ぶりと5人のダメ女たち

共感できる?『伊藤くん A to E』岡田将生演じる“伊藤くん”のクズ男ぶりと5人のダメ女たち




現在、劇場上映中の『伊藤くん A to E』。もうご覧になられましたか。

木村文乃さん、岡田将生さんのW主演で、小説家・柚木麻子さんの原作をもとに映画化された本作。今回の「シネマズ女子部」では、岡田将生さん演じる“伊藤くん”のクズっぷりを中心に作品の見どころをご紹介します。

『伊藤くん A to E』のあらすじ





脚本家として一度は有名になったものの、ある出来事から新作が書けていない矢崎(木村文乃)と、矢崎が講師を務めるシナリオスクールの生徒で、容姿端麗、自意識過剰な伊藤くん(岡田将生)。

矢崎は、自身の講演会に参加した女性の中から4名を選び、恋愛相談を受けながらリアルな女性を中心にした脚本執筆をはじめます。

一見、うまくいっているように見えていましたが…、伊藤くんも矢崎と同じように、自分と接点をもった女性を中心とした脚本を持ち込んでいたのでした。

“伊藤くん”のクズっぷりがやばい『伊藤くん A to E』


伊藤くん × A(佐々木希)





5年間、伊藤くんと付き合っていたと思い込んでいる智美を演じたのは佐々木希さん。才色兼備で、アパレル系の仕事をしています。

そんな智美に対して、「大切にしたいから」と謎の説得をして、自分に指1本触れさせない伊藤くん。追いかける智美を何度も振り切る様子もありました。さらに、マインドコントロールされそうな教室に通うための20万円をそれとなく催促する様子も、かなりいやらしかったです。

伊藤くん × B(志田未来)





登場するAからEまでの女性のなかで、もっとも地味な修子を演じた志田未来さん。志田さんの可愛らしさは封印して、夢や恋を諦めきっている女性を演じました。

そんな修子には、伊藤くんはグイグイと近づいていきます。ほんとうに好きな人を見つけたと、智美に話すほど。修子が好きだというグミをプレゼントしたり、修子の家の近くで待ち伏せをしていたりとアプローチしていました。

高身長な岡田将生さんとの志田さんの身長差を埋めるために、伊藤くんが身をかがめたり目線を合わせたりする様子は、ほかの女性陣との間には見られないポイントかもしれません。

伊藤くん × C(池田エライザ)





ほかの女性陣と比べて、色気たっぷりの聡子を演じたのは、実年齢としては最年少の池田エライザさん。

ここでは、伊藤くんのバカっぷり、ヘタレっぷりが際立ちました。一見、聡子に対して心を解放したようにも見えましたが、その斜め上を行く聡子の行動に、伊藤くんは理解できていない様子でした。

伊藤くん × D(夏帆)





聡子と中学時代からの親友で、大学生のときから3年間、伊藤くんに片思いをしている、大学院生の実希を演じたのは夏帆さん。

あくまで後輩として実希と接する伊藤くんの軽い気持ちと、3年間片思いをしている実希の気持ちとが相入れることはありませんでした。AからEの女性それぞれの要素を併せ持っているのが伊藤くんですが、実希に似ていると感じる人も多い気がします。言い換えれば、それだけ実希にクズっぽさがあるのですが。

筆者としては、映画『天然コケッコー』(2007)コンビ、久しぶり! と嬉しくなりましたが、約10年を経てかなりオトナになっている2人に、ニヤっとしてしまいます。とはいえストーリー上は全然オトナでないふたりなので、そのギャップもまた面白いです。

伊藤くん × E(木村文乃)


AからDまでの女性は、木村文乃さん演じる矢崎の脚本にも登場しますが、“E”である矢崎が登場するのは、伊藤くんの脚本のみ。
映画のなかに伊藤くんの脚本それ自体は登場しませんが、Eの矢崎に対してどう思っていたのか、伊藤くんの目にはどんな女性に映っていたか、クライマックスの場面で明かされます。これは、長尺でかなり見応えがありました。

この場面で明かされる伊藤くんの想いも、「そういうことだったのか」と思わせてくれる説得力があります。最後の場面を踏まえると、むしろ伊藤くんに共感する人も多いかもしれません。

忘れてはいけない!『伊藤くん A to E』2人のクズ男子


作品全体を通じて、伊藤くんのクズっぷり、”痛い"部分に目を向けがちですが、実は他にも、クズな男性キャラクターも見逃せません。

ドラマプロデューサー・田村(田中圭)





ドラマプロデューサーを務める田村を演じた田中圭さん。矢崎の元カレで、矢崎が脚本を書けなくなった原因をつくった張本人です。

仕事ができて優しそう、矢崎想いなキャラクターにも見えますが、最後まで観終わっても、かなりクズな印象をいだきます。

仕事においても、プライベートな人間関係においても、ハッキリしないところが観ていてイライラしました。映画では、まだ本性は隠されているような印象を受けたので、次から次へといろいろなエピソードが出てきそうなキャラクターです。

売れっ子脚本家・久住(中村倫也)





大学生のころから売れっ子の脚本家として活躍する久住健太郎こと、“クズケン”。愛称から、そのキャラクターが読めそうな気もしますが、実希に片思いをしていて、こじれた部分も持っています。

師匠だと感じている矢崎に対して、明るくふるまっている様子もあれば、終盤ではその矢崎につっかかる場面もあって、心や視野の狭さを感じるタイプの人でもありました。

“伊藤くん”のクズさが際立つけれど、共感できる!


岡田将生さん演じる伊藤くんのクズさ、痛い部分は確かに際立っていますが、最後まで観終わると、ただそれだけで語れるキャラクターではないとわかります。

どこか、共感して憎みきれない部分もあるのが、伊藤くんの不思議な魅力です。

一方で、最後に紹介した田村やクズケンは、共感しづらい、根っからのクズタイプ。とはいえ、それぞれに抱える想いがあることも垣間見ることができます。

女性もAからEとポップに区画されていますが、ひとりひとりを見つめると、観る人によってそれぞれに共感できる部分もあるはずです。

(文:kamito努)

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(C)「伊藤くん A to E」製作委員会

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