映画コラム
コインチェック騒動の“予期”は、映画『マネー・ショート』を彷彿とさせる
コインチェック騒動の“予期”は、映画『マネー・ショート』を彷彿とさせる
(C)2015 PARAMOUNT PICTURES. ALL RIGHTS RESERVED.
ビットコインを始めとした仮想通貨が徐々に浸透する昨今。そんな中2018年1月26日に、仮想通貨の一種であるネムが約580億円分流出する被害が発生しました。事態は流動的ではありますが、2018年1月27日夜、日本円での返金の意思が示され少し騒動は収束に入ってきているようです。
http://corporate.coincheck.com/2018/01/28/30.html
※2018年1月28日夜現在の状況であり、今後も変化する可能性があります。
本騒動ですが、予期する書き込みもあったようで何事もそれを予期する人はいるのだなと思いました。
コインチェックの不正流出事件予言してる人いたけど凄すぎる❗️
見抜く力ってやっぱり大切なんだね。 pic.twitter.com/m4GBlxPzWR
— たけし (@takesisensei) 2018年1月26日
※匿名の書き込みのため真意についての確実な見解は出ておりません。
この予期の話題を見て、映画『マネー・ショート 華麗なる大逆転』をすぐに思い出しましたので、この映画をご紹介します。
『マネー・ショート 華麗なる大逆転』とは?
第88回アカデミー賞で脚色賞を受賞した本作。
簡単に言うと、
「リーマンショックの裏側、サブプライムローンの破綻をいち早く予見し、ウォール街を出し抜いた4人の男たちの実話」
つまりリーマンショックのお話。しかし、多くの人が損をしてしまったそのショックで逆に儲けた人たちの話です。
金融の話でアカデミー賞まで獲ってるので難しく思われますが…何とこの映画はコメディです。
2008年の住宅ローン破綻からの市場崩壊(リーマンショック)を描いているので金融を扱ってはいるのですが、大爆笑の金融用語説明シーンを伴って、誰にでもわかりやすくリーマンショックの原因を描いていきます。
とは言ってもリーマン・ブラザーズの倒産がクライマックスの作品なのでシリアスさもあります。シリアスとコミカルが見事に融合し、心の奥底に「今ブームのものはあくまでもバブルで、それはいつか崩壊するかもしれない」という疑心暗鬼を植え付けられます。
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3つの物語が同時進行、しかし…!
この映画では3つの物語が同時進行。リーマンショックまで2年あまりを、それぞれの立場から予期し行動していきます。
1:クリスチャン・ベイル演じるマイケル・バーリの物語
=アメリカ・サンノゼに拠点を置く元神経科医の資産運用家
2:スティーブ・カレル演じるマーク・バウムとライアン・ゴズリング演じるジャレド・ベネットのチームの物語
=モルガン・スタンレーの子会社フロントポイント社とドイツ銀行
3:ブラット・ピット演じるベン・リカートと、フィン・ウィットロック演じるジェイミー・リプリー&ジョン・マガロ演じるチャーリー・ゲラーのチームの物語
=伝説の銀行家と若手投資家チーム
この3つは最後の市場崩壊で儲けたという着地は一緒ですが、物語は交わりません。しかし、今を生きる上で大切な“リスクヘッジ”や“調子に乗りすぎない”という大きなメッセージを映画は伝えてくれます。
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バブルは崩壊するという“疑心暗鬼”
実際にリーマンショックは起き、世界経済は一気に衰退しました。その事実を知った上で私たちは本作を見るわけですが「住宅ローンは安全だ。崩壊するとか馬鹿なこと言うな」と高を括る人々がリーマンショック前は大勢でした。その中でこの映画の主人公たちは住宅ローンの危険性を探り危機に備えていきます。しかし「バブルじゃないから」と何度も冷笑され続けます。しかしリーマンショックは起きました。
私たちが“今信じて疑わないものがいつか崩壊するかもしれない”というとても大切な警笛の映画でもあるわけなんです。
今目の前にある当たり前、豊かさや幸せなどは当たり前にそこにあってもいつ崩壊するかわからないわけです。
何にでも疑心暗鬼を持ってしまって何も行動できなくなるのは良くないですが、過度な自信だったり思い込みって良くないよなと、この映画を初めて鑑賞した時に思いました。
そんな中でコインチェック騒動も起きました。仮想通貨の未来自体は紆余曲折ありながらも明るいという予想がありますが、時が進む中で得する人と損する人は必ず生まれていくことでしょう。みなさんの今と未来を思い描きながら、この映画を是非鑑賞してみてください。
※2018年1月28日現在、Netflixで鑑賞できます。Amazonプライム等ではレンタルでの鑑賞も可能です。
※本記事は筆者本人が鑑賞時個人ブログへ掲載したものをリライトしております。
(文:柳下修平)
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