『ザ・リング/リバース 』はホラー映画の幕の内弁当!VS伽椰子どころか、あの映画まで登場?



(C)2017 PARAMOUNT PICTURES. ALL RIGHTS RESERVED.




Jホラーの代名詞として日本の映画界に一時代を築き、多くの続編や亜流を生み出した映画『リング』シリーズ。その後は、遂に海外にも進出!ハリウッドでのリメイク作品2本を生み出すなど、同じJホラーの傑作『呪怨』と並んで、大いに我々観客を楽しませてくれた。

現在公開中の『ザ・リング/リバース』は、日本ではなくハリウッドリメイク版のリブート作品。今やネット配信が当たり前の時代に、果たしてこの作品をどう蘇らせるのか?その部分でも非常に興味を引かれる本作を、今回は公開二日目の初回で鑑賞して来た。

残念ながら二番目に小さなスクリーンでの上映だった本作だが、果たしてその出来はどうだったのか?

ストーリー


「見た者は7日後に必ず死ぬ」と言われる“呪いのビデオ”。

恋人ホルトの身代わりとなり、呪いのビデオを見てしまったジュリア。彼女が助かる方法はただ一つ、「ビデオのコピーを取り、誰かに見せること」。

しかしジュリアのビデオはなぜか複製することが出来ず、それまでには存在しなかった、新たな映像が加わっていた。死の連鎖を断ち切るべく、ビデオに登場する新たなイメージを手掛かりに、呪いのルーツを探り、謎を解き明かそうとするジュリアとホルト。

やがて辿り着いたのは、ある少女の存在、そして彼女の抱えた深い哀しみだった—。 (公式サイトより)


予告編


まさかの「あの映画」から「あのホラー」まで登場!これぞホラーの幕の内弁当!


実は今回、ネットでのあまりの低評価に、逆にこれは何かあるはず!そう思って敢えて鑑賞に臨んだ本作。

何と幸運にも、その予感は見事に的中!予想外に日本版『リング』の世界観に近く、アメリカ版『リング』にどこか違和感を感じていた自分には、かなり楽しめる内容となっていた。

確かにネットのレビューに書かれている通り、冒頭の飛行機のシーンはかなり期待させる展開であり、これからどれだけの大事件や大量殺戮が巻き起こるのか?観客の期待は膨らむのだが・・・。

逆に、この冒頭部分である種の予測や期待を持ってしまうと、この後に続く静かなミステリー調の展開には、「えっ?」と思う方がいても仕方が無いかも知れない。

もう一つ、低評価の理由として挙げられているのが、『リング』シリーズの基本やルールが守られていない!との意見。

確かに、本作では「ビデオを見てから7日で死ぬ」というタイムリミット設定が全く生かされていない!映画の所々で7日目までのタイムリミットを知らせる時計やカウンターが出てくるのだが、映画の後半では全く時間的制約や残り時間わずか!という緊迫感は描かれないのだ。

そのため、終盤は単なるアクションホラー物になってしまうのだが、これが何と例の「盲目だが最強ジジイ」映画の主役的キャラVS貞子という、夢の対決ムービーになるという奇跡!

これ以上詳しくは書かないが、教会にまつわる秘密の部分などは、昨年のアカデミー賞にもノミネートされた、あの「監禁映画」の内容その物。しかも何故か大量のセミが窓に!とくれば、もはや何の映画からの引用か?分かる人には分かる展開に、ホラー映画ファンは歓喜するしかない。そもそも、「教会や牧師と、自分の目をつぶす行為」からは、往年の傑作SFホラー『X線の眼を持つ男』を連想させるではないか。

人によっては、ここまで基本設定を無視すると、もはや『リング』っぽく無いと思う方も多いだろうが、それでも本作の観客を楽しませようとするサービス精神は絶対に評価すべき!

そう、本作こそは正にホラー映画ファンにとっての「幕の内弁当」なのだ!



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特に序盤の展開で、てっきり大学を舞台にティーンの学生が呪いで次々死んで行く!と観客に予想させておいて、実はジュリアとホルトの二人による謎の解明がメインとなる展開は、正にオリジナルの『リング』に続編の『らせん』を加えた物であり、そこには原典への確かなリスペクトが感じられたと言っておこう。

ただ、日本版の『リング』シリーズの基本設定に拘る方には、中々受け入れられず低評価となるのも良く分かる。

果たして貴方は、この大きな変化・大胆なアレンジを受け入れて楽しむか?それとも基本設定重視で拒否するか?

そう、本作はあくまでもアメリカ版「ザ・リング」を元に作られた作品。そう考えれば海外作品でありながら、かなりの部分でJホラーを理解・再現した内容の作品として、本作を正当に評価出来るのではないだろうか?

下手に続編へ繋がない、キチンとした「バッドエンド」が実に潔い本作。個人的にはかなりのオススメ作品です!



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最後に


確かに個人差はあるかも知れないが、決してネットで言われている様な低評価の作品では無い本作。ただ前述した通り、過去のルールや基本設定の部分が変更・アレンジされていることに、強い不満や違和感を覚える方には、いまいち受け入れ難いのも良く理解出来る。

果たしてネットの評価通りの低評価か?それとも色々な要素で楽しませてくれる良作なのか?

今まで『リング』シリーズをずっと観てきて、今回少しでも興味があったり気になったりしている方は、是非劇場に足を運ばれてみては?

(文:滝口アキラ)

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