古川雄輝×藤井武美『風の色』は恋愛の魔術師が仕掛けるミラクル
©「風の色」製作委員会
こんにちは、八雲ふみねです。 今回ご紹介するのは、現在公開中の『風の色』。 北海道と東京を舞台に繰り広げる新感覚なラブストーリーです。
八雲ふみねの What a Fantastics! ~映画にまつわるアレコレ~ vol.141
東京で暮らす青年・涼は亡くなった恋人ゆりとの思い出の品を手にしたことをきっかけにマジシャンの道へ。
彼女が死の直前に遺した「自分とそっくりな女性が北海道にいる」という言葉に導かれるように北海道・知床へと向かう。
その旅の途中に出会ったのが、ゆりと瓜二つの亜矢という女性だった。
亜矢もまた、涼にそっくりな恋人を事故で失ったばかりだった…。
©「風の色」製作委員会
いつか北海道を舞台にした映画を撮りたい。クァク・ジェヨンの想いが結実した日韓合作ラブストーリー
もしもこの世の中に自分とそっくりな人間がもう一人いたなら。
そして自分にとっていちばん“大切な人”に酷似した人に出会ってしまったら…。
北海道と東京を舞台に時空を超えた2組の男女の愛を描いた本作は、日韓合作のラブストーリーです。
手がけたのは、韓国映画界では恋愛映画の名手として名高いクァク・ジェヨン監督。日本でも『僕の彼女はサイボーグ』で監督を務めるなど、国際的な活躍をみせるクァク・ジェヨン監督が本作のシナリオを書いたのは、今から10年前のこと。
ゆうばり国際映画祭で訪れた際、北海道の美しさに魅せられ「いつか北海道を舞台にした映画を撮りたい」と思ったのがきっかけだとか。
そんなクァク監督の想いが詰まった本作では、日本をはじめアジアを中心に活躍する古川雄輝と約1万人の中からオーディションでヒロインに選ばれた藤井武美とが1人2役という難役に挑戦。複雑に絡み合う男女の出会いと別れを情感豊かに演じています。
共演には竹中直人、袴田吉彦、小市慢太郎、中田喜子らが名を連ね、幻想的かつ壮大なラブストーリーが生まれました。
©「風の色」製作委員会
恋愛映画の魔術師、クァク・ジェヨン監督のこだわりとは…。
日本人キャストと韓国人映画監督によるコラボレーションにより、独特の手触りを持つ映画『風の色』。
舞台が日本で日本人の俳優さんが出演しているので一見すると邦画のようですが、ストーリーの運び方や演出にはクァク・ジェヨン監督の作家性が遺憾なく発揮されています。
私たちからすれば見慣れた日本の街並みも、クァク監督の手にかかるとそこが日本ではないような錯覚を覚え、まるでパラレルワールドに迷い込んだかのよう。さらにドッペルゲンガーやマジックという要素が加わることで、よりミステリアスな印象も。
そんな本作でクァク・ジェヨン監督がこだわったのは、本物であること。
北海道の流氷や東京の桜といった風景はもちろん、劇中で古川雄輝が見せるマジックも本人が実際に演じています。
…と言っても、タイトな撮影現場でじっくりとマジックの練習をする十分な時間はなく、撮影当日にわずか20分ほど練習して本番に臨んだのだとか。体にチェーンを巻きつけて行う「水中脱出マジック」もスタントなしで敢行。ほかにも氷水が張られたバスタブの中に入ったり雨に濡れたり…と、水に対するこだわりがハンパないクァク・ジェヨン監督。
しかしクァク監督作品では雨や水にまつわる名シーンが多数あり。本作でも雨や波、流氷や氷水が俳優の魅力をより引き立たせています。そのシーンの美しさを見逃すことなかれ。
©「風の色」製作委員会
本物志向のクァク・ジェヨン監督に、主演・古川雄輝のホンネは…。
さて公開に先駆けて行われた完成披露試写会には、古川雄輝、藤井武美とともに、この日のために来日したクァク・ジェヨン監督が舞台挨拶に出席しました。
「完成まで10年かかったのは古川さんと藤井さん、二人の俳優に出会うためだったのかもしれません」と、感慨深く話すクァク・ジェヨン監督。
しかし、古川さんが「氷水の中に入るのは、ものすごく冷たくて大変でした」と話すと、「CGを使うとお金がかかるから。古川さんに頑張って貰えば製作費も削れるかなと思って」とニヤリ。
クァク・ジェヨン節の炸裂に会場のお客様も爆笑の連続でした。
また初日舞台挨拶には古川雄輝、藤井武美、さらにマジック監修のMr.マリックが登場。
映画の公開初日を祝して、3人でマジックを披露。
このマジックショーはぶっつけ本番だったので、古川さんも藤井さんもちょっぴり緊張の面持ち。
私も司会を務めながらドキドキ。
一度は切れてしまった赤い糸ならぬ“赤いロープ”が再び1本になる…という、映画のストーリーになぞらえたマジックは見事大成功!ステキなパフォーマンスで観客を魅了しました。
<作品情報>
風の色
2018年1月26日からTOHOシネマズ日本橋ほか全国ロードショー
監督・脚本:クァク・ジェヨン
出演:古川雄輝、藤井武美、石井智也、袴田吉彦、小市慢太郎、中田喜子、竹中直人 ほか
©「風の色」製作委員会
公式サイト https://apie.jp/movie/kazeiro/
八雲ふみね fumine yakumo
大阪市出身。映画コメンテーター・エッセイスト。
映画に特化した番組を中心に、レギュラーパーソナリティ経験多数。
機転の利いたテンポあるトークが好評で、映画関連イベントを中心に司会者としてもおなじみ。
「シネマズ by 松竹」では、ティーチイン試写会シリーズのナビゲーターも務めている。
八雲ふみね公式サイト yakumox.com
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