『マンハント』福山雅治ファンが幸せいっぱいになれる理由を全力で語る!
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2月9日より公開の映画『マンハント』が最高でした……これ以上なく最高でした……。『M:I-2』や『フェイス・オフ』などで知られるアクション映画の巨匠ジョン・ウー監督最新作であることと、日本のスーパースターである福山雅治主演という2大特徴に期待して観に行くと、幸せいっぱいになれることは間違いありません。その魅力を以下にお伝えします!
1:これはジョン・ウー監督の集大成だ!
おなじみのアクション表現が大盤振る舞い!
ジョン・ウー監督の独特のアクション表現をご存知でしょうか。簡単に挙げると以下になります。
(1)二丁拳銃アクション
両手に拳銃を持って華麗に立ち回る。時にはジャンプをしながらも撃つぞ!
(2)白い鳩
ジョン・ウー監督には映画の中で暴力を描くことでその残酷さを伝えるという意図がある。激しいアクションシーンで登場する白い鳩はそれに相対する“平和”の象徴だ!
(3)スローモーションと多彩なカット割り
スローを“ここぞ”という時に使って緊迫感を高め、多めにカットを切り替えることで躍動感とスピード感を生んでいる!
これらがジョン・ウー監督の作品群のほとんどで共通しており、ファンであれば期待するのは当然のことなのです。この『マンハント』においても……ご安心ください。二丁拳銃、白い鳩、スローと多めのカット割り、それら全てが最高のクオリティで最高のタイミングでやってきてくれるのです。もう「キター!」「ありがとう!本当にありがとう!」と心の中で叫ぶのは必死です!
この他、“教会での凄惨なアクション”や“激しいバイクチェイス”や“身体を回転しながら撃つ”や“至近距離で銃を向かいあって構える”や“棒術アクション”などなど……今までのジョン・ウー監督節は健在、いや、もはや彼の集大成と言っても良いくらいに大盤振る舞いなのです。
ちなみに、本作には日本人の実力派スタッフも多数参加しています。撮影監督には『るろうに剣心』シリーズの石坂拓郎、美術監督には『思い出のマーニー』の種田陽平、音楽には『レッドクリフ』の岩代太郎、アクション振付には『GANTZ』の園村健介などと豪華!
さらに、前代未聞とも言える全編日本ロケ、のべ3ヶ月におよぶ大阪市街地を中心とした撮影も行われました。特に堂島川のジェットスキーでのチェイスはダイナミックかつ衝撃的! ジョン・ウー監督が日本を舞台したアクション映画を作ってくれたということ(それは日本映画を愛する監督自身の長年の夢でもありました)、それだけでも日本のジョン・ウー監督のファンに絶対に観て欲しいのです。
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2:ジョン・ウー監督がさらなるアクションを開拓!
“手錠アクション”もすごいぞ!
今までのジョン・ウー監督らしいアクション表現が詰まっているだけでなく、新たなアクションも盛り込まれています。それは、主役2人による“手錠アクション”! 手錠で繋がれてしまうという不自由な状況になるものの、その“密接した”状況だからでこそ危機を脱していくという、シチュエーションの面白さに満ち満ちたアクションになっているのです。
この手錠が示しているのは、ジョン・ウー監督曰く「分かり合えない者同士でも困難を解決していくことによって、真の友となれるような作品にしたい。その象徴が手錠である」とのことなのだとか。
ともすれば、この手錠アクションは“敵対していたはずの2人がやがて親友のように共闘していく”という少年マンガのような燃える展開を、視覚的に表していると言い換えてもいいでしょう。「そんな風に利用するのか!」と驚ける手錠アクションのアイデアの数々には大興奮できますし、何よりカッコいいアラフィフおじさん2人のタッグに熱くなれる、最高のものに仕上がっていますよ!
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3:日・中を代表する国民的スターのW主演!
福山雅治のカッコよさが天井知らずだ!
福山雅治演じる敏腕刑事の魅力はただごとではありません。初登場時から優秀であることをバシッと見せて、その後も冷静かつ論理的思考で動く、正義感が強く優しさも併せ持つキャラクター性を存分に見せていくのですから。
『そして父になる』では父親に見えない父親であったり、『SCOOP!』ではセクハラオヤジになっていたりと、福山雅治は普段のイメージとギャップのある役柄もこなしていましたが、今回はドラマ『ガリレオ』シリーズから続いている“福山雅治らしさ”と“カッコよさ”が前面に押し出されていると言っていいでしょう。
今回の福山雅治が前述したジョン・ウー印のアクションをこなしていることはもちろん、『戦場のレクイエム』『孫文の義士団』などのチャン・ハンユーとのW主演ということも重要です。想像してみてください、日・中を代表する国民的スターが、初めは敵対しているも、やがて友情を育み、“これでもか”というくらいにスタイリッシュなアクションを次々に繰り出していく様を……これを幸せと言わずになんと言うのでしょうか!
なお、主演の2人のみならず、『ハード・ボイルド 新・男たちの挽歌』以来25年ぶりにジョン・ウー監督作品に出演する國村隼を初め、桜庭ななみ、池内博之、竹中直人、斎藤工、田中圭、TAOなどと、日本のスター俳優や実力派が多数出演しています。アクション映画ファンであれば、ベテランの倉田保昭が意外な役で登場することも見逃せないでしょう。
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4:高倉健主演の伝説的映画のリメイク!
ここが大きく変わっていた!
『マンハント』の物語をごく簡単に述べるのであれば、殺人の疑いをかけられた弁護士を、敏腕刑事が追う内に巨大な陰謀が明らかになっていく、というもの。逃亡劇という点において、ジョン・ウー監督の作品の中では『ペイチェック 消された記憶』が近い内容と言えるでしょう(近未来的な施設が闘いの舞台となったり、激しいバイクチェイスがあることも共通しています)。
実は、本作は1976年の高倉健主演の映画『君よ憤怒の河を渉れ』のリメイク(原作は西村寿行の同名の小説)です。こちらは中国では『追補』というタイトルで公開され、観客動員数が8億人を超える社会現象と呼ぶべき大ヒットを記録していました。
ジョン・ウー監督も高倉健および『君よ憤怒の河を渉れ』の大ファンであり、今回のリメイクにおいて「ストーリーから魅力的な要素を取り出し、私のスタイルを注ぎ込みたい」「人間性の探求やロマンチシズムという要素を深め、アクション演出も発展させたい」「アルフレッド・ヒッチコック監督の手法を用いて、ミステリー部分を大きく扱いたい」と、独自の構想を巡らせていたそうです。
そんなジョン・ウー監督の思惑もあって、オリジナルの『君よ憤怒の河を渉れ』と今回のリメイクの『マンハント』は、ほとんど別物と言っても良い内容になっています。“何者かにハメられてしまった男の逃亡劇”という物語の主軸は共通しているものの、オリジナルにあった女性とのラブロマンス要素は今回のリメイクでは大きく後退し、代わりに追う者と追われる者が次第に共闘していく“男同士の友情”がかなりクローズアップされているのですから。2大スター俳優の魅力を引き出すことにおいても、この変更は正解と言えるでしょう。
今回のリメイクにあたって追加されたジョン・ウー印の様々なアクション、男たちの熱いドラマ、ミステリー部分それぞれがケンカすることなく、無理なく1本の作品の中に収まっていることも賞賛に値します。ここまで要素を盛り込みすぎると散漫になってしまいそうですが、観客に与える情報がしっかり整理されており、テンポ良く展開するため、まったくストレスを感じることがない、というのもジョン・ウー監督の手腕によるところが大きいのでしょう。もちろん、印象的だった台詞が今回のリメイクでも登場したり、人間性を探求する要素が健在であったりと、オリジナル版へのリスペクトもしっかりありました。
ちなみに、ジョン・ウー監督は福山雅治を主演に据えたことにおいて、「福山雅治は品格がある物腰がやわらかで、優しさと強さを合わせ持っている。オリジナルの警部(原田芳雄)は冷徹すぎて合わないと思った。そこで、哀しい過去を持つ設定を加え、感情豊かで人間味のあるキャラクターにした」とも語っています。俳優の個性と持ち味に合わせてキャラクターを変え、より良いものを目指す監督の姿勢もまた、賞賛すべきでしょう。
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5:女殺し屋のコンビが超カッコいい!
ダンスのような銃撃アクションも見逃すな!
オリジナルの『君よ憤怒の河を渉れ』にはなかった要素で、さらに大好きな要素があります。それは、“女殺し屋のコンビ”が追撃してくるということ!
ジョン・ウー監督によると、女殺し屋のコンビを登場させたのは“主人公たちを明確に攻撃する悪役が欲しかった”というのが理由なのだとか。この女殺し屋のおかげで、さらにアクションの緊迫感やケレン味が増していていることだけでなく、彼女たちの関係性は少し百合(ガールズラブ)っぽいところもあるため、物語に“花”を添えることにも成功しています。
女殺し屋の1人を演じたのは、テレビドラマ『シークレット・ガーデン』などで“アクションができる韓国で唯一の女優”とも言われているハ・ジウォン。今回はジョン・ウー監督から「踊るようなアクションをして欲しい」と要望されたそうで、確かにその銃さばきはミュージカルのダンスシーンのように優雅。美しくカッコいい女性のアクションを観たい、という方にとっても眼福ものでしょう。
もう女殺し屋のもう1人を演じたアンジェルス・ウーは、なんとジョン・ウー監督の愛娘。彼女は役作りのために撮影までの1ヶ月間、アクションと武器の扱いを猛特訓したそうで、その存在感はメインキャストに全く負けてはいませんでした。
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まとめ:アクションだけでなく、ジョン・ウー監督らしいドラマ部分にも注目だ!
本作『マンハント』の最大の魅力は、“ジョン・ウー監督らしさが満漢全席”と“福山雅治のカッコよさがフルスロットル”で間違いありません。しかしながら、巨大な陰謀を暴くサスペンスや、男たちの絆のドラマ部分もないがしろにされていない、いや、むしろアクションとの相乗効果により、さらに魅力的になっていました。
実は、ジョン・ウー監督自身、そのドラマこそが最も観てほしいところであり、最大のテーマはその作品群で通底している“正義”と“友情”なのだとか。そして、「生き方も背景も異なる敵対関係の2人の男が、正しいことをしようとするうちに絆で結ばれるという熱を感じてほしい」とも語っています。
代表作である『男たちの挽歌』を初め、確かに正義と友情というテーマ、敵対している2人の男というシチュエーション、それから生じる熱い男たちのドラマは、ジョン・ウー監督作品の多くで共通しています。ともすれば、本作はアクションのみならず、ドラマ部分においても御年71歳になるジョン・ウー監督の集大成と言ってもいいでしょう!
それに付け加え、福山雅治という人類の頂点と言っても過言ではないイケメン完璧超人が主演なのですから……しつこいようですが、ジョン・ウー監督と福山雅治のファンにとって幸せいっぱいになれる逸品であることをわかっていただけたでしょうか。ジョン・ウー監督作品を観たことがない、福山雅治のことをあまり知らない、という人にとってもその魅力に気づけることでしょう。ぜひぜひ、劇場でこそ堪能してください!
(文:ヒナタカ)
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