『ミスミソウ』は『ちはやふる -結び-』と並ぶマンガ原作映画の大傑作!その6つの理由!
(C)押切蓮介/双葉社 (C)2017「ミスミソウ」製作委員会
現在、映画『ミスミソウ』が全国18館のみで公開されています。結論から申し上げると、この小規模公開であることがもったいなさすぎる、マンガを原作とした実写映画として、青春映画として、2018年のベスト1がもう確定するほどの大傑作であると断言します!
そして、『ミスミソウ』は(詳しくは後述しますが)現在公開中の『ちはやふる -結び-』と共通点が多く、その魅力はほぼ表裏一体、前者は“陰”で後者は“陽”の青春映画として完璧に仕上がっていたことも特筆に値します。ここでは、映画『ミスミソウ』がなぜ奇跡的なまでの大傑作となったのかを、大きなネタバレのない範囲で解説します!
大傑作の理由1:容赦のない残酷描写! それこそに必然性があった!
本作は中学生を主人公とした映画でありながらR15+指定がされています。その理由は直接的で強烈な残酷描写と、いじめっ子が次々に惨殺されてしまうという陰惨な物語。白い雪に鮮血が飛び散り、肉体が損壊する、目を覆うような光景がスクリーンに映し出されるスプラッターホラーでもあるのです。
その残酷描写は、間違いなく作品に必要なものです。なぜなら“人を殺す”というほどがどれほどに惨たらしいのか、ということを示しているから。主人公の少女はいじめられたばかりか、家族を焼き殺されてしまい復讐を誓う。その結果としてどれだけ取り返しのないことが起こるのか……この残酷描写なしでは、説得力はなくなるでしょう。
また、凄惨な殺人シーンをもって、人間の尊厳や切なさ、あるいは幼い少年少女だからこその自己中心的な考えや短絡的な行動の愚かさを描いている、とも取れます。ただグロテスクで悪趣味というだけではない、残酷描写こそに“必然性がある”作品であることを、まずは強く訴えておきたいのです。
(C)押切蓮介/双葉社 (C)2017「ミスミソウ」製作委員会
大傑作の理由2:押切蓮介作品の魅力を余すことなく描いている!
本作の原作者である押切蓮介は、レトロゲームを愛する少年少女の青春と恋を描いた『ハイスコアガール』がテレビアニメ化もされる人気作家。ギャグマンガの『でろでろ』でも知られていますが、平凡な家族に降りかかる惨劇を描いたホラー『サユリ』や、過酷な状況下で生きる少女と異形の化け物との交流を描いたダークファンタジー『焔の眼』など、ハードな物語も多数手がけています。
その作品の多くで共通するのは、周りから虐げられていたり、理解されないでいる者(特に少年少女)の行動を追い、彼らを慈しむように描いているということ。“弱者”の側に沿う物語を紡いでいくような、一貫した作家性があるのです。『ミスミソウ』は、その押切蓮介の作家性が、シリアス方向で前面に押し出された映画と言っていいでしょう。
今回の映画版が素晴らしいのは、“原作に忠実”であることと、原作のスピリットを存分に“わかっている”ことでしょう。苛烈で容赦のない残酷描写はほぼすべて再現されていますし、原作で(完全版ではない全3巻のバージョンの)単行本まるまる一巻を使った“惨劇が起こるまでの過程”をも丹念に描写し、いじめという行為がいかに人間を壊すか、閉鎖的で村で幼い中学生がどのような心情だったのか……印象的なシーンを実写で過不足なく再現することはもちろん、丁寧な心理描写もまったく外してはいませんでした。
何より、前述した押切蓮介の作家性が、映画でも如実に感じられるようになっていることが重要です。いじめをされ続ける少女の健気さと、それに相反する悪意を表出させる人間の醜さを描きつつ、その残酷な世界でこそ弱者に寄り添う優しさもある。原作をリスペクトした巧みな演出と脚本はもちろん、(後述しますが)若手俳優陣の熱演もあいまって、まさに「これは押切蓮介氏の作品だ」と感じられる映画に仕上がっているのです。
(C)押切蓮介/双葉社 (C)2017「ミスミソウ」製作委員会
大傑作の理由3:内藤瑛亮監督と原作マンガの相性が抜群だった!
本作を手がけた内藤瑛亮監督が、『ミスミソウ』という原作マンガとの相性が抜群であったことにも語らなければならないでしょう!
内藤監督は過去に『先生を流産させる会』という、女性教師を流産させる目的で給食に異物を混入させるという、実際に起こったおぞましい事件に脚色を加えて映画化したことがあります。『ミスミソウ』との共通点は“いじめをするほうも不幸”、“いじめっ子にも親がいる”、“傷つけたことの代償”が描かれるなど数多く、何より“幼い少女たちによる凄惨な事件がメイン”であり、“加害者の心理を丁寧に描いている”という作劇もほぼ同じだったりするのです。
その他、サイコパスな爆弾魔の犯行を描き続ける『パズル』も、少年たちが次々に死んでいくマンガを実写映画化した『ライチ☆光クラブ』も、映画『ミスミソウ』と通ずるところが多い残酷劇になっていました。
そして、内藤監督はほぼ一貫して“未成年者の子どもの暴力と犯罪”をメインに据え、その暴力と犯罪の“加害者側”の心理を描いています。そうした作品を撮り続けるのは、自身が鬱屈した青春時代を過ごしていたから、少年少女が起こした凄惨な事件を聞いて「自分はなぜ加害者にならずに済んだのか」のかと、犯人側の心情を思い起こしていたことも理由だそうです。(もちろん、加害者のしたことは許されることではない、という考えを前提として)
しかも、内藤監督は養護学校(今は特別支援学校)の教員として働いていたことがあり、その人(生徒)の特性に合った指導をする必要があること、トイレにこもりがちだった生徒の気持ちや、教師たちがそれぞれ違った価値観で行動していることを知るなど、教員経験で学んだことが多かったのだとか。そのことが、少年少女を主人公とした、それぞれの映画の演出や演技指導に役立ったことは、疑いようもありません。
つまり、内藤監督は“子どもの加害者の心情を丹念に描く”という作家性を持っており、さらには教員としての経験を映画作りに生かしているということです。その内藤監督と、少年少女のいじめや放火や殺人を描く残酷劇『ミスミソウ』との相性がいかによいかは……百聞は一見に如かず、実際の映画を観れば存分にわかることでしょう。
余談ですが、内藤監督に『ミスミソウ』のオファーが舞い込んだのは、なんと撮影が始まるわずか1ヶ月前のことだったのだとか。それまでは別の監督で撮影準備が始まっていたものの降板し、まわりまわって内藤監督が手掛けることになったのです。この巡り合わせも、奇跡と呼んで過言ではないでしょう。
(C)押切蓮介/双葉社 (C)2017「ミスミソウ」製作委員会
大傑作の理由4:若手俳優の熱演がすごすぎる! “悪意の表出”は必見だ!
本作を語るには若手俳優陣の熱演も外せません。特筆すべきは、知名度やキャリアだけを優先せず、オーディションで“10代”の俳優たちを選び抜いたこと。生徒役で直々にオファーがあったのは、『ちはやふる』シリーズや『ソロモンの偽証』2部作でも類い稀な存在感を見せた、清水尋也のみだったのです。
主演の山田杏奈は台詞が少なく、一見して“何を考えているかわからない”からこそ、繊細な表情で“感情の揺らぎ”を表現しきっています。清水尋也の独特の魅力は言うに及ばず、もう1人のキーパーソンを演じた大谷凜香は“クールビューティー”に見えても内面はどこにでもいる女子中学生の“弱さ”を端々に見せていました。
いじめっ子の3人組である中田青渚、紺野彩夏、櫻愛里紗それぞれの精神を逆撫でさせるような言動(褒めています)も真に迫っていますし、遠藤健慎と大友一生の絵に描いたような威圧的な態度(褒めています)も幼い少年の“らしさ”があります。巨漢の少年を演じた遠藤真人は「この人以外には考えられない!」ほどの唯一無二の魅力を見せつけていました。
極め付けは、(ドラマには多数の出演経験があるも)映画では初出演ということとが信じられない、大塚れな演じる“放火殺人の主犯格(と言える)女の子”でしょう。彼女は一見するとかわらいしくて純粋無垢にも見えるも、時折背筋が凍るような悪意を表出させるのですから。
その他、“完全に壊れてしまった先生”を演じた森田亜紀や、『天空の城ラピュタ』のムスカの声優としてもおなじみの寺田農がやさしいおじいちゃんを演じていたりと、大人の役者たちの存在感も重要になっていました。
どの若手俳優たちも、この『ミスミソウ』という映画で全力投球をしています。時には泣き叫び、白い雪が積もる凍えるほどに寒いロケ現場(このロケ場所も手加減なし!)で走り回り、過酷な役をやり遂げたのですから。その名前を覚えておくべき、これからの日本映画で活躍をしていく実力と熱意を持つ方ばかりであると、断言します。
(C)押切蓮介/双葉社 (C)2017「ミスミソウ」製作委員会
大傑作の理由5:タテタカコの主題歌が最高! 本編とのシンクロを聞き逃さないで!
本作の主題歌に、シンガーソングライターのタテタカコの「道程」を選んだことがまた素晴らしい……いや、もうその言葉だけでは足らない、「ありとあらゆる映画の主題歌の中で、これ以上のものは存在しないのではないか」、「2007年リリースの作品であるのに、『ミスミソウ』のためにあった楽曲なのではないか」と強く思うほどに、本編と見事にシンクロしていたのです。
「道程」の魅力は、過酷な人生を進んでいく人々を鼓舞する歌詞と、サビが終盤にしかないという特殊な構成にあります。普通の楽曲であれば、中盤にサビを1回挟み、終盤でサビを2、3回繰り返すというのがスタンダードですが、「道程」はそうではなく、ある意味で「最後にやっと盛り上がりが来る」という一風変わった楽曲なのです。
この「道程」がどのような意味を持つのか……それはネタバレになるので絶対に書けませんが、ただエンドロールで流れるというだけでなく、劇中の登場人物が“実際に聞いている”ということも重要、とだけお伝えしておきます。原作マンガではキャロル・キングであったCDが、映画では「道程」が収録されたタテタカコのアルバム「イキモノタチ」に変更されおり、映画の世界の中に「道程」という楽曲が存在している、とされているのです。
筆者は、『ミスミソウ』の鑑賞後に「道程」を繰り返し聞いているのですが、それでまた涙を流してしまいます。主題歌が映画をさらに盛り上げ、映画が主題歌にさらなる解釈を与えてくれる……映画と主題歌の関係として、これは理想的であり、完璧と言っていいでしょう。
なお、是枝裕和監督の『誰も知らない』でも、タテタカコの「宝石」という楽曲が挿入歌として用いられています。こちらも歌詞の内容、演出ともども素晴らしいものとなっているので、『ミスミソウ』と合わせて観てほしいです。
(C)押切蓮介/双葉社 (C)2017「ミスミソウ」製作委員会
大傑作の理由6:さらなる“解釈”を与えたラストは号泣必至だ!
本作のラストシーン……これはもう、鳥肌が総立ちするほどの感動があり、鑑賞後に大量の水分を欲するほどに号泣してしまいました。その素晴らしさは、“原作とはまったく異なる余韻を与えている、“原作を読んだ方と読んでいない方で違った感動がある”、“数々の伏線がこの一点で回収される”、“青春映画としてさらに魅力的になった”、“絶対に映画でしかできない演出になっている”などなど……もう、いくら褒めても褒めたりません。
これまで、“原作を読んだ方と読んでいない方で違った感動がある”マンガの映画化作品には『GANTZ:O』や『ReLIFE リライフ』や『ちはやふる -結び-』(いずれも傑作)もありましたが、本作はそれらをも超えています。原作を読んでいれば“ある変更点”の意味がはっきりとわかった瞬間に感動できますし、読んでいなかった場合も“伏線の回収”と“予想の裏切り”の相乗効果により身震いがするような衝撃があるはずです。
本作が『ミスミソウ』という作品の、後に刊行された“完全版”の実写映画化、ということも重要です。今回の映画は、その完全版にしかない描写を拾い上げ、さらなる解釈を加えたラストに仕上げられているので、“完全版の完全版”と言っても過言ではありません。
そして、このラストは閉じられた空間の、音響設備の整った映画館で観てこそ、真の感動があるはずです。(その他の“不穏さ”や“苛烈さ”を引き立たせる音の演出も必聴です)
なお、このラストは原作者の押切蓮介に「映画『ミスト』のラストを観た原作者が“このオチにすればよかった”と言った時と同じ気持ちになった」と言わしめています。このエモーショナルで、演出も伏線も完全に計算し尽くされた、完璧と言えるラストを観れば、それも大納得です。
また、このラストに至るまでの伏線や、映画にしかない描写の数々は、この物語が憎しみだけではない、“愛による悲劇”であることをより際立たせています。映画で放火殺人の主犯格の女の子が言ったことや、ファーストシーンのセリフなどを思い返し、原作マンガを読み返せば、きっと脚本家の唯野未歩子が訴えたかった、“原作の再解釈”がわかることでしょう。
まとめその1:『ちはやふる -結び-』と表裏一体の青春映画の大傑作である理由はこれだ!
この記事の最初に掲げた、『ちはやふる-結び-』と『ミスミソウ』との共通点を、かいつまんで挙げれば以下のようになります。
・原作マンガの精神性を丁寧に拾い上げている
・原作マンガの重要なシーンを過不足なく再現している
・原作マンガに新たな解釈を加えている
・これからも活躍することは間違いない、実力のある若手俳優たちが熱演している
・マンガでは実現不可能な、“実写映画作品にしかできない”演出や魅力がある
・“音”の演出が素晴らしく、“映画館で観てこそ”の醍醐味がある
・ラストにとんでもない感動が訪れる
両者で違うのは、『ちはやふる-結び-』はかるた競技に賭けることができた少年少女のキラキラした青春を描いている一方で、『ミスミソウ』が閉鎖的な田舎町で無残にも死んでいくしかなかった、究極的なまでに“鬱屈した青春”を描いていることでしょう
凄惨なホラーでもある『ミスミソウ』を青春映画と呼ぶことに異論はあるかもしれませんが、筆者は間違いなく青春映画であると断言します。青春とは“未来への可能性が開かれている”という状態のことを指しており、『ミスミソウ』はいじめっ子たちが皆殺しにされてしまうという過激な手法をもってこそ、青春の、人間の尊さを逆説的に訴えているのですから。
※『ちはやふる-結び-』については以下の記事でも紹介しています↓
□『ちはやふる-結び-』が大傑作となった8つの理由!
(C)2018 映画「ちはやふる」製作委員会 (C)末次由紀/講談社
『ちはやふる-結び-』より
まとめその2:残酷描写が多いからこそ、教育的でもある
誤解を恐れずに言うのであれば、本作は残酷描写が満載でありながら、いや……残酷描写があるからこそ“教育的”な内容であるとすら思います。
いじめを経験した少年少女であれば、「こうならなくてよかった」と現状を肯定することができますし、人を傷つけたことが恐ろしい悲劇を呼ぶという物語はきっと生きる“糧”になるでしょうから。(15歳以上の)若い方はもちろん、教職に就く方、子どもと接する機会が多い大人も、学べることがきっとあるはずです。
(C)押切蓮介/双葉社 (C)2017「ミスミソウ」製作委員会
まとめその3:悲劇的な物語が苦手な方にも、観て欲しい
それでも、「グロいや悲劇的のは苦手」ということで、本作の鑑賞に二の足を踏む方は多いでしょう。
しかし、前述したように残酷描写は物語に必要不可欠なものですし、原作者の押切蓮介は「残酷描写で吐くのではないかと心配している方もいるとは思いますが、絶対に大丈夫です。映画に出てくる美しい演出や雪の表現、何より美しいキャストの方々の存在で、むしろ感動するのではないでしょうか」「(原作は)よく“救われない”とか“暗い気持ちになる”と言われる作品ですが、そんなことはない。希望のある話だと思っています」と語ってもいるのです。
筆者もこの言葉に完全に同意します。映画『ミスミソウ』は残酷な表現は多いが、それは(若手俳優の熱演もあいまって)画としても、物語としてもむしろ感動を呼ぶものであると。そして、悲劇な物語だからでこそ、希望もあると……。だからこそ、より多くの方に観てほしいのです。
(C)押切蓮介/双葉社 (C)2017「ミスミソウ」製作委員会
おまけ:『ミスミソウ』を合わせて観て欲しい、いじめを描いた映画はこれだ!
最後に、『ミスミソウ』と合わせて観て欲しい、いじめをテーマとした3つの映画を紹介します。
1.『リリィ・シュシュのすべて』
『花とアリス』や『リップヴァンウィンクルの花嫁』の岩井俊二監督の代表作の1つです。中学生の苛烈ないじめ、援助交際などが生々しく描かれており、美しい映像が逆にその残酷性を際立たせる、良い意味で観ていてとても辛い内容になっていました。
『ダンサー・イン・ザ・ダーク』に並ぶほどに“観た後に鬱になる”、“賛否両論の代名詞”な映画ではありますが、“その時しかない”時間を切り取る残酷な青春映画として、『ミスミソウ』と通ずるところも多い名作です。ぜひ、一度は観てほしいです。
2.『セントラル・インテリジェンス』
いじめを扱った映画で暗い気分になりたくない、という方におすすめなのがこちら。『ジュマンジ:ウェルカム・トゥ・ジャングル』も公開中のロック様(ドウェイン・ジョンソン)の主演作で、「元いじめられっ子のCIA職員に振り回されながら逃げる」ギャグの数々にゲラゲラ笑える、万人向けのコメディアクションになっていました。何より、いじめっ子にムカついている方はスカッと爽やかに気分になれることは間違いなし!
「人類最強のロック様が元いじめられっ子って説得力なさすぎだろ!」とツッコミたくもなりますが、実はロック様自身も15歳のころ、母が自殺未遂を起こして鬱状態になっていたことを告白していたりもします。「強く見える人間も、深く傷ついた経験を持っているかもしれない」という描写は、現実のロック様のみならず、全ての人間に通ずるところがあるのです。『セントラル・インテリジェンス』のBlu-ray&DVDは4月27日よりリリースです。
※『セントラル・インテリジェンス』については以下の記事でも紹介しています↓
□『セントラル・インテリジェンス』のロック様から「いじめカッコ悪い」を学ぼう!2017年のバディムービーを振り返る!
3.『映画 聲の形』
この作品で重要なのは、聴覚障がいを持ち、いじめられてきたはずのヒロインが自身を“加害者”であると思い込んでいること。彼女は自分のせいで周りが傷ついてきたと、“自分がいなければよい”と思い込んでいるのです。そして、主人公の少年もまた、彼女をいじめた過去を憂いて“死にたい”と思っている……ある意味では『ミスミソウ』とは別の視点で“加害者の心情”を描いている、そして“加害者であることは被害者であることより苦しい”ことが繊細な演出でありありとわかるようになっていました。
いじめの加害者側の視点と、コミュニケーションの本質を真摯に描き、映画でしかできない表現に溢れた『聲の形』もまた、マンガの映画化作品、青春映画として大傑作と断言していいでしょう。そして、山田尚子監督、吉田玲子脚本、牛尾憲輔(音楽)など、『聲の形』のスタッフが再集結したアニメ映画『リズと青い鳥』が4月21日より公開されます。こちらにも大期待していますよ!
(文:ヒナタカ)
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