特撮向上委員会
特撮大好き芸人・オジンオズボーン篠宮暁が“特撮ファン歴の中で一番苦しかった”思い出とは?
特撮大好き芸人・オジンオズボーン篠宮暁が“特撮ファン歴の中で一番苦しかった”思い出とは?
スマホを開くだけで特撮が見ることができるようになった現在。
すごい時代になりました。
よく思います。
このサービス、もし自分が若い時にあればもっと特撮が好きになっていたんじゃないかと。
しかし答えは否。
サービスが整っていなかった時代の飢えがあったからこそ今のサービスのありがたみもわかるし、特撮への愛も消えることがなくこの歳まで好きでいられてるのかなと思います。
では、僕がどうやって飢えをしのいだかを今日は書かせていただきます。
僕が青春を過ごした90年代はハードディスクへ毎週勝手に録画されるなんてシステムは当然無くて、リアルタイムで放送を視聴するか、ビデオテープに録画するか、ビデオソフトを購入するか、ビデオをレンタルするかの4パターンのみ。
“購入”はソフトの値段が高く財力のない僕には手の届く代物ではありませんでしたし、ラインナップも充実してませんでした。
では“レンタル”はというと、そもそもレンタルショップすらも整ってない時代。
お店があっても置いてある特撮作品の数は極端に少なくて、仮面ライダーですら映画作品やテレビスペシャル回のみしか置いてないという状態。
置いてあるだけまだマシで、特撮作品はゴジラのみなんてお店もありました。
残された方法は“リアルタイム視聴”と“ビデオ録画”。
しかしこのビデオ録画が厄介で、デッキが作動しなかったり、テープの残量が少なくて途中から録れてないなんてこともざらにありました。
なので、当時は見逃すとその回はもう見れないなんてことが結構ありました。
「東映ヒーローMAX」や「特撮ニュータイプ」もない時代、見逃した回の情報を補填する手段は「テレビマガジン」か「てれびくん」という児童向けの雑誌のみ。
高校生にもなって買うのは、スケベな雑誌を買うのと同じくらい恥ずかしく、ベタにマンガとマンガの間に挟んでどさくさ紛れに購入なんてこともよくしました。
しかし2000年代に入るとそのあたりの悩みが次々と解消されていくことになります。
まず、『百獣戦隊ガオレンジャー』と『仮面ライダーアギト』によるイケメンヒーローブームが到来すると、世間の特撮への注目度が一気に上昇。
そして『仮面ライダークウガ』からの流れで大人も作品にのめり込んでしまう現象により、レンタルショップの特撮コーナーが一気に活性化。
借りられる作品の数も爆発的に増え、漁るように見る日々が到来。
さらにDVDの普及により、ソフトの価格もぐっと安くなり一時期の飢えが徐々に和らいでいきました。
このまま飢えがなくなるかと思いましたが、なんとまだまだなくなることはなかったのです。
僕が幼少期に見ていた作品が全然出てこないのです。
特に『超獣戦隊ライブマン』は、お金を多少作れるようになった20代になってビデオを買おうにもソフトが発売すらされてないという始末。
まともに見られるようになったのは、2010年代に入ってからでした。
とにかく「ライブマン」への飢えをなんとかしようともがいた20代だったんですが、完全に満たされなくとも次の3つがあったおかげで、なんとか耐えることができました。
まずひとつ目はドコモの「iモード」の東映によるサービスです。
スマホのスの字もない時にiモードの東映のサイトで、確か300円だか500円だかで買ったポイントで10秒くらいの動画を見られるというものがありました。
この中のいくつかの動画の中に、なんと「ライブマン」のスーパーライブロボに合体するシーンも入っていて即クリック。
短く、そしてガラケーの粗い画面で、その動画をむさぼるように何百回と見ました。
2つ目は「東映TV特撮主題歌大全集」というDVDの3巻です。
ネットでサクッと見られる今からしたら考えられないと思うんですが、主題歌しか入ってないDVDに6000円くらい払って買いました。
ただこの3巻には僕の幼少期の作品がドンピシャで入っていまして、当然「ライブマン」も入ってるこのDVDは、本当に盤がすり減るほど見ました。
ネット環境が普及した現在でも、このDVDは捨てることが出来なくて、いまだに持っております。
最後の3つ目は「スーパー戦隊画報」という本です。
1巻目は『秘密戦隊ゴレンジャー』から『超新星フラッシュマン』まで網羅してて、それはそれで大満足だったんですが、「ライブマン」が掲載されてる2巻は次の年の春に発売ということで、後にも先にもあんなに首を長くして待ったことはないというほど楽しみに待ちました。
しかし春になっても発売されず、結局夏まで発売が遅れました。
この遅延を待つ4か月間が、特撮ファン歴の中で一番苦しかったです。
ですが、書店でやっと2巻を手にしたときのうれしさはとてつもないもので、今でもはっきりと覚えています。
そこから「東映特撮youtube」や「東映チャンネル」を経て、現在のあふれんばかりの動画見放題時代となり、見逃すことなく毎日好きな時に見ることができるという贅沢をさせてもらってるわけですが、あの時の飢えてた自分の方が熱量が高かった気がして、うらましく思ったりもします。
(文:オジンオズボーン・篠宮暁)
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