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2018年06月30日

ぼっち映画の何が悪い!こんなに違う日本とアメリカの映画観賞事情

ぼっち映画の何が悪い!こんなに違う日本とアメリカの映画観賞事情



Photo credit: *saipal on Visual hunt / CC BY


映画の本編が終わってスッとスクリーンが暗くなり、流れ始めるエンドロール。

わたしは、じっと石のように座り、見えないほど小さく書かれた知らない名前たちが流れ行くのを目の玉が疲れるほど凝視しています。でもそれを見つめるわたしの目は、完全に死んでいます。

わたし、本当は……映画が終わった瞬間になんの余韻も趣もへったくれもなく、ザッと立ちあがり帰るタイプの人間なのです。(実は今日も『万引き家族』をひとりで観に行ってエンドロールになった瞬間、真っ暗な階段を降りて帰りました。帰りにチャリンコ漕ぎながら泣きましたけど。)

エンドロール、観るか観ないか問題


読者のみなさんはエンドロール観る派、観ない派、どちらでしょうか。日本では、ほとんどの人がエンドロールを最後まできっちり観ているような気がします。

わたしは、ひとり映画の場合100%速攻で立ち上がって帰りますが、誰かと来ているときは、そんな自分を抑えて石になり、待ちます。なんなら「エンドロール・ゲーム」なるものも考案しました。外国映画の場合は、フルネームが完全に日本人というスタッフ名を探すゲームです(つまんないでしょ…...)。だから目は死んでいるけれど、目の玉が疲れるほど名前をくまなくチェックしているのです。そんなことでもしていないと、せっかちなわたしには、あの雰囲気は耐えられない……。

なぜエンドロールを全部観るようになったかと言うと、今わたしはアメリカから引っ越しをして、日本にいるから。

エンドロールを観ないアメリカ人



「エンドロール事情」っていうのは、まったく所変われば、です。アメリカでは、映画が終わった瞬間に「よーいドンの笛」が鳴ったかのように全員がザッと立ち上がり、出口へ向かいます。日本で映画を見る機会のあるアメリカ人はたぶん「ワイ、ジャパニーズピーポー、なぜ動かない? 知り合いの名前が流れるのを待っているのかい?」とキョロキョロするでしょう。

アメリカ人よ、ディス イズ 日本の映画マナー。日本では「修学旅行は家に帰るまでが修学旅行」であり「映画はエンドロールが終わるまでが映画」なのです。一方、アメリカでエンドロールが終わるまで残っていたら、掃除の人がやってきて「おまえ、具合でも悪いのか」という顔で見られます。

アメリカ人がエンドロールが始まっても絶対に立たない映画


そんなアメリカ人がエンドロールが始まっても「今日はよーいドンの笛を鳴らす人、お休みですか?」というほど、ピターっと誰も席を立たない映画がひとつだけあります。

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス (字幕版)



マーベル作品です。

アメリカ人はみんな、よくわかっています。マーベル作品は、エンドロールの途中で必ず次作のヒントになるオマケ映像が出てくるのを。さすがマーベルを生んだ国の人々ですわ。エンドロールが始まっても誰も席を立たない異様な雰囲気に「え、え、みんなどうしたの?」と戸惑った感じでゆっくり出口に向かい、結局オマケに気づいて通路で立ったまま見る人もいます。いつも通り速攻で出て行ってしまうマーベル作品に馴染みのない人は、オマケを見逃す羽目になります。

逆に言うなれば、日本人の観客はほとんどマーベルのオマケ映像を見逃すことはないということになりますね。

わたしはアメリカと日本以外で映画を観たことがないので、他の国ではどうなのか気になるところですが、なんとなく「映画はエンドロールが終わるまでが映画」の精神はどこの国よりも、日本が強い気がします。

ぼっち映画、あり、なし問題


そしてみなさんは、映画をひとりで観に行けるタイプでしょうか? わたしはぼっち派です。エンドロールをじっと観る友達を待つ必要がないから、というわけではなく、そして本当は映画に行く友達がいなくて強がっているというわけでもなく(ほんとですよ!)、ただ単にひとりで観る映画が好きなのです。

日本ではひとりで映画を観に来ている人、結構いますよね。だからわたしも安心して堂々と「ぼっち映画」楽しむのですが、アメリカでひとりだと、うしろからポップコーン投げられて「やーいやーい、ぼっち映画」っていじめられるんじゃないかっていうくらい、ひとり映画の人、ほぼいません。

アメリカでぼっち映画はヤバめの人


アメリカに住んでいた時、彼に「頼むからひとりで映画行くのやめてくれ、完全にやばいヤツだから」とお願いされたことがあります。そう、アメリカでは本当にひとりで映画を観てる人なんて滅多にいないんです。ちょっと変わった人か、すごい老人とかくらいですかね。

それでもぼっち映画が好きだったわたしは、「買い物行ってくるね」などと嘘をついて家を抜け出し、映画を観に行っていました。映画館で変人と思われないように上映が始まるまでトイレで待機して、暗くなってからコソッと席についたり、はたまた逆に変人と思われるように、パジャマのような格好で堂々と行ってみたり。とにかくぼっち映画作戦を立てるのは、たいへん!(だからぼっち映画はやばいヤツなのかも?)

でもぼっち映画イン・アメリカ、でいいことはエンドロールが始まったら暗いうちに逃げられること。わたしのエンドロールで速攻立つ習慣は、ぼっち映画のカモフラージュからできあがったものなのかもしれません。

アメリカでは男女のカップル、ダブルデート、または若いティーンだとグループで映画に来てる人がほとんど。そしてしゃべる。まじでしゃべる。

アメリカ人、映画館でしゃべる問題


ずっとしゃべったり笑ったりしている人の近くに座ると致命的です。もう脳みそがそちらに行ってしまって、映画の内容、ぜっんぜん入って来ません。そういううるさい人がいると「静かにして」と注意する人もいるんですが、「誰かー注意してよー」と思いながら待っているだけでストレスMAX。

アメリカは座席指定の映画館はほとんどないので、映画館に入ったらまず、ティーンの集まってる席をチェックします。そこから一番離れた場所がベスポジです。(あとは足をシートに乗っけてくる野郎もいますので、それもご注意を。)

本当にうるっさいヤツがいると困るんですが、おもしろいジョークで笑ったり、危ないシーンでは「オーマイガー!」と叫んでみたり、アメリカでは結構、観客みんなで楽しむ感じがあります。日本はおもしろいシーンでも、みんな笑いを押し殺して静かにしてますよね。

でもなんだかんだ言って、やっぱりわたしは、静かに観て、感想を胸に映画館をすぐに飛び出して、あれこれ考えながら夜風に吹かれ、歩いて帰るのが一番好きです。みなさんはどんな映画鑑賞タイプでしょうか?

(文:岩田 リョウコ)

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