必ずもう一度観たくなる『The Witch/魔女』は韓国版“カメ止め”!? 興奮度MAXで度肝を抜かれた話


圧倒的存在感を放った新人女優



『The Witch/魔女』の屋台骨になっているのがジャユンであることは言わずもがなだが、そんな彼女を演じたキム・ダミこそ、実は本作における本当の“怪物”なのかもしれない。繰り返しになるが、本作は前半で描かれる普通の女の子としてのジャユンと、覚醒後のジャユンという真逆をいく二面性が物語のポイントになる。こう言ってしまうと失礼だが、前半のジャユンは片田舎にいそうな平凡な女子高生としてのオーラがすごい。養父から「女の子なのだからもっとちゃんとしなさい」と苦言を呈されるほど壊滅的にファッションセンスがないことも手伝い、おそらくその辺りを歩いていても特段目がいくような雰囲気でもない。ところが覚醒後のジャユンといえば余裕の表情すら浮かべながら敵を血祭りにあげており、むしろ戦闘を楽しんでいるような、格の違いを見せつけ痛めつけることを満喫しているような雰囲気すら漂わせている。

そんなジャユンの二面性を際立たせているのは、ひとえにキム・ダミの演技によるものだ。そして特訓を経て挑んだアクションシーンも光っており、彼女の存在なくしてはこの作品は成り立たなかっただろう。そんなキム・ダミという女優が“新人”であるという点が、本作における“怪物”であるという点を際立たせている。あの異能アクションをこなすだけでも相当な熱意をもって挑んだはずであり、いうなれば2つのジャユンの性格も演じきったことになる。キム・ギドク監督の『嘆きのピエタ』で主演を務めたチョ・ミンスや、パク・フンジョン監督作の常連パク・ヒスンの存在も、もちろんキム・ダミに影響を与えていただろう。それにしても本作における彼女の存在感は凄まじいものがあり、オーディションを経て自らの手で勝ち取った主役の座なので当然といえば当然だが、キム・ダミは作品内で紛れもなくジャユンそのものだったといえる。

まとめ



『The Witch/魔女』は本国でも今年6月に公開されたばかりであり、大ヒットを記録した作品(最後になったが本作は「Part1」にあたり、続編に向けたカットも含まれている)。今回は「のむコレ」での上映となったが、行動範囲として可能であるなら、ぜひ劇場鑑賞をおススメしたい。本作は屋内という限られた空間の中で高低差を利用したダイナミックでド迫力のアクションを展開しているので、本来ならスクリーンで楽しむに越したことはない。今回の上映でさらに話題を呼べば全国公開への糸口にだってなる可能性もある。そんな日を迎え多くの人の目に触れられることになるまで、『The Witch/魔女』というタイトルをぜひとも目に焼きつけておいてほしい。

(文:葦見川和哉)

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