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2021-01-14

洋画実写

『ズーム/見えない参加者』がガチで怖くて面白いホラー映画である「3つ」の理由

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(C)Shadowhouse Films and Boo-Urns 2020



1月15日より、映画『ズーム/見えない参加者』(原題:Host)が公開されます。

本作の目玉は邦題どおり、日本でもコロナ禍のリモートワークで利用する方が増えたWEB会議ツールの「Zoom(ズーム)」を題材とし、ホラー映画に仕立てているということ。しかも、上映時間は(後述する約5分間の“おまけ“も含めて)68分とタイトであり、日本での鑑賞料金は1000円均一とリーズナブル。軽い気持ちでサクッと映画館でホラー映画が観たい、という方にも大いにオススメできます。



とはいえ、本編は「サクッと」などと表現するのが憚られるほど「ガチで怖くて面白い」と思える優れた作品に仕上がっており、実際に米映画レビューサイトRotten Tomatoesでは批評家からの100%の支持率を記録するほどに大評判を呼んでいます。

大きなネタバレのない範囲で、どのような工夫や魅力があるのか、以下から解説していきましょう。

1:「リモート飲み会あるある」な身近な恐怖を描く

あらすじ
新型コロナウイルスの蔓延のためにロックダウン中のイギリス。6人の友人グループは週に1度はZoomを介して定期的に集まる約束を交わしていた。今回行うのは、霊媒師をゲストに呼んだ「Zoom交霊会」。いつものリモート飲み会のノリで楽しそうに交霊の儀式を始めたメンバーだったが、それぞれの部屋で異変が起こり出す。



本作でまず特徴的なのは、「リモート飲み会(WEB会議)で実際に起こり得る身近な恐怖」が描かれていることでしょう。例えば、「なんか光ったよ?」「あれ?後ろに誰かいる?」「物音がしたんだけど」「マイクにノイズが入っている(ハウリングが起こっている)よ」「変なところが顔認証しているよ」といった、「なんとなく不安になる事態」が序盤から提示されているのです。

もちろん、現実ではこれらの「あるある」な事態はツールやネットワークの不具合だったりとか、同居人が映り込んでいたとかで、「なーんだ」で終わることがほとんど。しかし、この映画では交霊会という「心霊現象待ったなし」な状況でそれらが起こるため、「絶対ヤバい」という予感が常に漂い、実際にその予感は当たって地獄のような事態へとなだれ込んでいきます。

アイデア賞なのが「バーチャル背景」を利用していること。Zoomでは実際に自前の画像や動画を使って、自由に背景を変えることができるのですが、本作ではこのバーチャル背景をも「その手があったか!」と思える驚きの恐怖体験へと繋げていました。

言い換えれば、リモート飲み会で「こんなことがあったらイヤだなあ」と思ってしまうことを、実際に最悪の形で見せてくるという意地悪な内容(褒め言葉)なのですが、だからこそリアルに感じられて怖いのです。

もう1つ、リモート飲み会あるあるな「あの人が席を外したまま帰ってこないんだけど…」という不安も、本作では見事に利用しています。なぜなら、とある理由で「頼みの綱である霊媒師が席を外したまま帰ってこなくなる」のですから。心霊現象のプロがいなくて、この場には素人の若者たちだけ、という状況もまた怖い!

このような身近な恐怖を描くホラー映画といえば、『ファイナル・デスティネーション』シリーズもあります。同シリーズは、普段の生活の中で起こり得る「いきなりバスに轢かれる」や「高速道路で目の前を走っているトラックに積まれた丸太が落ちてくる」などの、まさに「こんなことがあったらイヤだなあ」な様々な事故が連鎖的な偶然(?)によって起きる様がウリになっていました。こうした身近な(事故の)恐怖はこのコロナ禍の巣篭もりのためにちょっと感じにくくなっていたと思ったら、まさかおうち時間のリモート飲み会でも提示されてしまうとは……本当にイヤですね(褒めています)。

さらに、本編終了後にはおまけとして、「約5分間のリハーサル映像」が流れ、そこでは実際に起きた心霊現象の様子が描かれています。本編のように派手な内容ではないのですが、そのことがかえってリアル(実際に本当)。このリハーサル映像があってこその「後味の悪さ」もサービスと言えるでしょう。本作を観れば、リモート飲み会のたびに、この映画の恐怖を思い出してしまうかもしれません。

2:計算し尽くされた構成と、ジェットコースターのように起こり続ける心霊現象



本作は、様々な心霊現象が脈略なく起きる内容に思われるかもしれませんが、実際の脚本や構成は相当に計算がし尽くされています。例えば、序盤で登場した「操り人形」や、屋根裏で「一瞬映った何か」などの、何気ないアイテムや出来事が、しっかり後の展開を暗示していたりするのです。

その序盤ではたわいもない会話が続くのですが、それぞれがキャラクターの性格や、コロナ禍の世相も表現されています。「今の時代じゃオナラよりも咳が恥ずかしいよ」「ロックダウン中だからスキンケアしているの」「ロックダウンを期に同棲を始めたらしいよ」といった言動からも、それぞれで「こういう人なんだろうなあ」と想像が及ぶでしょう。

それ以降は、ホラー映画では定番の「登場人物が決定的な失敗をやらかしてしまう」もしっかり提示されます。具体的には、霊媒師は「霊には敬意を払いなさい」と明確に警告をしていたのに、あるキャラクターは見事にそのフラグを回収して、決定的に霊を怒らせる行為をしでかしてしまいます。

序盤こそ心霊現象は「じわじわ」と示されている程度ですが、終盤は一瞬の瞬きも許されないほどの、ジェットコースターのような派手な心霊現象のつるべうち。それらがバラエティ豊かなので、全く単調にならず飽きさせません。昨今のホラー映画では嫌われがちな、ジャンプスケア(大きな音で驚かす)の演出もあるにはあるのですが、「ここぞ」という絶妙のタイミングでだけ、必要最小限に活用されていたので、不快感なく観られるでしょう。

これほどまでに計算し尽くされた「よく出来ている」ホラー映画が、企画から公開までわずか12週間で完成しているというのも驚異的。監督のロブ・サヴェッジは弱冠17才で初監督を務めた作品が英国インディペンデント映画賞レイダンス賞を最年少で受賞したという俊才で、これからも注目されるべき存在であることは間違いありません。

ちなみに、本作はリモート飲み会でが仕掛けたいたずらがネット上で拡散されため、米最大のホラー配信サービスで映画化が決定したという経緯があります。ネットの投稿やSNSがきっかけで映画化が決定される例はままありますが、本作はコロナ禍というタイミングでこそ生まれた作品であるということも、また感慨深くあります。


3:「パソコン画面上だけで展開する」ことこそ、映画との相性が抜群だった

本作は「全編がパソコン画面上だけで展開する」作品でもあります。それだけを捉えれば、「ずっと集中して観続ける映画とは相性が良くないのでは?」「途中で飽きてしまうのでは?」と思われるかもしれません。しかし、本作は予想を大きく上回って、むしろ「パソコン画面とホラー映画って相性が抜群だ!」と思えるようになっています。

なぜなら、映画は「観続けることしかできない」娯楽媒体だから。劇中で何が起ころうが、観客はそれに介入することは一切できず、ただ画面を観ることしか許されない。それは、劇中のパソコン画面上で、登場人物がZoom越しに友人が心霊現象に遭う様を見ていても、物理的に何も手助けをすることができない、恐怖に怯えるしかない、という状況にシンクロしているのです。

世にある全てのホラー映画も同様に、観続けることしかできないからこそ怖い、という事実を、この『ズーム/見えない参加者』から遡って気づくことができるでしょう。特にラストシーンでは「登場人物とほぼ同じ目線」でこそシンクロする、やはり「観続ける」からこその恐怖体験があるはずです。

おすすめのパソコン画面上で展開するスリラー/ホラー映画3選

最後に、『ズーム/見えない参加者』と同じく、ほぼ全編がパソコンの画面上で展開する、おすすめのスリラー/ホラー映画を紹介しておきましょう。こちらはリアルに「パソコンで」観ても臨場感が得られるかもしれませんよ。

1.『search/サーチ』



現状、ほぼ全編がパソコンの画面上で展開する映画の中で最も完成度が高く、また万人向けと思われるのが、この『search/サーチ』。行方不明になった娘を父親が必死で探すという目的がはっきりしており、SNSの履歴などから事件の真相を突き止めていくという推理要素など、誰もが面白い!と思える内容になっていました。新たなキャラクターによる続編の企画も始動しているとのことで、期待に胸が高まります。現在はNetflixで配信されています。

※こちらの記事でも紹介しています↓
映画『search/サーチ』が超圧倒的に面白い「5つ」の理由!

2.『アンフレンドデッド』



ネットいじめにより自殺した少女の亡霊の呪いが、登場人物を襲うという内容です。アプリのフリーズやバグといった日常的な現象をも恐怖へと繋げており、種々のアイデアに存分に感心できる内容になっていました。現在はU-NEXTやdTVで見放題です。なお、続編の『アンフレンデッド:ダークウェブ』もあり、こちらは心霊現象というよりもサイバー犯罪に巻き込まれてしまう様を追った内容になっていました。リアリティを考えると無茶に感じてしまうシーンもありますが、趣向を変えた続編として挑戦的な1本となったといっていいでしょう。

3.『真・鮫島事件』



こちらは日本の作品です。序盤から多種多様な心霊現象がぶっ続き、終盤にはテレビゲームのようにミッションをこなしていく展開になるという、サービス精神満点の内容になっていました。『ズーム/見えない参加者』と同じく新型コロナウイルスが蔓延した後に製作された作品で、序盤から「行き交う人々がみんなマスクを着けている」 という描写があり、「鮫島事件」というネット上の都市伝説とコロナ禍の世相を結びつけたアイデアも秀逸でした。武田玲奈をはじめとした若手俳優の熱演も見どころです。2020年11月に劇場公開された作品であるのでまだ配信はされていませんが、侮ることなく観てほしい秀作ですよ。

(文:ヒナタカ)

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