2018年12月06日

田中圭、大活躍の1年で見せたラブストーリーの演じ分け

田中圭、大活躍の1年で見せたラブストーリーの演じ分け

田中圭写真集「R」 (ぴあMOOK)



今年4月クールで放送されたドラマ「おっさんずラブ」に主演したのをきっかけに、今年の顔と言えるほどの活躍ぶりを見せる田中圭さん。

これまで、数多くの作品に出演してきたなかで、2000年のデビュー以来、毎年のように途切れることなく連続ドラマに出演しています。特にこの数年は多数の作品で重要なキャラクターを演じており、今年だけで5作品のドラマに出演しています。

それに加え、バラエティ番組など演技以外にも活躍の場を広げています。活躍に平行するようにタフさを発揮する田中さんの活躍を振り返ります。

「獣になれない私たち」




新垣結衣さん、松田龍平さんのW主演で放送中(日本テレビ)のドラマです。

主人公・深海晶(新垣結衣)の恋人として登場した、田中圭さん演じる花井京谷(きょうや)。京谷の元彼女で、京谷の家に住み着いていた長門朱里(黒木華)も登場し、複雑な関係性が描かれていました。

話が進展して晶と別れることになった京谷ですが、仕事で顔をあわせることがあるなど気まずい雰囲気のふたりです。朱里との関係も完全には切れておらず、昨夜放送された9話でも、京谷の母親とゴタゴタに。

田中さん演じる京谷は仕事はまじめにこなし、同僚ともそれなりに仲良くやっていながら、以前付き合っていた恋人と折り合いがつかないことや、それによって現在の恋人との関係をおろそかにしてしまったりと、デキる男っぽくて、肝心な部分を抜かしてしまうような性格を持っています。

とはいえ、憎みきれないのが京谷の魅力でもあり、嫌われすぎないバランスを保っているのは田中さんのお芝居による部分が大きいのではないでしょうか。田中さん自身、これまでにも圧倒的に個性が強く刺激的なキャラクターよりも、実在しそうなリアルさが際立つ人物を演じることが多かった印象ですが、その経験が京谷として存分に発揮されていますね。

「おっさんずラブ」


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人気を博した「おっさんずラブ」で田中さんが演じた春田創一も、ぽんこつのダメ男っぷりが際立っていました。

突然母親に「自立しろ!」と家を追い出され、一人暮らしをすることになったものの、一切の家事ができず困っていました。そこで、同じ不動産屋で働く後輩の牧(林遣都)の生活ぶりに惹かれ同居をはじめたら、牧に告白されたりと様々に人間関係が動きだしましたね。

春田自身、幼馴染のちず(内田理央)に好意を寄せていながら、アピールしたりアプローチしたりすることができずにうじうじした日々を過ごしています。

「おっさんずラブ」は男性同士の恋愛模様を描き、胸キュンシーンや王道の展開も豊富です。その分、切なくなる場面もありましたが、コミカルな要素も含まれていて、観ていて嫌な気持ちになる場面はありませんでした。

視聴者の共感を得る作品で、人として「できる」部分よりも、「できない」部分のお芝居が秀逸な田中さんが評価されるのは当然のことと言えるのかもしれません。

「ダブル・ファンタジー」


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今回紹介する3作品では、いずれも田中さんが演じるキャラクターの恋愛を描いていながら、それぞれに全く違い印象を受けます。とくに、「ダブル・ファンタジー」(WOWOW)はオトナなラブシーンもあり、これまでとは違う田中圭さんが観られた作品でもあります。

田中さん演じる岩井は、人気脚本家の主人公・高遠奈津(水川あさみ)の元恋人で、奈津の先輩にあたります。後輩である奈津に対して敬語を使い、清楚な印象なのが特徴的で、仕事で再会したふたりは、ともに既婚者だからこそ、お互いのプライベートには干渉しない「仲良しのエッチ」をする関係に。

地上波で放送されるドラマよりも踏み込んだラブシーンになっていますので、田中さん至上、色気を感じるキャラクターだったかもしれません。本作は、主人公・奈津が欲望のままに奔放に生きる様子を描き、女性目線の作品ですが、奈津の視点を通して見る岩井に、田中さんのお芝居としても新たな魅力を感じます。

途切れることのないドラマ出演で磨かれた演技力


役者の中にも、映画を中心に出演する人もいれば、ドラマ中心の人、舞台中心の人、それらにバランス良く出演している人などさまざまです。

田中圭さんは公開中の映画『スマホを落としただけなのに』ほか、『伊藤くん A to E』、『マンハント』と今年は3作品に出演しており、映画界でも十分に活躍していると言えますが、いずれも主演ではありません。今年は舞台にも2作品出演していますが、これまでのキャリア全体を考えるとドラマでの活躍が中心であり、ドラマ出演によって進化してきたと言えそうです。

主戦場にどこを選ぶのかは、それぞれの役者の自由であるにせよ、ドラマは放送と平行して撮影されることも少なくありませんし、連続ドラマへのレギュラー出演となれば、1作品あたり、通常約3ヶ月にわたって多忙な日々を送らなければなりません。これだけ多くの作品に出演しているということは、同時期に複数の役を掛け持つこともあったはずです。

これだけの作品数を経て、さらにはドラマに縛られず、映画や舞台に出演しつづけたからこそ、人気や知名度が上がっても安定したお芝居で視聴者を魅了してくれるのでしょう。

出演中のドラマ『獣になれない私たち』も、昨日の第9話を終え、いよいよドラマとしてのクライマックスへ。ドラマが終わってしまう寂しさもありますが、今月15、16日には「AbemaTV」にて「田中圭24テレビ」の放送を控えているなど、年末まで田中圭さんを目にする機会もまだまだ多そうです。

「田中圭イヤー」となった2018年、最後の最後まで楽しみたいものです。

(文:kamito努)

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