インタビュー
平成仮面ライダーとは“謎の概念”!?『仮面ライダージオウ』白倉P&武部Pに篠宮暁が直撃!
平成仮面ライダーとは“謎の概念”!?『仮面ライダージオウ』白倉P&武部Pに篠宮暁が直撃!
篠宮:それでは、映画についてもお伺いしたいのですが、今作の内容はどのように詰めていかれたんですか?
武部P:平成仮面ライダーの本当に最後なので、みんなが駆けつけて、みんなで悪い奴をキックする、っていう映画はダメだ、となって。じゃあ、どうするんだろう、と(笑)。
白倉P:とはいえ、最後に強い敵が出てきて、どんどん駆けつけて…ということに違いはないんです、とか。
武部P:そう。それも大事とか。丸ごと直しを何回もやり、やってもやっても、プロットとか脚本打ち合わせが終わらず…。いつになったら、この台本は出来上がるんだろう…みたいな(笑)。
篠宮:じゃあ、何稿も何稿も繰り返して。
武部P:10稿くらいですね。
篠宮:え〜!!
武部P:「準備期間ゼロの中、ありがとうございました」って監督がクランクアップのときにおっしゃったんですけど(笑)。普通だったら20日間くらい準備期間があるのに、クランクイン前のお祓いをする日にようやくみんなの手元に台本が渡り、撮影と同時進行で打ち合わせとかロケハンをしてたみたいな。
篠宮:時間を扱うという点で、『電王』の映画や『オーズ・電王・オールライダー レッツゴー仮面ライダー』が浮かんだんですけど、今回はさらに深いところに挑戦されているなという印象でした。現実と虚構という…。
武部P:そうなんですよね。それ言っちゃっていいんだ、っていうところに切り込んだんですけど。どうですか、白倉さんからこの映画を話すと。
白倉P:平成仮面ライダーという言葉は、もともとファンが言い始めたというか、平成ゴジラとか平成ガメラ、平成ウルトラマンを経て、外からやって来たワードなんですよね。「通りがいいから」と無自覚に使い始めたフレーズでありながら、“平成ライダー何作記念”とか、“平成ジェネレーションズ”とまで言い放ち、ここまで我々が言い続けた平成ってなにさ、と。平成と仮面ライダーの関わりとは? 平成が終わって、時代が終わるということ、それは仮面ライダーにとっていったい何が終わるのか? 当たり前ですけど、平成とはなんなのかということに一回たりとも向き合ったことがなかったんですよね。
『ジオウ』が20作記念と称してレジェンドライダーをピックアップしていくテレビシリーズの役割とは別に、今回この映画でやるべきことは仮面ライダーと平成との関わりをきちんと見つめなおすことだと思ったんです。そこで、平成とは何かを考えると、当たり前ですけど、平成は“現実”なんですね。で、平成という“現実”と仮面ライダーという“虚構”が合わさったときに、平成仮面ライダーという謎の概念が生まれているわけです。どうしたって現実は仮面ライダーの外にあって、我々を含めた視聴者、観客としての現実から目を背けることはできないんです。
篠宮:現実を巻き込む感じが、『超光戦士シャンゼリオン』にも通じるところがあるなと。
武部P:最終回ですね。構造的なお話でした。
篠宮:そういう作り方が白倉さんらしいのかななんて、勝手に思ったんですが。
白倉P:そういう仕掛け的なことがやりたかったというよりも、現実世界っていうものを描きたかったんですよね。でもそれを描くとエンターテイメントにならないので、どうにかそれをエンタメにするために、二重構造とはちょっと違うんですけど、現実と虚構みたいな形に…。『ネバーエンディングストーリー』とか『ドラえもん のび太の魔界大冒険』とかもそうかな? コンセプトとしてはそういうことなんだけど、どうしたらエンターテイメントにできるんだ、っていう。
「平成ライダーとは?」という定義がしたいわけじゃないんですね。要するに現実を生きている視聴者、当時子供で今は大人になったという人もたくさんいらっしゃるでしょうけど、我々を含めてそういう人たちと一緒に仮面ライダーが歩いてきたんだということをきちんとお客さんに返すものにしたかった。
武部P:そうですね。平成の終わりにふさわしい仮面ライダー映画というと、平成ライダーファンに送るというテーマにならざるを得ないというか。『仮面ライダーアギト』とか『龍騎』とかを見てたけど、今は見てないっていう人も含めて、そういう人たちに贈る映画、ということですよね。『電王』を選んだのも時間モノということだけではなくて、子供の頃に『電王』を見てた人は今ちょうど大人になっていて、その世代にもハマるということですよね?
白倉P:そう。大人でもないんだけどね。奥野くんとか、今18歳の子が見ていたのが『電王』とか『キバ』とか。
武部P:2000年にスタートした『仮面ライダークウガ』の歳に生まれ、仮面ライダーと同じ時代を生きてきた子は『電王』くらいがジャスト。
白倉P:奥野くんが『クウガ』を見てないっていうのは、生まれる前に始まった作品だからね。番組は見てないけど、一緒に人生を歩んできているという事実だけはある。そこをどういう風に物語として咀嚼していくのか。そこで、作品としては『電王』、『仮面ライダーW』をフィーチャーしている。
篠宮:脚本を担当した下山健人さんとも、そのあたりのお話を最初にされたわけですか?
白倉P:そうですね。
武部P:そういう話をしているうちに、もう1人の男の子、2000年くらいに生まれた裏ソウゴというか、やはり2000年に生まれて影を歩いてきた存在というのはどうか、という話も出てきましたよね。同じ平成を歩んできた人生といいますか。あと、仮面ライダーの遺伝子が入ってるとか、すべての時代で実は仮面ライダーと会っている男の子とかそういうお話もありましたね。でも、やはり主役となるべき、ジオウとなるべき運命をもった少年、という存在が王様になっているんですね。その辺のところも映画に凝縮されているんでしょうか。
白倉P:その思いはある。 篠宮:映画をみて、お客さんも「このとき、何してた」って思い出すでしょうね。
武部P:それもあると思います。大人になって最近の作品は見ていない、という人たちにみていただけたらうれしいですね。
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