特撮向上委員会
万丈を堪能できる『ビルド NEW WORLD 仮面ライダークローズ』の魅力を力説
万丈を堪能できる『ビルド NEW WORLD 仮面ライダークローズ』の魅力を力説
いまだに興奮が全然冷めないほどの熱い作品、保温力サーモス並みの神映画「仮面ライダー 平成ジェネレーションズFOREVER」。
映画館を揺るがせたサプライズ、丁寧に描かれた各ライダーキック、スクリーン一杯に疾走させたバイク達、クウガを呼ぶ親子。
目を閉じればすぐに浮かぶほど、強烈に焼きついたシーンの多い映画でしたが
冒頭のビルド4ライダーが揃ったシーンで、僕はすでに興奮度MAX。
やっぱり「ビルド」はいい。
何もかもが噛み合っています。
それを再確認できた状態で、待ちに待った『ビルド NEW WORLD 仮面ライダークローズ』を見させていただきました。
監督は「平ジェネFOREVER」に引き続き山口恭平監督。
山口監督、きっと人間じゃありません。
こんな短期間に、これだけの傑作を2本も作れるはずがありません。
きっとパンドラボックスの力を使ったか、ご自身を人体実験されたに違いありません。
(C)2019 石森プロ・ADK・バンダイ・東映ビデオ・東映 (C)2017 石森プロ・テレビ朝日・ADK・東映
冒頭から一気にビルド脳に切り替わる。
そのスイッチのひとつは、まず川井憲次さんのあの楽曲。
この音楽すごいわ。
イントロ聴くだけで一気に『ビルド』の世界観にどっぷり浸れるんですから。
余談ですが、僕は生粋の東映っ子なのでウルトラマンシリーズをあまり見たことないのですが、「ネクサス」と前作の「ジード」はがっつり見てまして。
蓋開けてみたら、この両作ともなんと川井さんが音楽担当。
魔法がかった中毒性のある川井さんの音楽に、どうやら知らぬ間に引き寄せられてるみたいです。
『非公認戦隊アキバレンジャー』は言わずもがな。
二つ目のスイッチは「ビルド」ならではの冒頭のナレーション。
最終回でも描かれたナレーション部分の回収の仕方はシビレまくると大絶賛だったわけですが、その続きから丁寧に入っていく武藤将吾さんの脚本は最終回のシビれを思い出させてくれて即ボルテージを上げてくれます。
山口監督も化け物ですが、武藤さんも化け物。
「ビルド」で特撮ファンを虜にしたと思ったら、ドラマ『3年A組―今から皆さんは、人質です―』の脚本も担当され、またそれが今期のドラマで一番評判が良いという始末。
「3年A組」を見てる人が、展開早すぎてストーリーが保つのかという心配してるのをよくSNSで目にしますが、「ビルド」ファンはもう分かってます。
大丈夫だということを。
「ビルド」も始まった頃は同じ心配をされてましたが、1年間面白さを落とさなかったという信頼が武藤さんにはあります。
(C)2019 石森プロ・ADK・バンダイ・東映ビデオ・東映 (C)2017 石森プロ・テレビ朝日・ADK・東映
約60分の作品ですが、唸りっぱなしの60分でした。
新世界に取り残された戦兎と万丈でしたが、他のメンバーの記憶が戻ります。
この戻り方がまた秀逸でした。
なにが秀逸かって、記憶が戻るルールに矛盾がなく、最初からこの展開を考えてたのではないかという完璧さに恐怖すら感じるほど。
復活後のカズミンと幻さんに拍手。
このコンビ本当に好き。
かっこよさと面白さを兼ね備えたコンビのおかげで、どんな悲劇も辛くなく見ることができます。
「ビルド」らしさといえば、その悲劇の描き方。
永尾まりやさん演じる馬渕由衣が、まぁ可哀想。
でも、そこはさすがの山口監督。テレビシリーズよりは過激に、だからといってやりすぎずのバランスが絶妙でした。
そして、当たり前ですが万丈が活躍しまくります。
見ていて気持ちいいほどに万丈を堪能できるんですが、それに負けず劣らず存在感をガンガンに出してくるのがキルバス役の進藤学さん。
『海賊戦隊ゴーカイジャー』のシド、『超星艦隊セイザーX』のアドとはまるで別人かと思うほど、今作では純度の高い悪役を演じる進藤さん。
表情の筋肉の動かし方、目を惹く体の動かし方、派手なスーツからチラつかせる肉体美。
『仮面ライダーエグゼイド』の檀親子に匹敵するほどのアクの強さで、テレビシリーズに出演されてたら間違いなく人気が出てたであろう役。
最終回で戦兎と万丈が再会した噴水に寝そべるキルバスという演出が、またニクい。
というか、数年前に話題になったオチョ感が満載でした。
たった60分の作品なのにフックが山ほどあるこの作品。
テレビシリーズの後日談なので、最終回あたりをもう一回見直して、改めて今作を見たいと思います。
(文:篠宮暁)
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