映画コラム

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2019年03月01日

『スパイダーマン:スパイダーバース』が大傑作となった「8つ」の理由!全人類必見!

『スパイダーマン:スパイダーバース』が大傑作となった「8つ」の理由!全人類必見!



5:日本語吹替版がとにかく最高!
悠木碧さん演じるヒロインが超カッコいい!


本作は日本語吹替版のクオリティが超最高であったことも強く訴えたい! 点数を簡単にインフレさせるのは安っぽいのでごく控えめに言いますが、吹替の出来は100点満点で66兆2000億点です!

何が素晴らしいって、実力と人気を兼ね備えた本業声優さんたちがハマりにハマりまくっているということ! 小野賢章さんは親しみやすい主人公にバッチリで、宮野真守さんのやさぐれ感と優しさを兼ね備えた“師匠”キャラにも惚れ惚れでき、大塚明夫さんの渋さと茶目っ気のある声には危うく想像妊娠しかけ、さらにはスパイダー・ハム役に吉野裕行さん、悪役のキング・ピンに玄田哲章さんと……声優さんのファンは耳が幸せどころじゃありません。吹替の素晴らしさそのものに感動して泣けるレベルです(自分は冗談抜きで泣きました)!

何より、悠木碧さんが演じるヒロインが超カッコいい! 彼女がいかに魅力的かということは、悠木碧さんご本人が「作中で一番イケメンだったと思います!」「たぶん生まれた瞬間からかっこいい!」「ナチュラルイケ女!」「器が大きい!」「演じながらずっとグウェンちゃんに惚れておりました!」などと興奮ぎみに絶賛するほど。“ミステリアスでクールなかっこいい系女子”の魅力を日本語で堪能したいのであれば、普段はキュートな役が多い悠木碧さんのカッコいい面を聞きたいのであれば、絶対に!吹替版を(も)!お願いですから!観てください!

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さらには、前述したペニー・パーカーという名前の女の子を演じるのは、「魔法つかいプリキュア!」の朝日奈みらいや「この素晴らしい世界に祝福を!」のめぐみんなど、人気アニメ作品でキュートなキャラを演じてきた高橋李依さん。ただでさえ可愛いペニー・パーカーの破壊力(萌え的な意味で)が増し増しになっており、観た後は「彼女のスピンオフ作品を作ってください!マジでお願いします!」と心の底から訴えるほど!



さらには、多数のアニメ作品で音響監督を務め、現在は悠木碧さんも出演されている『劇場版 幼女戦記』が公開中の岩浪美和氏も、『スパイダーマン:スパイダーバース』の日本語吹替版での音響監督であることが予告編で大きく打ち出されています。実は『スパイダーマン:スパイダーバース』はアメリカ映画の音響編集のプロ集団が選ぶゴールデン・リール賞の長編アニメ映画音響効果部門も受賞しており、その優れたサウンドデザインも魅力となっているのです。

何より、本作は前述した通りフィル・ロードとクリス・ミラーのコンビらしい“おいしい展開や見せ場を良い意味で過剰なまでの物量で繰り出してくる”という内容であり、それは「字幕を追うのが大変なほどの情報が詰め込まれている!」ということでもあります。そのため、普段は字幕派という方は、今回は吹替版を(も)積極的に選んでみることをお勧めします! 吹替版限定でエンドロールに流れる“TK from 凛として時雨”の主題歌『P.S. RED I』も、映画の余韻を邪魔することがない、作品に合った素晴らしい楽曲だと思います。さらに、吹替版では劇中に表示される“吹き出し”のほとんどが丁寧に日本語化されていて、とても観やすくなっていますよ。

なお、字幕版での声の出演は『トゥルー・グリット』や『バンブルビー』のヘイリー・スタインフェルドや、『ザ・ロック』や『フェイス/オフ』のニコラス・ケイジなどとやはり豪華。しかも主人公の叔父さんを、現在公開中の『アリータ:バトル・エンジェル』の他、アカデミー賞で作品賞を含む3部門に輝いた『グリーンブック』にも出演しているマハーシャラ・アリ(同作で助演男優賞を受賞)が声を当てています。言うまでもなく、字幕版でこれらの豪華な出演陣の声を堪能してみるのもいいでしょう。

余談ですが、主要登場人物を演じた小野賢章さん、宮野真守さん、悠木碧さんが出演する全4回の特別番組「スパイダーバース特別授業〜小野くんと悠木さんと宮野先生!〜」がYouTubeに公開されています。内容は本業のお笑い芸人さん顔負けのボケとツッコミが応酬する愉快なもので、悠木碧さんが「男の子を可愛く描くことに関してはマジですごく最高の作品だった!」「ありとあらゆる男の子がすごく可愛かった!最高!」「少年からおじさんまでそろえてる」などとキャラの魅力を絶賛していることや、とあるシーンで「君は闇が深いの?」と宮野真守さんにツッコまれていることにも注目ですよ。


6:泣けるのに笑える!笑えるのに泣ける!
何度でも観たくなる理由もそこにあった!


本作はとにかく楽しいエンターテインメント作品であると同時に、「泣けるのに笑える!」「笑えるのに泣ける!」という、同じシーンに切なさと笑いが同居している作劇がなされているということも特筆に値します。

例えば、これまたフィル・ロードとクリス・ミラーらしい“超高速の編集で手っ取り早く見せるシーン”でサラッとキャラクターの過去が描かれるのですが、提示の仕方がコミカルで笑える一方、それは「え?これはかなりキツいのでは?」とも思える悲劇的な事実であったりもするのです。

その他にも、キャラクターの言動や行動はおおむねコミカルでクスクスと笑えるのですが、それらが各々の“自己犠牲的”な行動原理、または悲劇的な過去に裏打ちされていたものになっていたりするのです。

詳しくはネタバレになるので書けないのですが、序盤の主人公の叔父さんの言動、集まった並行世界のスパイダーマンたちが率先して担おうとしていた役割がどのようなものであったか、中年のピーター・パーカーが終盤に出会う人物が誰でありどういう立ち位置であるのかなどなど……それらは表向きには明るく楽しいシーンであるようで、彼らの心情を(後から)深く考えてみると……泣けて仕方がなくなるのです。

この特徴は、同じアメコミ映画で言うところの『デッドプール』および『デッドプール2』にも似ています。主人公のデッドプールはずっとおちゃらけているいい加減なキャラなのですが、そのおふざけは尋常ではないほどの悲劇な過去を背負っていたからこその“抵抗”としての手段、悲劇を笑いで覆い隠そうしているような不憫さや健気さも感じさせるのです。『スパイダーマン:スパイダーバース』のキャラそれぞれが悲しい過去を背負っているのに、表向きは明るく振舞っているというのは、デッドプールがふざけている理由とほぼ同じと言ってもいいのではないでしょうか。

本作が上手いのは、悲しいシーンで過剰に悲劇的な音楽を流すといった安易な演出に頼ることなく、表向きは明るく振る舞うキャラたちの姿を見せること、時には超高速の編集でサラッと見せることで、むしろ悲劇性が際立ってくるということ。悲劇的なシーンを「さあ泣け」と言わんばかりの大仰な演出でダラダラと見せるよりも、こうした方が盛り上がるし、人間ドラマにも泣けるんですよ!

それは同時に、本作が“何度でも観たくなる”奥深さを備えている理由にもなっています。ちょっとした言動や行動からも、(映画では明確に描かれなかった)心情や過去にも様々な想像が膨らみ、より一層キャラそれぞれが大好きになれるのですから。

そんな愛すべきキャラたちが終盤で…(ネタバレになるので自粛!)…する様は涙が頬を伝うどころじゃありません。“泣き笑い”による感動が極に達する最高のクライマックスを、ぜひ映画館で見届けてください!

余談ですが、本作におけるギャグには辛辣でちょっとブラックなものもあり、お決まりの展開をあえて避ける“外し”も多いという、やはりフィル・ロードとクリス・ミラーらしさが全開です。その中には、スパイダーマンのファンであればより笑える小ネタや「えっ!」と驚ける設定も用意されています。それらの意味が分からなかったという方は、これまでのスパイダーマン映画シリーズを“後追い”で観てみるのも良いですよ。



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