『ウィーアーリトルゾンビーズ』ヒカリの吸い込まれそうな瞳の奥深くにあるものとは…?
どうも、橋本淳です。
36回目の更新、今回もよろしくお願いします。
死んだ魚のような目。
をしているね、と最近よく言われます。生気がないのか無なのか、どう捉えられているか分かりませんが。
なんとなくですが、自分としては褒め言葉として捉えています。
映画とか写真とか観ていると、そういった瞳をしている人を魅力的にみえてしまうからかもしれません。
一見、何を考えているか分からないけれども、その奥には何か深い感情を孕んでいるように見える。受け取るほうが想像してしまう。説明を排除して、訴えかれられているような気がして、ずっと見つめてしまいます。それは闇なのか希望なのか、はたまたエネルギーを内包しめいるのか、と、、、
この映画を観てそう感じてしまいました。
今回はコチラの映画をご紹介。
『ウィーアーリトルゾンビーズ』
インディペンデント映画の映画祭、第35回サンダンス映画祭で審査員特別賞を。第69回ベルリン映画祭では、ジェネレーション14plus部門でスペシャルメンション賞を受賞した注目作。
両親が死んだ。悲しいはずなのに泣けなかった、4人の13歳の少年少女たち。彼らはゴミ捨て場でバンドを組むことを決めた。こころをとりもどすために。
火葬場で出会った、ヒカリ、イシ、タケムラ、イクコの4人の少年少女たち。皆、両親を亡くしたばかりだった。ヒカリの両親はバス事故で事故死、イシの両親はガス爆発で焼死、タケムラの親は借金苦で自殺、イクコの親は他殺。なのに泣けなかった。まるで感情のないゾンビのように。夢も未来もない4人のゾンビたちは、それぞれお気に入りのアイテムをそれぞれの家から持ち寄った。ポケットゲーム、中華鍋、ベース。ピアノは、、持ってこれなかった。
そしてゴミ捨て場でとびきりのバンドを組むことに。その演奏を見かけた、ある男は"LITTLE ZOMBIES"を撮影して、アップロードする。その動画は拡散され、なんとデビューすることに。アルバムのタイトルは「殺したのは誰だ?」
彼らが、こころをとりもどすために歩んだセーブの出来ない冒険の記録。4人がたどり着いた先で見つけたものは、、
予告編を観てからずっと気になって、上映が始まりすぐに映画館に駆け込みました。
ファーストカットからシニカルな始まり。さらにはオープニングのドット絵と90年代に流行したゲームのような音楽。それでもう、グワシと心を鷲掴みされました。
4人は無表情で感情出さずな表情とセリフの出し方の演出で、より言葉が観ている者にグサグサ刺さってくる。メモを片手に観ればよかったと、開始から思ってしまうほどの、突き刺さる少年少女の台詞台詞。
周りを固める豪華俳優陣も魅了的だが、個人的に特に印象的だったのは、ヒカリ役の二宮慶多の吸い込まれそうな瞳。奥深くに何か潜んでいるような眼差し。否が応にも、色々と想像してしまう。
監督は、長久允。
CMプランナーと働く傍ら、映画やMVなどを監督。2017年には短編映画『そうして私たちはプールに金魚を、』で第33回サンダンス映画祭ショートフィルム部門でグランプリを受賞。今作が長編映画デビューとなる。
早くも次回作を期待してしまいます。それほどのめり込んでしまいました。
アナログな手法の中に、印象的なカットのオンパレード。この作品への覚悟とこだわりを感じる。
ライブシーンは、映画用カメラではなくiPhoneでのワンカット撮影を実施し、多くの人の心に強く残るシーンを創り上げた。
ファーストカットから、ラストカットまで目が離せない作品。ラストの俯瞰の画は、観るものに何を語りかけるのか、、
それは是非、映画館で観ていただきたい。
日本のインディペンデント映画が、世界に切り込んでいった傑作映画。
皆さま、是非!!
それでは今回も、おこがましくも紹介させていただきました。
(文:橋本淳)
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(C)2019“WE ARE LITTLE ZOMBIES”FILM PARTNERS
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