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2019年06月29日

『ニューヨーク 最高の訳あり物件』“ドイツの大竹しのぶ”カッチャ・リーマン インタビュー独占入手

『ニューヨーク 最高の訳あり物件』“ドイツの大竹しのぶ”カッチャ・リーマン インタビュー独占入手




6月29日(土)公開の映画『ニューヨーク 最高の訳あり物件』より、ドイツを代表する演技派女優カッチャ・リーマンのインタビューが到着した。

第30回東京国際映画祭コンペティション部門で『さようなら、ニック』のタイトルで上映され大絶賛をうけた本作は、カンヌにその才能を見出され、近年では『ハンナ・アーレント』が日本でも大ヒットした知性派のマルガレーテ・フォン・トロッタ監督が、初めてコメディ・ドラマに挑んだ意欲作。

マンハッタンの超高級アパートメントに暮らすモデルのジェイドは、デザイナーとして華々しいデビューを企画していたが、スポンサーでもある夫ニックに突然離婚を告げられてしまう。さらに、傷心の彼女のもとに夫の前妻であるマリアが転がり込んできて、慰謝料として残された部屋の所有権を巡ってふたりのおかしな共同生活が始まることに...。




かつて夫を奪った恋敵が暮らすマンハッタンの超高級アパートメントに突如舞い戻ってくるマリアを演じたのは『帰ってきたヒトラー』や『生きうつしのプリマ』のカッチャ・リーマン。ジェイドのセレブな趣味やこだわりを、毒舌と思い切った行動で次々と斬り捨てる姿はまさに爽快!20世紀文学の博士号を持つインテリであり、プロ級の料理の腕で2人の子どもを立派に育て上げた家庭的なマリアを魅力たっぷりに好演している。

実は彼女が、マルガレーテ・フォン・トロッタ監督作へ出演するのは『ローゼンシュトラッセ』(03)、『もうひとりの女』(06)『生きうつしのプリマ』(15)に続く4度目。15年以上の長い付き合いであり、幾度とキャリアをともにしてきた関係性だからこそ語れる監督の魅力や驚きの出演経緯、さらに自身のことまでたっぷりと語ってくれた。

――フォン・トロッタ監督とはこれまで何度もお仕事をされていますが、長年映画界で活躍されている監督の魅力はどういったところでしょうか。
カッチャ・リーマン(以下、KR):彼女は重さと軽さのバランスの取り方がものすごくうまいです。とても知的で教養もありますが、それでいて人間らしいハートも持ち合わせています。人間としても、また監督としても変にシニカルなところがなく、人間というものに興味を持っているから、俳優たちのことも愛してくれます。だからこそ、俳優たちと密度の濃い関係を築き上げることが出来るのです。彼女は私の友人でもあるのですが、私も彼女のことが本当に大好きです。

――本作への出演のいきさつを教えてください。
KP:これには複雑な経緯がありまして、実は本作、はじめは『ハンナ・アーレント』に出演していたバルバラ・スコヴァとジャネット・マクティアがそれぞれジェイドとマリアを演じる予定で計画が進んでいたんです。でもスケジュールの都合で出演出来なくなってしまったようで、急遽私のところに話が来たんですよ。

――監督自身「盟友」と呼ぶあなたに白羽の矢が立ったということですね。出演の決め手はなんですか。
KR:急いで脚本を読みましたが、作品のコンセプトも面白かったし、わたしとしてはとにかくまた彼女と一緒に映画を撮りたいと思っていましたのですぐに出演を決めました!

――まさに監督の窮地を救う形となったわけですね。ジェイド役のイングリッド・ボルゾ・ベルダルとの共演はいかがでしたか。
KP:本当に素晴らしい女優だと思います。演技についてふたりでいろいろと意見を交わしました。今回の映画で最高の出来事のひとつは、彼女と共演できたことです。




――本作はフォン・トロッタ監督初のコメディですが、あなたはこれまで『帰ってきたヒトラー』をはじめ多くのコメディに出演していますね。ドラマと比べ演じる上で違いや難しさなどはありますか。
KP:コメディでは、ダイアローグをどう喋るのか、そのリズムやテンポについていろいろ思いを巡らせる必要があります。でも1番大事なのはハートですね。結局生きている人物像にしなくてはいけないのですから。ギャグで笑わせること以上に、人間らしいキャラクターを作り上げることが大切だと思います。その人物がどう感じていて、何を考えているのか。それを探っていくのがわたしの仕事です。

――すべてにおいて正反対のジェイドとマリアですが、唯一の共通点はニックと結婚したということですね。なぜふたりはあれほどまでに彼に惹かれるのでしょうか。その魅力はなんだと思いますか。
KP:わたし自身は全く惹かれませんね。もちろん、演じている俳優(ハルク・ビルギナー)は素晴らしいですよ。ただ......ニックはわたしのタイプではないです(笑)




――マリアは劇中で素晴らしい料理の腕前を披露しますね。登場する料理がどれもとても美味しそうです。ご自身も料理はされますか。
KP:料理をするのは好きです。私自身はベジタリアンで、スパイシーな食べ物が好きでよく作ります。マリアのようにきちんとした料理ではなく、あるもので適当に作ってしまいますが(笑)

――あなたは女優業だけでなく、ユニセフで人権問題についての活動に取り組んだり、歌手としてアルバムをリリースしたりとマルチに活躍されていますね。今後どういう役を演じていきたいですか。
KP:本作ではふたりの子どもを持つ母親役を演じていますが、実はそのあとに出演した作品で、“ひきこもり” (※日本語で「ひきこもり」と発音)の若い息子を持つシングルマザー役を演じました。日本だけでなくヨーロッパでも社会問題になっているんです。思うに、今の若い人はすごいプレッシャーにさらされているんだと思います。常に、“もっと良い状態でいなければならない”と、自分自身を縛り付けてしまっているのではないでしょうか。ぜひ、日本でも公開して欲しいです。

――最後に、日本の観客にメッセージをお願いします。
KP:本作が日本で公開されることを大変嬉しく思います。また、本作が女性の生き方について見つめ直すきっかけになってくれたら光栄です。一度日本を訪れて美味しいものをたくさん食べられたらいいなと思っています。ぜひ作品を楽しんでください。

ストーリー




マンハッタンの超高級アパートメントで暮らすモデルのジェイドは、デザイナーとして華々しいデビューを企画していた。ところが、スポンサーでもある夫ニックから一方的に離婚を告げられる。傷心の中、さらに夫の前妻のマリアが転がり込み、「部屋の所有権の半分は自分のものだ」と主張する、あり得ない事態に。同じ男と結婚したこと以外は、ファッションもライフスタイルも性格も、すべてが正反対のジェイドとマリアのプライドとこの先の人生をかけた闘いが幕を上げた!そんな折ジェイドのブランド経営が暗礁に乗り上げる。部屋を売って資金に充てたいが、マリアの返事はもちろんノー。争いはますますヒートアップしていく。だが、積年の想いをぶつけ合うふたりは、自分たちの特殊だけれど特別な絆に気付き始められるのだった。果たして<訳あり>なふたりの人生と物件の行方は――?




公開情報


『ニューヨーク 最高の訳あり物件』
監督:マルガレーテ・フォン・トロッタ 『ハンナ・アーレント』『生きうつしのプリマ』
出演:イングリッド・ボルゾ・ベルダル『ヘラクレス』、カッチャ・リーマン『帰ってきたヒトラー』『生きうつしのプリマ』、ハルク・ビルギナー『雪の轍』
原題:FORGET ABOUT NICK/2017/ドイツ/カラー/スコープ/5.1ch/110分/字幕翻訳:吉川美奈子 配給:ギャガ
公式サイト:gaga.ne.jp/NYwakeari

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