特撮向上委員会
『トチオンガーセブン』って知ってる?情熱で映画化を叶えたローカルヒーローの魅力を紹介
『トチオンガーセブン』って知ってる?情熱で映画化を叶えたローカルヒーローの魅力を紹介
いつも読んでくださってる方々、ありがとうございます。
ここを読んでくださってる方は、特撮愛に溢れてらっしゃる方かと思います。
そんな皆さんに負けないくらい僕も特撮愛を持って、このシネマズプラスで2年以上こうして記事を書かせていただいてます。
しかし上には上がいるのも事実。
とんでもない特撮愛を持ってらっしゃる方と先日お会いしましたので、今回はその話を。
特撮好きな方なら誰しもが思ったことがあるはず。
一度は変身してみたいと。
しかし、実際それができるのは本当にごく限られた俳優さんだけ。
そんな到底叶わない夢を実際に叶えた人がいます。
その方の名前は星知弘さん。
俳優さんではありません。
新潟の栃尾名物、栃尾の油揚げの毘沙門堂本舗というお店を経営されてる方です。(ちなみにもともと僕は栃尾の油揚げが好きだったんですが、この毘沙門堂さんの油揚げは、今まで食べてたのとは比べものにならないくらいおいしかったです。)
そう、正真正銘の一般人の方です。
星さんはとにかく特撮が好きで、いてもたってもいられなくなりオリジナルヒーローを考案。
そしてお店経営の傍ら、なんとそのヒーローのスーツを自作。
ついには自腹で制作費を捻出し、テレビドラマを製作してしまいました。
そのヒーローの名は『トチオンガーセブン』。
顔は狐、肩には油揚げがのってるのが特徴のヒーロー。
40代の特撮ファンならビビッとくるその動物の顔むきだしのデザインは、ライオン丸やタイガーセブンといった往年のピープロ作品感が漂いまくりで、70年代特撮黄金期の要素が多分に凝縮されています。
そのトチオンガーセブンに変身する星狐太郎役を、なんと星知弘さんご自身がやってらっしゃいます。
狐太郎は油揚げを肩にのせてトチオンガーセブンに変身するんですが、見たことない人は油揚げをのせるなんてとても滑稽に聞こえるかもしれません。
が、純度100パーセントの愛と一切妥協しない画作りにより滑稽さは影を潜め、昭和の特撮をしっかりと楽しめます。
その『トチオンガーセブン』がテレビ放送を経てなんと映画化。
しかもキャスト、スタッフがなぜか超豪華。
なんと監督は『探偵はBARにいる』の監督、橋本一監督。
ヒロインには元モーニング娘の小川麻琴さん。
それに加えて特撮レジェンドも参加。
ナレーションは仮面ライダー2号/一文字隼人の佐々木剛さん、閻魔大王役にはウルトラマンレオ/おおとりゲンの真夏竜さん、刑事役には『宇宙刑事シャリバン』の渡洋史さん、他にも『ウルトラマンオーブ』のジャグラスジャグラーの青柳尊哉さん、『特命戦隊ゴーバスターズ』の榊英雄さんも。
そしてこんな豪華な面子の中、主役はもちろん星さん。
その上映会のゲストとして先日僕を呼んでくださったんですが、最初はびっくりしました。
「誰なんだ、このポスターの中心にいる見たことない人は」と。
しかし、ただならぬ熱量はひしひしと感じました。
油揚げ屋さんの星さんは、こうしてヒーローになる夢を見事に叶えられたのです。
設定も面白いし豪華制作陣が真面目にレトロに作っているのも面白いんで、「もっと知名度を上げるためにYouTubeなどに作品をあげたらどうですか?」と僕が聞いてみたところ、星さんはこんな便利な世の中だからこそ、僕らが子供の頃にかぶりついて見ていたテレビ放映にこだわりたいとおっしゃってました。
時代や環境が変わってもこのようにブレない想いと特撮愛が星さんにはあり、だからこんな豪華な人たちが集まって出演していたり制作していたりするんだろうなと、お会いしてみて色々とわかるものがありました。
簡単に見ることができないかもしれませんが、トチオンガーセブンというヒーローがいるということだけでも今回覚えておいてください。
(文:篠宮暁)
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