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2020-04-11

コラム

【非常事態への心構え】『日本沈没』など小松左京原作映画が示すもの

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コロナ・パニックに心も疲弊しがちな昨今ではありますが、こうした状況にリアルに接し続けていると、ふと小松左京のSF小説を原作とするパニック映画の数々を思い起こすことがあります。

小松左京はSFに限らず多彩なジャンルの小説を世に遺した才人ですが、そのオールマイティな才覚ゆえにSFを題材にしても世界の実情を背景としたリアル・シミュレーション的要素を携えつつ、いずれは人類にもたらされる処々の危機にどう対峙していけばよいのかを示唆してくれているように思えます……

《キネマニア共和国~レインボー通りの映画街456》

どうせ自粛で外に出られないのならば、この機会に“おうちシネマ”で小松左京原作映画群を見返してみることにしました!

映画『日本沈没」で描かれる
総理大臣の理想像





小松左京の小説で最初に映画化され、大ヒットを記録したのが1973年の森谷司郎監督作品『日本沈没』です。

これは文字通り、地殻変動で日本列島そのものが海面下に沈んでしまうという未曽有の危機に対し、人々はどう対処していったかをシミュレーション的に描いたもので、SFパニック映画ではありますが、同時に秀逸なポリティカル・サスペンス映画としても屹立しており、後々の『シン・ゴジラ』などにも多大な影響を与えたと思しき作品です。

1970年に日本万国博覧会が催されて“明るい未来”が示唆されたものの、73年に入るとオイルショックなどで一転して社会不安がもたらされていた時期、物理的に日本沈没そのものが怒り得るか否かはともかくとして、タイトルの響きからして日本で生きる者たちに油断禁物とでもいった覚悟の念をもたらしてくれていたように記憶しています。
(同時期には1999年7月に地球が滅亡すると記した“ノストラダムスの大予言”も一大ブームを呼び、これも1974年に映画化されました)

その後もこの作品、1980年代バブル期のような見た目が華やかな時代には、日本独自の特撮を駆使したSFパニック映画として大いに楽しめたものですが、1995年の阪神淡路大震災や2011年の東日本大震災などの大災害が起きた直後に接すると、日頃の心構えみたいなものを身震いさせながら呼び起こさせてくれるものがありました。

このように時代によって見え方が違ってくる『日本沈没』ですが、コロナ・パニックが世界中を席捲する今は、やはり政治家がいかにこの緊急事態に対処していったかに焦点が注がれてしまいます。

この作品、前半は日本沈没の兆候をいち早く察知した田所博士(小林桂樹)と潜水艇の潜艇士・小野寺(藤岡弘)を中心にストーリーは展開されていきますが、中盤の東京大震災の惨禍以降は、山本総理大臣(丹波哲郎)による緊急避難対策“D計画”=日本人の海外脱出政策がメインに描かれていきます。

貫禄があってさっそうとしながらも人間味豊かで、一方では震災で死去した妻から「何事もなく、一番目立たない総理で終わると思っていたのに」(ちなみに、これと似た台詞は1984年版『ゴジラ』にも出てきます)と彼岸の彼方から囁きかけられる山本は、まさに理想の総理大臣ともいえるもので(東京大震災で350万人の犠牲者を出したことの責任は負うべきでしょうが、そのこともちゃんと彼は胸に刻んでいます)、本当にこういう頼もしい存在が今の政府にいてくれれば……と思わず嘆息させてしまうものまであります。

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