映画コラム
『デッド・ドント・ダイ』レビュー:おとぼけだけど意外に怖いゾンビ・コメディ!
『デッド・ドント・ダイ』レビュー:おとぼけだけど意外に怖いゾンビ・コメディ!
(C)2019 Image Eleven Productions,Inc. All Rights Reserved.
6月に入って映画館が全国的に再開し、それとともに徐々に新作映画の公開も始まってきました。
その先陣を切る話題作の1本が、ジム・ジャームッシュ監督の『デッド・ドント・ダイ』です。
タイトルから想像つくように、これは死なない死者=ゾンビを題材にしたホラー・コメディです。
単にゾンビもののホラー・コメディと言われても、今更さほど新鮮味を覚えないかもしれません。
しかし、この映画はジム・ジャームッシュ監督作品なのです。
映画ファンならもうそれだけで、タダですむはずはないと、事前に肌で察知することができるはず……
《キネマニア共和国~レインボー通りの映画街474》
はい、察知できた方、大正解です!
これは今まで見たことないような、でもどこか懐かしく、そしてジム・ジャームッシュ作品特有のおとぼけ&シュールな笑いもふんだんな、それでいて意外に怖いところもある実にユニークな作品なのでした!
のどかな田舎町に
なぜかゾンビが現れた!
『デッド・ドント・ダイ』の舞台となるのは、アメリカの田舎町センターヴィル。
地元の警察は署長のクリフ・ロバートソン(ビル・マーレイ)と巡査のロニー・ピーターソン(アダム・ドライバー)、そして婦警のミンディ(クロエ・セヴィニー)の3人だけで十分まかないきれるほど平和が保たれています。
しかし、最近、地球全体が何やらおかしくなってきていたのでした。
夜になってもなかなか陽が沈まず、時計やスマホが突然動かなくなったり、無線の調子もイマイチだったり……。
こうした異常事態に対していろいろ説はあるようですが、それはそれとして、町ではペットの凶暴化やら家畜の失踪など動物の異常行動が目立ち始めています。
そんな折、ダイナーの経営者とウエイトレスが無残に内臓を食いちぎられた死体で発見されます。
まるでゾンビが現れたかのような……。
はい、その通り。ゾンビが墓地から這い出して今まさに町の人々に襲いかかろうとしていたのです。
一方で、変死事件を知った町の人々は噂話でもちきりとなり、たまたま都会から町を訪れた若者たちはモーテルから出ないよう警察から忠告。
少年拘置所に収容されている3人のティーンエイジャーたちは「ゾンビ黙示録が始まった」などと真顔で話しあっています。
雑貨店を営むホラー・オタクのボビー(ケイレヴ・ランドリー・ジョーンズ)は喜々として金物屋のハンク(ダニー・グローヴァー)とともに立てこもりの準備を始めます。
そんなこんなで夜となり、墓地から多数のゾンビが現れて人々を襲い始めていくのですが……。
無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。
無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。