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2020-06-08

コラム

『大好きだから』、『ハロー!?ゴースト』とあわせて観たい「3つ」の見どころ!




第10回:『大好きだから

Amazonプライム・ビデオで配信中の作品の中から、毎週オススメの韓国映画をご紹介する、この連載。

今回取り上げるのは、2017年日本公開の韓国映画『大好きだから』です。

『猟奇的な彼女』や『ハロー!?ゴースト』など、日本でも人気の高いチャ・テヒョン主演のラブコメ映画だけに、観客の笑いを誘うコメディ演技や、意外な展開・どんでん返しを期待したくなるのですが、果たしてその内容と出来は、いったいどのようなものなのでしょうか?

ストーリー


最愛の女性にプロポーズしようと車で向かう途中、不幸にも交通事故で重体に陥ってしまったイ・ヒョン(チャ・テヒョン)は、昏睡状態にありながらも、他人の肉体に憑依できる不思議な力を身につけていた。
過去の記憶を全て失った状態のヒョンは、記憶を取り戻して元の肉体に戻ろうと悪戦苦闘するのだが、様々な事情を抱えた男女の体から体へと乗り移りながら愛のキューピット役を務めていくうちに、ある衝撃の事実を知る。
偶然その秘密を知った女子高生のスカリー(キム・ユジョン)の助けを借りながら、果たしてヒョンは自分の記憶を取り戻して恋人と再会できるのか?


見どころ1:幽霊コメディと見せて、実は感動のラブストーリー!



交通事故で重傷を負った主人公が目覚めると、何と女子高生の体に憑依していた!

この序盤の展開から、チャ・テヒョンお得意のラブコメ映画と思わせる本作ですが、高校生カップルにとってあまりに重い人生の選択や、認知症を患う妻と夫の関係など、主人公のヒョンが憑依する人々は、誰もが非常に現実的な問題を抱えていることが分かってきます。

そんな彼らの恋愛を悪戦苦闘しながら成就させていくヒョンですが、この恋愛エピソードが、それぞれ十分に一本の映画として通用する内容なのは見事!

実は、憑依した人間の恋愛を成就させないと、その体からは離れられないため、自然とヒョンは他人の人生や恋愛に深く関わっていくことになるのですが、恋人との出会いやプロポーズに至るまでの記憶を、その過程で徐々に思い出していく展開が、ラストに待つ恋人との再会やプロポーズ実現への期待を、より高めてくれるのです。

加えて、ヒョンの誠実な人柄に観客の誰もがハッピーエンドを願う中、決して伏線回収やどんでん返しに頼ることなく、主人公の想いが恋人を成長させ、予期せぬ奇跡に繋がる王道のラブストーリーへと着地する点も、本作に多くの観客が共感・感動する大きな理由と言えるでしょう。



数々の苦労や体験を経て、果たしてヒョンは歌手である恋人の重要なオーディションまでに元の体に戻ることができるのか?

そして、ヒョンが憑依した人々に隠された共通性とは?

例え外見が別人となっても相手への想いは必ず伝わるという展開が、多くの方に恋愛への勇気を与える、この『大好きだから』。

幽霊が憑依する突飛な設定でありながら、そこに描かれる等身大の男女の恋愛模様やドラマが素晴らしい作品なので、普段ラブコメや恋愛映画に馴染みの無い男性の方にこそ、ぜひご鑑賞頂ければと思います。

見どころ2:名優チャ・テヒョンの魅力が満載!



以前ご紹介した『ハロー!?ゴースト』でも、幽霊に憑依される度に人格が変わる主人公を見事に演じ分けたチャ・テヒョンが、何と今度は憑依する側に回る! という、逆転の設定が観客の興味を引く本作。

才能ある音楽家として登場する主人公のイ・ヒョンですが、突然の交通事故で重傷を負った彼は、自身の名前や過去の記憶を一切失った状態で、何故か女子高生マリの体に憑依してしまいます。

周囲の人々には、外見上はマリの姿に見えているのですが、その言葉や態度はどう見ても普段のヒョンそのもの。

しかも本人が鏡を覗くと、そこには女子高生の制服に身を包んだヒョンの姿が映っているという、まさに爆笑必至の展開が待っていることに!

こうしたチャ・テヒョンの素晴らしいコメディ演技のおかげで、現実離れした設定を序盤から観客が受け入れてしまう点も、実に見事なのです。

この序盤の展開から、てっきり女子高生に乗り移ったヒョンが、この女の子の問題を解決することで自分も元の体に戻ってハッピーエンドを迎える? そんな結末を予想したくなるのですが、そこから物語は更に複雑な方向へと進んでいくことになります。

悪戦苦闘の末、やっとマリの重要な人生の選択を手助けしたヒョンですが、何とまた別の人間に憑依することに!

こうして憑依した人間の恋愛を成就させては、また別の人間へと乗り移る中で、徐々に自分の記憶と恋人への手がかりを得ていくヒョン。

マリの同級生であるスカリーの協力を得て、ついに彼がたどり着いた衝撃の事実とは?

一切の記憶を無くした状態で、何とか元の体に戻ろうと悪戦苦闘する主人公の姿で笑わせておきながら、ラストはしっかり観客の涙を誘う純愛映画として成立するのも、やはりチャ・テヒョンの存在と演技力があればこそ!

そう考えれば、ラストに用意された少々強引な展開も、彼のキャラクターのお陰で十分許せてしまうというもの。

10代の女子高校生から離婚の危機を迎えた刑事、認知症の老婦人まで、年齢も性別も違う男女の肉体に憑依したヒョンを演じ分ける出演キャスト陣の演技も見事ですが、事故に遭う前の音楽家としての姿や恋人を見守る真摯な態度など、ヒョンを演じるチャ・テヒョンのコメディ演技とロマンチックな役柄が同時に楽しめる点も、ファンにとっての大きな魅力と言えるでしょう。

加えて、主人公が訪れる街の占い師役でチャン・ヒョクが特別出演していたり、チャ・テヒョン自身がエンディング曲で韓国の歌手ユ・ジェハの『過ぎた日』をカバーしてくれているので、彼の歌声もぜひお聴き逃しなく!

見どころ3:ワケあり男女の恋愛模様が泣ける!



最愛の恋人へのプロポーズに向かう途中、交通事故に遭ってしまった音楽家のイ・ヒョンは、何故か自身に関する記憶を無くしたまま、他人の体に憑依してはまた別の人に乗り移るという、無限のループに囚われてしまいます。

憑依した人間の体から抜け出すためには、ある一定のルールが存在することが分かってくる中で、様々な恋愛の形を体験し、いつしか憑依した相手への理解を深めていくヒョン。

こうして彼は、女子高生やその担任教師、更に離婚の危機を迎えた刑事から認知症を患った老婦人まで、全く縁もゆかりも無い人々の体を借りては、彼らの恋愛や人生の危機を救っていくことになります。

その度に彼の脳裏に浮かぶ恋人や自分の過去に対する断片的な記憶を手がかりに、このループの理由や真相へと迫っていくヒョン。

次々に登場する個性的な恋愛エピソードの積み重ねや、次第に明らかになっていくヒョンの恋人の存在が、ラストの展開を大いに盛り上げてくれるのですが、中でも、マリの担任の先生と後輩の女性とのエピソードは、男性の価値が外見の良し悪しでは無いことを描いていて必見!

加えて、最初は他人事と思い迷惑がっていたヒョンが、憑依した相手の幸せのために悪戦苦闘する姿を描くことで、自然と観客側がヒョンと恋人との再会を願うことになる点も、実に上手いのです。

ただ後述するように、せっかくヒョンが数々の恋愛を体験するにも関わらず、それらが主人公の成長やラストの展開に必ずしも生かされていない点が、若干残念に思えたのも事実。

多くの観客の共感を呼ぶ、その等身大の恋愛エピソードの数々は、ぜひご自分の目でご確認頂ければと思います。

最後に



交通事故で重傷を負ってしまった主人公イ・ヒョンが目覚めると、何故か女子高生マリの体に乗り移っていた!

そんな意表を突く展開から始まる、この『大好きだから』。

幽霊となった主人公が次々に別の人物に憑依していく設定や、認知症の老婦人に乗り移るエピソードなど、過去にこの連載で紹介した『ハロー!?ゴースト』や『チャンス商会~初恋を探して~』を観た方には、更に楽しんで頂ける作品となっています。

ただその反面、同じような予想外の展開・どんでん返しを期待して鑑賞に臨むと若干の物足りなさを感じたり、上映時間に対してエピソードを盛り込みすぎた感が強いのも事実。

とはいえ、自身の記憶を取り戻し恋人との約束を果たすため、実体を失いながらも必至の努力を続けるヒョンの誠実さや、彼が体験する様々な恋愛エピソードに用意された感動的な結末は、ラストの展開に向けての感動をより高めてくれているのです。

映画を観ていて期待するのは、やはりヒョンが憑依する人々にどんな関係があるのか? そして、彼が再び元の体に戻って恋人にプロポーズすることができるのか? といった部分への答えでしょう。

ヒョンが憑依した人々の関係性への謎解きや感動的な結末は、ぜひ本編でご確認頂きたいのですが、欲を言えば、ヒョンが様々な恋愛経験を積むことで人間的に成長し、その経験がラストの展開に役立ったり、あるいは元の体に戻るまでのタイムリミットがもっと明確に設定されていれば、ラストに向けての展開が更に盛り上がったのでは? そう思わずにはいられませんでした。

ただ、単に笑わせて泣かせるラブコメ映画に終わらせることなく、男女の出会いから始まる素晴らしい関係性と、相手を想う気持ちが全ての困難を乗り越える内容に仕上げた点は、やはり評価すべきもの。

偶然からヒョンの置かれた状況を知り、彼を助けることになる女子高生スカリーの活躍も笑わせるのですが、チャ・テヒョンの誠実さとコメディ演技の両方が味わえる点も、ファンにとって何よりの贈り物と言えるでしょう。

年齢や状況は違っても、男女の出会いと恋愛の先にはきっと幸せな将来が待っている、そんなメッセージが観客に元気を与えてくれる作品なので、全力でオススメします!

(文:滝口アキラ)