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『燃えよデブゴン/TOKYO MISSION』レビュー:ドニー・イェンがまさかのメタボ・ヒーローに!



増當竜也連載「ニューシネマ・アナリティクス」

激動の2020年も幕を閉じ、いよいよ2021年が始まりますが、映画ファンならば年明けの最初に見る映画は何にしようか? などと思案されている方も多いことでしょう。

あまたある作品群の中から、今回は2021年1月1日、即ち元旦から劇場公開される『燃えよデブゴン/TOKYO MISSION』をお勧めします。

このタイトルをきいてピンときた方は、きっと香港映画がお好きな方でしょう!

そう、あの“デブゴン”が帰ってきました! 

しかも今回演じるのは、現代香港映画界が誇るスーパー・スター、ドニー・イェン!
(おまけに東京ロケだ!)

え、ドニー・イェンってスリムでかっこいいのに……デブゴン?

それはもう、見てのお楽しみ!

メタボと化した熱血刑事が
異国の東京で大暴れ!



21世紀の『燃えよデブゴン』の主人公は、熱血刑事フクロン(ドニー・イェン)です。

この男、正義感が強いのは良しとして、毎回犯人逮捕のためには周囲の迷惑などどこ吹く風の過剰ヒーロー。

この日も強盗グループを大追跡の末に逮捕したものの、そこに至るまでに彼が引き起こした被害状況は甚大!?

ついに彼は現場から証拠管理の部署へ移動となり、婚約者の女優ソン・ホーイ(ニキ・チョウ)とも別れる羽目になってしまいます。

ストレスと室内勤務でただただ食べるだけの日々により、およそ半年後、彼の身体は立派なメタボに!(体重は62キロから120キロへ……嗚呼!)



そんなぽっちゃり“デブゴン”刑事と化したフクロンに、久々の任務が下されます。

それは香港で何か犯罪に巻き込まれたと思しき日本人AV監督・山本勇二(葉山豪)を、東京まで護送すること。

ちょうどホーイも、日本のエージェント島倉(丞威)の依頼で東京・築地のイベントの仕事で東京へ赴くことになってました。

東京では遠藤刑事(竹中直人)がフクロンを出迎えますが、護送の途中で山本は逃走!

やがて事態は、日本のヤクザ組織や警察をも巻き込む大事件へ発展していきます。

慣れない異国の地で、フクロンはいかにして事件を解決するのか? 

そしてホーイとの恋の行方やいかに?

失神しかねないほどの
東京タワー鉄塔部の大格闘!



本作は香港映画界のレジェンドでもある太っちょアクション大スター、サモ・ハン・キンポーの当たり役であった“デブゴン”にドニー・イェンが深い敬意を表しつつ、自ら特殊メイクを施してデブゴンに扮し、そのユニークかつダイナミックな世界観を2020年の現代に復活させたものです。
(ちなみに本作はサモ・ハンの1980年度作品『燃えよデブゴン』と同じ原題“肥龍過江”ではありますが、決してリメイクではなく、そのキャラクター性のみを活かして繰り広げるオリジナル作品です)

冒頭、スリムなドニー・イェンが繰り出すアクションの冴えはお察しの通りですが、驚くのはデブゴンと化して東京へ赴いてからのアクションの数々!

特殊メイクと身にまとった肉襦袢で動きがのろくなって当然と思いきや、スリムなドニーと何ら変わらないスピードと技の切れの良さに、とにもかくにも圧倒されまくり!

中盤の築地に見立てたロケ地でのアクションもさながら、歌舞伎町に見立てた豪華セット(でも歌舞伎町を知っている人からすると、全然違う街にしか見えないのがご愛敬!)で繰り出されるアクションシーンの数々も特筆的。

そしてクライマックスとなる東京タワーの鉄塔高部を再現したセットでの一大アクション・シーンは、もう高所恐怖症の人は失神しかねないほどのド迫力!

これぞ命知らずの香港アクション映画の大妙味!



また全体の演出もどことなく1980年代の、それこそサモ・ハンやジャッキー・チェンらが大活躍していた香港ドタバタ・アクション・コメディのテイストを保持しているのも、当時のファンとしては嬉しいところ。

今回の監督には日本のアクション界を牽引し続ける谷垣健治を招いていますが、日本人が演出しているのに日本の諸シーンはどことなく異邦人から見据えた“NIPPON”に見えてしまうのも面白いところです。

 一方で、東京でフクロンを出迎える遠藤刑事に竹中直人が扮していますが、彼がお得意のブルース・リーのモノマネをしたらドニーが「似てない」と言ってしまうギャグも笑えます。
(実際、上手いんですよ、彼は。ちゃんとあの怪鳥音を「アチョー」ではなく「アタッ」と叫んでくれたりもしますし)

そういえば本作は、要所要所にブルース・リー主演の『最後のブルース・リー/ドラゴンへの道』(72)のテーマ曲アレンジが流れますが、『ドラゴンへの道』の原題は“猛龍過江”、そして本作の原題は先に記した通り、サモハン版『燃えよデブゴン』と同じ“肥龍過江”。



そもそも『ドラゴンへの道』は香港の青年が異国イタリアに渡って大活躍するお話ですが、本作の主人公も同じく異国・日本の東京で大活躍。こういったところにも先達へのリスペクトの精神が伝わってきます。
(そもそもサモ・ハン版『燃えよデブゴン』も、『燃えよドラゴン』へのオマージュというよりも『ドラゴンへの道』のラインに近かったのでした)

また、実は『ドラゴンへの道』の日本初公開も1975年1月25日という正月映画(第2弾)としての扱いではありましたが、かつての日本のお正月映画は香港の快活なアクション映画が必須だったものです。

その意味でも今回はドニー・イェンの温故知新の精神をフルに活かした好企画が、久々に日本のお正月を楽しく飾る香港映画としても屹立していることも、当時を知る世代としては懐かしくも嬉しい限りなのでした。

もちろん今の若い世代にも、2020年の鬱々としたものを本作で思い切り晴らしてくれること必至!

ここはひとつ理屈抜きで、大いにユニークかつスリリングでダイナミックなデブゴン・アクションを堪能しつつ、2021年を明るく旅立たせるに足るパワーを受け取ってください!

(文:増當竜也)
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