『さんかく窓の外側は夜』岡田将生のキャリアを5本の映画でふり返る
『さんかく窓の外側は夜』は累計発行部数130万部を超えるヤマシタトモコの同名漫画を原作に、霊が祓える男(岡田将生)と霊が視える男(志尊淳)の不可思議な共闘関係を描いた除霊ミステリ映画です。
どこかしら二人の関係性がBLっぽくも映えるあたりが「今」の映画だなと唸らされたりもしますが、その中で“祓える男”を好演しているのが岡田将生。
自分の能力に怯える志尊淳を、まるでメフィストのように追い込み、除霊の世界へ導いていきます。
というわけで、今回は岡田将生に着目し、彼のキャリアとその魅力を映画でざっと振り返っていきましょう。
デビュー間もない瑞々しさ
『天然コケッコー』
岡田将生は1989年8月15日、東京都の生まれ。
中学時代にスカウトされ、一度は断るも高校進学後に芸能界入りを決意。
2006年にCM&ドラマデビュー。
そして2007年の映画『天然コケッコー』で一躍注目を集めます。
くらもちふさこの同名漫画を原作に、小さな村に住む少女そよ(夏帆)の日常を軸に繰り広げられる、山下敦弘監督の素朴でみずみずしい青春映画。
ここで岡田将生が演じているのが、東京からの転校生・大沢。
流行に敏感でテレビゲームが好き、物言いはきついけど裏表はない、そんな大沢君とそよちゃんは、やがて恋人同士になっていくのでした……。
飛躍の作品となった
『重力ピエロ』
2009年は岡田将生にとって飛躍の年になりました。
『重力ピエロ』『ホノカワボーイ』『ハルフウェイ』『僕の初恋を君に捧ぐ』と4本の映画に出演し、ブルーリボン賞や横浜映画祭などの映画新人賞を多数受賞したのです。
中でも評価の対象となったのが、森淳一監督作品『重力ピエロ』でした。
伊坂幸太郎の同名小説を原作に、とある辛い過去を持つ兄弟(加瀬亮&岡田将生)が連続放火事件の謎に興味を抱き、それを解き明かしていくうちに驚くべきものが明らかになっていく青春ミステリです。
以前、同じ井坂原作『鴨とアヒルのコインロッカー』(07)に「免許のない学生」役で出演していた岡田としては、感無量の作品でもあったことでしょう。
遺品整理業を舞台にした
『アントキノイノチ』
2010年代に入り、明るい好青年はもとより、影があったり癖の強い役柄まで多彩にこなすようになっていく岡田将生の一つの大きな成果が、2011年の『アントキノイノチ』でしょう。
遺品整理業を題材にシンガーソングライターさだまさしが執筆した小説を原作に、瀬々敬久監督が描く切なくも狂おしい青春ヒューマン映画。
岡田将生が演じているのは、軽い吃音症を持ち、学生時代の辛いトラウマで心を病んでいた時期もある若者・杏平。
遺品整理業者「グーパーズ」にアルバイトで入った彼は、そこでリストカットの傷痕のある勤続2年のゆき(榮倉奈々)と出会い、仕事を通じて少しずつ、ぎこちないながらもお互いを理解し合い惹かれあっていくのでした。
人気TVドラマの劇場版
『映画ST 赤と黒の捜査ファイル』
岡田将生はTVドラマ出演も多く、「オトメン(男乙)」(09)主演や「平清盛」(12)源頼朝役、最近は「昭和元禄落語心中」(18)「なつぞら」(19)「タリオ復讐代行の2人」(20)、そして現在は「書けないッ⁉~脚本家吉丸圭佑の筋書きのない生活~」始まったばかりです。
そして本作は2013年の単発ドラマを経て14年にシリーズ化された今野敏原作「ST」の劇場版。
科捜研内に新設されたはみ出し者集団の警視庁科学特捜班“Scientific Taskforce”、通称“ST”にリーダーとして配属させられたキャリア組ながら温厚で几帳面なエリート百合根(岡田将生)と、実質的なリーダーながらも対人恐怖症で人間不信の赤城(藤原竜也)。
この二人を中心とするSTの活躍が描かれていきます。
TV版でメイン監督を務めた佐藤東弥監督が引き続きメガホンをとった劇場版では、濡れ衣を着せられた赤城と真相を追う百合根の行動がメインに描かれていきました。
5人の美女を手玉に取るゲス男
『伊藤くんAtoE』
岡田将生の魅力とは、独特の微笑みにあると個人的に思っています。
あの笑みが好ましく誠実に映えるときもあれば、ダークでブラックなものとして映えるときもある。
その意味では善も悪もその中間の灰色な部分まで巧みに醸し出せるのが、彼の俳優としての妙味でもあるでしょう。
そんな中で『伊藤くんAtoE』は、AからEまで5人の女を弄ぶ自己チュー男の伊藤くんを快(怪?)演!
柚木麻子原作のこの作品、まずは2017年に全8話のTVドラマ版が放送され、翌18年に廣木隆一監督による映画版が公開されています。
A(佐々木希)B(志田未来)C(池田エライザ)D(夏帆)E(木村文乃)と、それぞれ個性の異なる美女たちを手玉にとる伊藤くんのゲスっぷりをぜひご堪能あれ!
(文:増當竜也)
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