(C)1997 青山剛昌/小学館・読売テレビ・ユニバーサル ミュージック・小学館プロダクション・TMS
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映画コラム

REGULAR

2021年02月05日

『名探偵コナン 時計じかけの摩天楼』の「5つ」の魅力を徹底解説!隠された父と息子の物語とは?

『名探偵コナン 時計じかけの摩天楼』の「5つ」の魅力を徹底解説!隠された父と息子の物語とは?



4:3つの事件に関連がある作劇



もう1つ、本作の物語で皮肉的なことがあります。中盤の目暮警部の回想において工藤新一は、市長の息子が事故を起こした父の身代わりになり罪を背負おうとしていた事件を解決します。このために市長は失脚し、森谷が手がける予定だった新しい町づくりの計画は白紙となってしまいます。森谷が新一を指名し、爆弾の場所の謎解きをさせていたのも、その逆恨みのためだったのです。

市長の息子が罪を背負おうとしたのは、権力者である父の身を案じてのこと。これもまた、森谷とは異なる「息子の父への愛」ゆえの行動だったのです。もちろん、その愛もまた正しいとは、到底言えるようなものではありません。

さらに、この映画の冒頭で起きた殺人事件の動機は、権力者の医者が酔っ払ったまま手術をして失敗したことについて、その圧力から病院関係者からの証言が得られなかった、ということでした。

市長の息子が父の権力者の立場を理由に罪を被ろうとしていたのに対し、権力者がただ理不尽に周りを支配し殺人事件につながることもある……こうして、劇中で起きた3つの事件に関連がある作劇がなされている、ということも本作の美点でしょう。

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