『映画 賭ケグルイ 絶体絶命ロシアンルーレット』浜辺美波と藤井流星の「狂演合戦」を見逃すな!シリーズ最高傑作が降臨した理由を解説!
5:作品に最大限にマッチした「過剰」な監督の作家性!
『賭ケグルイ』の実写ドラマ&映画を手がけたのが英勉(はなぶさつとむ)監督というのも、ベストな采配だったのではないでしょうか。英勉監督はコメディ主体の映像作品を数多く手がけてきていおり、ケレン味のある「大げさ」な演出が持ち味の作家です。その「過剰」ぶりは作品によってはマイナスの効果も生みかねないのですが、この『賭ケグルイ』は前述した通り「狂気のエスカレーション」が魅力なのですから、過剰であることはむしろ作品の性質にバッチリと合っているのです。
その英勉監督の演出のおかげで、前述した奇人変人を演じる俳優たちはもれなくオーバーアクト&ハイテンション。目をひん剥いたり、ドヤ顔と見下す態度をハイブリッドしたり、全身で驚きを表現したりもします。それも普通の映像作品であれば敬遠される要素なのですが、こと『賭ケグルイ』に限ってはそれこそシリーズの定番であり見所。「これはこのくらいのやりすぎでいい」と思えることがすごいのです。監督も「この俳優たちで10年シリーズを続けたい」と豪語しており、作品への思い入れも存分に伺えます。
ちなみに、今回の『賭ケグルイ 絶体絶命ロシアンルーレット』の撮影はドラマ「賭ケグルイ 双」と同時進行で、2020年9月中ばから11月下旬までの2ヶ月以上、徹底した新型コロナウイルスの感染対策を施した上で行われたそうです。待合場所には常にアクリル板とアルコール消毒液、フェイスガードを常備し、前作および前々作よりもロケ撮影を減らすなどの現場の努力があってこそ完成した労作でもあるのですが、それを感じさせない「いつもの賭ケグルイ」であり、同時にレベルアップした面白さがある、ということも美点でしょう。
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(C)河本ほむら・尚村透/SQUARE ENIX(C)2021 「映画 賭ケグルイ2」製作委員会