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「きれいのくに」第5話までの感想:攻めている表現に驚きっぱなし。描かれるのは「大人」と「子ども」の分断(&第6話のあらすじ)



NHK「よるドラ」枠にて、ドラマ「きれいのくに」が、4月12日よりスタート。

「俺のスカート、どこ行った?」などで知られる注目の劇作家・加藤拓也が脚本を手がける本作は、見た目へのコンプレックスを抱える高校生たちが暮らす、ほとんどの大人が“同じ顔”をした不条理な国を描くSFジュブナイル。

「最後まで、ちゃんと見ないと分からないぞというつもりで書きましたので!」と脚本家が明言する本作。1話ずつ紐解いていきます。

もくじ

・第1話あらすじ&感想

・第2話あらすじ&感想

・第3話あらすじ&感想

・第4話あらすじ&感想

・第5話あらすじ&感想

・第6話あらすじ&感想

・第7話あらすじ&感想

・第8話あらすじ&感想

・「きれいのくに」作品情報

第1話あらすじ&感想

第1話のあらすじ



ファンタジーの序章、大人たちの物語。

美容師の恵理(吉田羊)と税理士の宏之(平原テツ)は再婚同士。子どもはおらず夫婦で優雅な生活を満喫している。「結婚生活に不満はない」と映画監督(稲垣吾郎)のインタビュー取材に答える二人。しかし恵理は夫に言えない秘密を抱えていた。あるとき宏之の事務所に謎の女(蓮佛美沙子)がやってくる。急速に距離を縮める二人…。そして宏之は驚異の体験をする。彼が寝室で見たものとは!?

第1話の感想:今季ナンバーワンドラマ?吉田羊の容姿コンプレックスと謎めきすぎている稲垣吾郎

すごいドラマが始まった。いや、すごく変なドラマが始まったと言うべきか。

吉田羊、稲垣吾郎主演「きれいのくに」。このドラマのキャッチフレーズを見てみよう。

「誰しもが抱える容姿へのコンプレックスにまつわるジュブナイルSF! 

 高校生たちが暮らすのは、ほとんどの大人が“同じ顔”をした不条理な国―

 恋愛の衝動がほとばしる “青春ダークファンタジー”」

だけど、第1話には高校生は出てこない。出てくるのは40代の夫婦ともう一組のカップル、そして稲垣吾郎。どういうこと? 第1話をあらためて振り返ってみよう。

NHKなのに濃厚なベッドシーンで始まる。吉田羊のように見えるが、これは蓮佛美沙子だろう。抱いているのは吉田羊の夫役の平原テツ。3者のかかわりは最後にわかる。

美容師の恵理(吉田羊)と税理士の博之(平原テツ)は結婚10年目の40代の夫婦。彼らは再婚同士。優雅な生活を送っているように見えるが、どこかすれ違い気味。

決定的なのは恵理が抱えるセックスレスの悩みだ。稲垣吾郎扮する映画監督が夫婦にインタビューするカットが挟まれる。質問は「夫婦生活の不満は?」。少し不満を述べる恵理と、特に不満はないと言う博之。「夫婦生活」とはセックスの隠語である。

セックスレスの悩みは、容姿の衰えという根源的な悩みへとつながる。恵理が夫に裸を見られたくないのはコンプレックスの裏返し。美容師に若い頃の髪型を再現されると恥ずかしさのほうが先に立つ。これから成長して大きくなる夫の前妻の娘と衰えていくだけの自分が同じ誕生日という皮肉と諦念。

ここでもう一組のカップルが登場する。カメラマンの男(橋本淳)と美容師の女(蓮佛美沙子)。二人はほどなく破綻を迎える。女は税理士の博之と出会って、体を重ねる。一方、恵理はひとりでワインを傾けて涙を流す。博之の浮気? と思うが、これはミスリード。一連のシーンは博之と恵理の10年前の出会いを描いたもの。美容師の女は10年前の恵理である。男がガラケーを使っているのは10年前のことだから。

誕生日の翌朝、目が覚めると博之の隣には10年前の姿をした恵理(つまり蓮佛美沙子)がいた。えーっ! という感じで第2話へと続く。

「好きな人が、好きだと思っている顔になりたい」

こんなことを思っている人は案外多いのではないだろうか。恵理は、夫が好きだった顔――つまり、若かった頃の自分に戻ったということになる。第2話では若さを取り戻した恵理の物語になる模様。高校生たちはまだ登場しないようだ。こんなドラマはなかなかない。タイムラインはざわめきっぱなしである。

不穏な雰囲気とシャッフルされた時制に振り回されがちだが、ドラマの根本的なテーマは「容姿へのコンプレックス」。

恵理が涙を流していたときに観ていた映画は『カサブランカ』。世紀の美男美女であるハンフリー・ボガードとイングリット・バーグマンの魅力がタイムカプセルのように保存された名画である(10年前に別れた男も観ていた)。彼女の寂しさが失われた「若さ」と「美」への妄執となって現れたシーンと考えればいいだろう。

しかし、まだまだ謎は多い。特に謎めいているのが稲垣吾郎だ。第1話では、夫婦にインタビューする映画監督の役。だが、そのうちに高校生たちを取り巻く大人たちの顔が稲垣吾郎と加藤ローサの顔だらけになってしまう。父親の顔も稲垣吾郎、隣家の父親の顔も稲垣吾郎、街を歩いている人たちも稲垣吾郎、女子高生に援助交際を求めるエロ親父も稲垣吾郎……。

いったい、どうしてこうなってしまったのか。どうすればこうなってしまうのか。脚本は27歳の劇作家、加藤拓也。自ら「変な話」と言う彼のコメントを引用しよう。

「最後まで、ちゃんと見ないと分からないぞというつもりで書きましたので!」

わかりました。最後まで、ちゃんと見ます。

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