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『RUN/ラン』レビュー:母と娘の呪われた絆を序破急の構成でシンプルに綴るサスペンス・スリラーの快作!


■増當竜也連載「ニューシネマ・アナリティクス」SHORT

ほぼ全編パソコン画面で進行していくサスペンス映画『search/サーチ』(18)で注目を集めたアニーシュ・チャガンティ監督ではありますが、アイデア勝負で評価された後の次回作の制作はかなりのプレッシャーがあったことと思われます。

しかし彼が続いて手掛けた『RUN/ラン』は、父と娘の麗しき絆を描いていた前作とは真逆に、母と娘の呪われた絆を描くという趣向で、さらにはインターネットに接続できない環境下で繰り広げられるサスペンス・スリラーという挑戦もまた大いに意図的かつ意欲的です。



病弱で車椅子生活を余儀なくされている娘クロエ(キーラ・アレン)と、彼女に献身しながら育て上げてきた母ダイアン(サラ・ポールソン)の関係性は、最初は麗しく、しかしながら一粒の緑色の薬をきっかけにだんだん怪しいものへ変わっていきます。

ドラマ構成もおよそ90分という理想的な長さの中、見事なまでに30分ずつ序・破・急のオーソドックスな展開が成されており、ここにも『search/サーチ』の成功が偶然ではなかったことを実証しようとするチャガンティ監督の意気込みをうかがうことができます。

特に中盤で部屋の中に閉じ込められたクロエが外に脱出しようとするシークエンスなど、じっくり丁寧に描きこまれているあたり、この監督の力量を大いに納得させられることでしょう。



最後の30分「急」の展開に至っては「こう来たか!」と声をあげたくなるほどに意表を突きつつも、全てを見終えると実にオーソドックスなサスペンス・スリラーを見させていただいたという充実感に包まれます。

母=サラ・ポールソンの狂気もさながら、なかなか自由には動けないものの車椅子をスピーディに走らせること(=RUN!)には長けた娘=キーラ・アレンの躍動感が映画全体のリズムを大きく快活にさせることに貢献しているのも、この作品の素晴らしき事象のひとつでしょう。

(文:増當竜也)

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