ファスト映画は終焉へ:流行ってしまったのは社会のせい?
ファスト映画撲滅のための社会改善策案
本当に悲しいことですが世の中には、自分たちが儲けられるのであれば手段を選ばない人もいます。ファスト映画を配信した無法者も、そのうちの一例でしょう。しかし、手を出す人がいるからこそファスト映画なんてものが誕生し、幅を利かせていたとも言えます。だったら、そういう違法なコンテンツに手を出す必要がない状況、社会を作っていけばいいと思うのです。
そこで、私の貧弱な頭で「ファスト映画撲滅のための社会改善案」をいくつか考えてみることにしました……。
が、正直ファスト映画が流行した“金銭的”な原因を解消するためのアイデアは思いつきませんでした。1,800円、場所によっては1,900円の出費が重なることは、弱小フリーランスの私にとって結構な痛手ではあるのですが、その料金設定のおかげで大スクリーンで映画を観られる場所が維持できるのなら、値下げも割引制度の拡充も良策ではないと思ったからです。
では、“時間的”な原因を解消する案はどうでしょう。
私は現代の人たちが映画にも時間的効率を求めるようになった要因の1つとして、メディアでの取り上げ方があると思っています。2019年から2020年にかけて『鬼滅の刃』が大流行した際、アニメや映画だけでなく、ビジネスやファッションメディアでも取り上げられていました。
間口が広がるという観点から見ると、良い傾向ではあるでしょう。ただ取り上げるのが、話題作ばかりなところに「それでいいのか」と思います。
メディアの運営もビジネスなので、いかに多くの人に読んでもらえるかが大事です。とはいえその異常な加熱っぷりが、「話題についていけない」という人々の焦りを生み出し、結果ファスト映画のような違法コンテンツをのさばらせることにも繋がっている気がします。
メディアで映像作品を取り上げるのなら、爆発的な盛り上がりの側面ばかりでなく、いつの時代も色褪せないような作品、公開規模は小規模ながらも丁寧に作られた作品など、いろんな作品を平等に。映像作品は自分のペース、タイミングでじっくりと楽しめばいいというメッセージを、個人にはできない発信力、拡散力を生かして、多くの人に届けられないものでしょうか。
それからこれに関しては完全な願望ですが、社会保険料や税金、少しくらい下がりませんかね? これは、6月に届いた納税通知書を見て卒倒しかけた弱小フリーランスのぼやきです。
「ファスト映画」に手を出すな
「配信者は、時間やお金に余裕がない視聴者のニーズに応えているだけ」ファスト映画は、忙しい人たちにとっての味方のように見えるかもしれません。
しかしその作品の背景には、携わった人たちの想いや生活があります。その人たちに無断で作品の映像や画像をアップし、「映画を観なくても結論が分かる」という判断ができるレベルのネタバレをする行為は、興行収入に影響を与えるでしょう。つまりファスト映画は、クリエイターたちの生活を脅かす行為なのです。
当たり前のことですが、お金が入ってこなければ、次の作品は生まれません。新たな作品が生まれなくなれば、映画業界全体がしぼむことにも繋がるでしょう。
もちろん1番悪いのは、ファスト映画を配信している人です。しかし、お金も時間もかからないという理由だけでそれに手を出してしまった人もまた、クリエイターの首を絞める行為への加担者でもあります。
逮捕を機にチャンネルは激減しているそうですが、こういう姑息で卑劣な行為は別の形で出てくることもあります。そういう「クリエイターの想いや生活を踏みにじる」新たな何かを見つけた時は、手を出さずサイトの運営者へ通報しましょう。
(文:クリス)
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