<IP~サイバー捜査班>最終回まで全話の解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】
第7話ストーリー&レビュー
第7話のストーリー
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第7話のレビュー
「現場に何もない!」という前代未聞のミステリーが開幕。被害者・影森の部屋にはパソコンもスマホも何もない。しかも生前、削除代行業者にネット上にある自分の情報を消してくれと依頼していた。“デジタル終活”をしていたのでは…と推測する安洛。
“デジタル終活”という言葉、筆者はここで初めてきちんと耳にした。遺族に見られたくないパソコンやスマホのデータを生前のうちに消去しておこうということで、近年広がっている考え方らしい。確かにデジタル機器が普及したこの21世紀。データも遺品と考えるのはわかるし、死ぬ前に整理したほうがよい情報も当然あるだろう。
ただ、今回はこの“デジタル終活”が事件のハードルに。パソコンで解析できる情報がない以上、お総事係は手も足も出ない。しかし、安洛はさすがだった。影森のスマホの機器やアカウントを特定し、GPSデータを入手。被害者の1年分の膨大な行動履歴を元に捜査することになる。
捜査に乗り出す絆たち。すると、次々いろいろなことがわかってきた。亡くなった影森は不良で詐欺罪での逮捕歴あり。両親はすでに亡くなり、妹にも見放されていた。そして、ここのところあちこちで借金を重ねていた。
そして、影森の行動履歴を調べていた安洛はあることに気づく。怠惰な生活をしていた影森が3ヶ月前に就職。その後は家と職場を往復する日々になっていたのだ。さらに、ちょうどその3ヶ月前の5月6日、彼が大阪で働く妹・瞳と会おうとしていた形跡があった。
絆と多和田が瞳をたずねると、彼女は「4年前に逮捕されてから、一度も兄とは会っていない」と面会を否定。ただ、瞳の友人たちにも話を聞いたところ、彼女は3ヶ月前に結婚が決まったという。素行の悪い兄が結婚の邪魔になるために殺したのでは…という線も考えるお総事係。
そんな中で突破口を開いたのは、川瀬が見つけてきた影森のパソコン。データを復元すると、詐欺事件の仲間だった酒井の名前や8年前の何らかの出来事を検索していたのが判明。さらに、解剖医の夏海によって影森が肺がんだったという情報がもたらされる。そして、影森が借金をしてまで削除しようとしたものの正体も明らかに。ようやく安洛の中で答えがつながった。
事件の犯人は、瞳の友人・山崎麗奈だった。
8年前、ある高校で盗撮アプリが出回り、女性たちを盗撮した動画がネットに投稿。瞳もその被害者だった。投稿者は酒井。そして、当時、瞳のスマホにアプリを入れたのが、酒井と交際していた麗奈だった。
病気のことを瞳に伝えようとした影森は、瞳の結婚を知って邪魔にならないよう自身の存在を消そうと決意。しかし、その過程で瞳の盗撮動画を発見。消そうと躍起になり、酒井や麗奈にも働きかけた。影森の自宅アパートを訪れた麗奈は、「警察に行こう」と懇願する影森を思わず突き飛ばして命を奪ってしまったのだった。
兄の真意を知って戸惑いを隠せない瞳。そんな彼女に安洛はとあるニュース記事を見せる。そこには川辺ではしゃぐ幼少時代の影森と瞳が映っていた。生前の影森は、兄妹で遊んだ川辺に来てこの写真を見ていたのだと伝える安洛。瞳は「ありがとう、おにいちゃん」とつぶやき、婚約者に兄のことを話すと心を決めていくのだった。
今回、係長・平塚は有休をとって不在。その代わりかどうかはわからないが、川瀬と岡林が奮闘した。京都中のリサイクルショップに照会をかけて影森のパソコンを手に入れる荒業をやってのけた川瀬。そして、岡林はデータ消去済みだったそのパソコンを見事復元。安洛や川瀬に比べてあまり前に出ないけれど、実は彼もパソコンスキルは相当に高いよう。初回からキャラはしっかり立っていたこの二人。ここに来て活躍を見せてくれたのは嬉しかった。
また、ひとつ「あれ?」と思ったのが、夏海がお総事係をたずねてくる場面。絆にお土産のお菓子を渡した彼女に既視感を覚えた。そう、解剖を担当した医師が差し入れを持ってやってくる…といえば、今秋劇場作が公開されるあのドラマ。やはり京都府警を舞台にしたもうひとつの木曜ミステリーである。そういえば、あのドラマの主人公も安洛同様よく自転車に乗っている。京都は警察の捜査員たちが自転車でめぐりたくなる土地なのか。そして、医者が買いたくなる魅力的なお菓子にあふれた街なのだろうか。彼らはもしかしたらどこかですれ違っているかも…とついつい思いを馳せてしまった。
ドラマは次回ついに“最終章”に突入。いつの間にか憎まれ口をたたく間柄になっている安洛と絆だが、これから先、例の親子か否か問題にも決着がつくかもしれない。そうなったとき、ここまで築いてきた関係がどうなるかが心配なところ。二人の明るい未来を心から願っている。
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(C)テレビ朝日