「IP~サイバー捜査班」第4話レビュー:ようやくバディらしくなった安洛と絆!歌姫役の島崎遥香にも注目(※ストーリーネタバレあり)
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佐々木蔵之介主演、京都を舞台としたミステリー「IP~サイバー捜査班」が2021年7月1日より放映スタートした。共演に福原遥、間宮祥太朗ほか。
佐々木演じる安洛一誠(やすみや・いっせい)は、「サイバー総合事犯係」の主任で、サイバー犯罪に関する知識と捜査スキルはピカイチ、超がつくほどのデジタル人間。そんな安洛が自分の父親ではないかと考えている古宮山絆を福原遥、裏で安洛について調べる密命を担う多和田昭平を間宮祥太朗が演じる。サイバー犯罪と、その裏にある人間ドラマを絡めたミステリー。
本記事では、その第4話をcinemas PLUSのドラマライターが紐解いていく。
「IP~サイバー捜査班」第4話レビュー
今回総事係が取組むのは、ネットの誹謗中傷から生まれてしまった悲劇。
匿名音楽ユニット“スノウライト”のメンバー・YUKIこと高原雪世がネットでの炎上を苦に自殺。そのため、もう一人のメンバー・MAYこと明紗は悪質な書き込みを行った10人に謝罪を要求。謝罪メールを送ってこなかった者の個人情報をライブ配信でさらすと宣言する。
これに対する苦情が警察に殺到。総事係はその対応をおしつけられたらしく、部屋ではひたすら電話が鳴りやまない。しまいには両手で一つずつ受話器をとっていた川瀬がなんとも気の毒だった。
一方、絆と多和田は明紗たちの警護にあたるが、その中で見えたのは明紗と他の者たちの計画に対する温度差。躊躇なくすすめようとする事務所社長の狭間や顧問弁護士の榊原に対し、明紗だけは本当にこのやり方でよいのか?と迷っているふしが伺えた。
ガイドラインに抵触しないかぎり配信元の会社も止めることができない…という中、個人情報の特定だけは阻止しようとライブ配信を見守る総事係。しかし、いざ始まると、明紗は10人全員から謝罪があったと話す。
しかし、これを嘘だと見破ったのが安洛。というのも、雪世に誹謗中傷をして謝罪を拒んだ屋島という男が殺されていたのだ。さらにもう一人の謝罪を拒んだ女性も殺害されてしまう
そんな中、明紗と狭間が突然姿を消し、行方を追う総事係の面々。そして、ここで驚くべきことに、安洛が「どう思う?」と絆に相談を持ちかけた。
ここまでどちらかというと煙たがってきた絆に自分から意見を求めた安洛。しかも、雪世のことを調べたいという絆に「わかってて行動にうつさないのは 時間の無駄だ。さっさとやれ」と後押しまでしていた。これまでいろいろあったけれど、ようやく絆を部下として信頼し始めたらしい。
雪世のことを知るべく彼女の姉のもとを訪れた絆は、姉の千夏から雪世が残したICレコーダーを預かる。
レコーダーのデータを安洛に送る絆だったが、そこで明紗が突如配信ライブを開始。謝罪拒否した人間がいたこと、さらに、榊原と狭間が誹謗中傷した者たちと示談交渉をして賠償金を得ようと仕組んでいたことなどを暴露する。
配信を止めようと総事係の面々があわてる中、絆が送ったデータを耳にした安洛がついに事件の謎を解いた。
安洛や絆が駆けつけた現場にいたのは、縛られた明紗、狭間、榊の三人。さらに、榊の弁護士事務所の職員・立花亮太。彼こそが一連の殺人事件の真犯人だった。
犯人がわかった決め手は、雪世のICレコーダー。何度も“RYO”という名前を口にする雪世の声が中に入っていた。実は亮太はスノウライトになる前の雪世とネットを通じて心を通わせていた。それだけに彼女を誹謗中傷して死に追いやった人間たちが許せず殺害。雪世の死を利用しようとした狭間たちも殺そうとしたが、安洛たちがそれを阻止。ライブ配信も安洛がプラットフォームにハッキングして無事に停止させることができた。
亮太が連行され、無事に解放された明紗たち。そして、「スノウライトを続けていこう」と言ってきた狭間に、明紗は思いきり平手打ちをくらわす。「私はただ匿名の人たちがYUKIに謝罪してくれるだけでよかったのに…」と声を震わせる彼女。やはり、明紗だけは純粋に雪世のことを思っていたのだ。そんな彼女を見た安洛はICレコーダーを絆に渡し、絆は「MAYに会えてよかった」という雪世のメッセージを明紗に聞かせるのだった。
これまで考え方の違いやら親子か否かの問題やらなにかと揉めてきた安洛と絆。しかし、今回は協力して事件を解決。ようやくバディになった兆しが見られ、おかげで、今までで一番安心して楽しめた回だった。ウェブの情報を解析して真実を導き出す安洛と、犯罪の奥に潜む人の心を追求していく絆。それぞれの役目・立ち位置がはっきりしたし、何より対立している同士より認め合うバディのほうが見ていてずっと気持ちがいい。
今回は明紗を演じた“ぱるる”こと島崎遥香の存在感も非常に印象的だった。目力の強いミステリアスな美しさが正体不明の歌姫役に非常にハマっていたと思う。また、彼女が“スノウライト”として歌った「消極的闘争と積極的逃走」はかなりクオリティの高い楽曲。あれはどこかで円盤化や配信などしてくれないものかと願っている。
1~3話でエンジンをかけて、この4話でようやく捜査チームの連携が確立された感のある本作。次回は、係長の平塚にスポットがあたるようなので、今後、安洛と絆以外のメンバーたちを掘り下げていくドラマなども期待していきたい。
「IP~サイバー捜査班」第4話ストーリー
変わり者の主任・安洛一誠(佐々木蔵之介)が所属する京都府警サイバー総合事犯係は、ひっきりなしにかかってくる電話の対応に追われていた。事の発端は、京都を拠点に活動してきた2人組の匿名音楽ユニット“スノウライト”の“MAY”こと蘭堂明紗(島崎遥香)が前夜のライブ配信で放った発言だった――。スノウライトは素顔や素性を隠して活動してきたが、半年前、MAYのパートナー“YUKI”こと高原雪世(芦原優愛)の本名や過去がネット上で暴露され、大炎上。YUKIはそれを苦に自ら命を絶ってしまったのだ。怒りがぬぐえないMAYは事務所社長・狭間誠(河相我聞)や弁護士・榊原真次(相島一之)と相談の上、YUKIについて特に悪質な書き込みを行った10人を特定。そして半年の沈黙を破って開いた前夜のライブ配信で、自らの素顔を公表しつつ、その10人に明後日のライブ配信までに実名で謝罪メールを送ってくるよう要求したのだ。さらにMAYは、謝罪しなければライブ配信内で彼らの個人情報を公表するとも宣言。それを機に、MAYに対してバッシングが巻き起こり、「ライブ配信をやめさせろ」などの苦情が京都府警に殺到する状況となったのだ。
安洛は、MAYへの襲撃をほのめかす書き込みが相次いでいることに注目。事件を未然に防ぐため、古宮山絆(福原遥)と多和田昭平(間宮祥太朗)は彼女の警護に当たるが、安洛はその現場にMAYを狙う男がいることに気づいて…!?
はたして、悪質な誹謗中傷を書き込んだ10人はライブ配信までに謝罪メールを送って来るのか――それともMAYは10名の個人情報をさらしてしまうのか――運命のライブ配信がスタートする中、会社役員・屋島修一郎(下元佳好)が何者かに殺害される事件が発生。安洛は、彼が問題の10人のうちのひとりであることに気づくが…!?
(文・田下愛)
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