『もののけ姫』が公開された1997年、こんな<ヤバい>年だった
1997年最高のドラマは「ギフト」」である。異論は認めるが聞く耳はもたない
見出しで思いっきりカマしてしまったが、今調べ直して不安になって来た。1997年のドラマは凄まじい。流行語にもなった「失楽園」、そして「バージンロード」「ストーカー・誘う女」も捨てがたいが、放映作の並びを見ていると、全国が広末派と稲森派に二分された「ビーチボーイズ」、ロン毛のキムタクを物語内で断髪する松たか子を見るだけでも価値のある「ラブジェネレーション」、そして美男美女が隔離された空間でチキチキサバイバルレースを繰り広げ、3本線のジャージをラッパーよりも流行らせた「ぼくらの勇気 未満都市」が光る。
さらに「踊る大捜査線」が放映されている。
当方熱狂的な恩田すみれ、もとい深津絵里ファンのため、彼女が出ているシーンにおいては「ギフト」を超えてしまう可能性がある。
とはいえ、総合力では1997年のいかなるドラマも「ギフト」を凌駕することはできないだろう。
ポーターの売上を抜いたとしてもだ。もちろん好みの問題もあるが、登場人物のキャラだけをとっても、記憶を失くした運び屋の男。彼を保護する人材派遣会社の遣り手社長。明朗快活ながらも少々影のあるヒロイン。そして、犯罪オタクで情報屋の田村を演じるは忌野清志郎である。今見たら泣いてしまうかもしれない。
極めつけは、主題歌をブライアン・フェリーの「TOKYO JOE」に設定したことである。「TOKYO JOE」は1977年のリリースだが、日本オリジナル版として8センチCDが発売されている。1977年から1997年へ20年の時を経て歌われるファム・ファタールのアレコレは、まるで事前に仕込まれていた贈り物で、「ギフト」のためにあるとさえ思えてしまう。当たり前だが楽曲のクオリティも高い。ギターは「ギター・ジャンボリー」にて古今東西のギタリストの物真似を披露した腕利き、クリス・スペディング、ドラムにはロキシー・ミュージックからポール・トンプソン、ベースに至っては、最早キャリアを記載するのも長すぎて面倒くさい、ジョン・ウェットンである。
念のために書くが、1997年公開のドラマの主題歌クオリティが低いわけではない。なにせ「ラブジェネレーション」の主題歌は大滝詠一の「幸せな結末」だ。というか、大滝詠一が12年ぶりにシングルをドロップした時点で、既に日本ポップス史上を揺るがす大事件であることに異論がある方はいないだろう。
大滝詠一つながりでいうならば、12年ぶりのシングル「幸せな結末」から遡ること4ヶ月ほど前、1997年7月21日にはKinKi Kidsのデビューシングル「硝子の少年」がリリースされている。
作詞は松本隆、作曲は山下達郎。ジャニーズ側からの「オリコン初登場1位」「ミリオンセールス」という注文を、1997年度年間2位という堂々たる結果で見事に捌き切るのだが、1997年のオリコンで年間2位を取るなぞ、まさに神々たちの御業である。
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(C)1997 Studio Ghibli・ND