『もののけ姫』が公開された1997年、こんな<ヤバい>年だった


「余裕・挑戦・失敗」感漂うなか、1997年の「友情・努力・勝利」は


週刊少年ジャンプといえば「友情・努力・勝利」だが、1997年の少年ジャンプは新年号で傑作「レベルE」が連載終了するという事件から幕を開ける。連載休止ではなく「終了」なのがポイントで、富樫は仕事をしっかりと終わらせている。というか、この頃の我々は富樫があんなに休むとは思ってもいない。

10号では、田舎に住んでいる少年たちに「東京」という街を勘違いさせた素晴らしき不良漫画「ろくでなしBLUES」が終了。甘美な余韻を残したのもつかの間、19号では「I"s<アイズ>」の連載が開始され「千秋だ和美だ」言っていたキッズ達は「伊織だいつきだ」と完全にシフトしていく。

30号では「ラッキーマン」が最終回となる。ちなみに「幕張」で「作者がガモウひろしでした」と明かされるのはもう少し後のお話。そして33号では「世紀末リーダー伝たけし!」の連載が開始される。何らかの連載が終了したら新連載が始まるのは当たり前の話だが、交代する選手が今となっては懐かしい。

名作「世紀末リーダー伝たけし!」が登場したのもつかの間、次号では「ONE PIECE」の連載が開始。


そう、1997年はルフィが「海賊王に!!! 俺はなるっ!!!」つって、海に出た年でもあるのだ。彼が海賊王宣言をしてから24年と考えると、なかなかに感慨深いものがある。

ルフィと同じく、当時リアルタイムで読んでいた私たちも随分と成長した。少年はいつしか社会人になり「組織やマネジメントの話をワンピースに絡めて話す人」にはなるべく近づかない方が良いことも学んだ。組織運営やマネジメントで参考にすべきは「ONE PIECE」でなく「銀河英雄伝説」である。

ヤン・ウェンリーとラインハルト・フォン・ローエングラムを中心に、広大な銀河系を舞台にした壮大なるスペース・オペラにして、イゼルローン要塞の如く鉄壁のストーリーが展開する宇宙一の傑作の話はさておき、この年のジャンプには「ジョジョの奇妙な冒険」「こちら葛飾区亀有公園前派出所」も当然ながら掲載されている。ワンピースの24年も凄いが、「載っているのが当たり前過ぎて特に触れることがない」作品もまた凄まじい。

ちなみにこの年、少年ジャンプの発行部数は23年ぶりに少年マガジンに抜かれることとなる。本年のラインナップを鑑みるに、「余裕・挑戦・失敗」は漫画にも当てはまると言えなくもないような気がしてくる。ジョジョ、こち亀はもちろん、時折登場する鳥山明の余裕っぷり、看板漫画家を出そうと挑戦する編集部、それらが不全を引き起こしたかどうかは定かではないが、部数下落や企画が思ったより当たらないといった失敗。しかしながら、「ONE PIECE」を載せた時点で充分に挑戦・失敗コストは回収できているだろう。

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(C)1997 Studio Ghibli・ND

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