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『モンタナの目撃者』レビュー:「殺し屋サスペンス」と「山火事パニック」の秀逸なスペクタクル大作!



■増當竜也連載「ニューシネマ・アナリティクス」SHORT

火事を描いた映画やドラマはたくさんありますが、ビルなど建物の火災と異なって山火事の場合、実際の惨禍はともかく(2021年8月もカリフォルニア州で大きな山火事が数週間も続き、大変な被害となっています)、映像にした場合、描くエリアが広範囲になるがゆえにどうしても散漫な印象をもたらしがちです。

オールスターキャストの『大火災』(77)はまさにそのパターンでしたし、山火事ではありませんが街全体が火災に見舞われる『シティ・オン・ファイア』(79)も似た印象を受けたものです。



ところが本作は、そうした山火事ものの欠点を、父親を目の前で殺されて自らも暗殺者の魔手から逃れようとするコナー少年のエピソードに大きく時間を割き、その中に未曽有の山火事、さらにはアンジェリーナ・ジョリー扮する森林消防隊員ハンナのトラウマなどを盛り込むことで、サスペンスとディザスター・パニック、そしてサバイバル劇がバランスよく融合された逸品に仕上がっています。



これにはやはり『ボーダーライン』(15)で初脚本を務め、監督デビュー作『ウインドリバー』(17)で大雪原サスペンスを見事に描出した才人テイラー・シェリダン監督ならではの功績を大きく讃えるべきでしょう。

(今回の脚本は原作者のマイクル・コリータとチャールズ・リービットと共に執筆)

キャストもおおむね好演していますが、中でもパトリック(ニコラス・ホルト)&ジャック(エイダン・ギレン)の殺し屋コンビの徹底して非情なワルっぷりも、一方ではそれゆえのダメっぷりも実に妙味で、悪しき行動の数々から人間味がうかがえる、映画ならではの人物像が構築されています。



また彼らがハンナの同僚でもある保安官イーサン(ジョン・バーンサル)の妻で妊娠中のアリソン(メディナ・センゴア)を襲うくだりも、なかなかドラマ中盤を盛り上げる優れものとなっています。

火災と人災を組み合わせながら人間の業やらサガやらをじわじわとあぶりだしながら最終的にはカタルシスをもたらすパニック・スペクタクル映画の王道としておススメです。



(文:増當竜也)

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