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『にじいろトリップ:少女は虹を渡る』レビュー:才人いまおかしんじ監督が両親の復縁を願う少女の心を描出するミュージカル映画  



■増當竜也連載「ニューシネマ・アナリティクス」

「ピンク七福神」の異名も今は昔、最近はジャンル分け不能の作品を連打し、特に昨年は『れいこいるか』が2020年度「映画芸術」誌ベスト1に輝き、今年も『農家の嫁は、取り扱い注意』2部作と『葵ちゃんはやらせてくれない』を立て続けに発表して映画ファンを喜ばせてくれたいまおかしんじ監督。

本作はそんな彼による、何と何とのファミリー・ミュージカル映画!?

しかし、一見優し気なタッチの中から人間のシビアな情感を醸し出させることに長けたいまおか作品、今回もぬかりはありません。



本作の場合、離婚間近の両親の関係を何とか元に戻したいと願う娘の健気な心の愛らしさと、しかしなかなか報われることのない現実の双方をつなぐためのツールとしてミュージカルが用いられています。

正直言ってこのミュージカル・シークエンスの数々、微笑ましくはあれ決してハリウッド・エンタメ的な華やかなものではありません。

しかしながら、確実に主人公少女の「今」を描出するための手段として大いに機能しています。



撮影時は11歳だったという主演の櫻井佑音ちゃんの等身大の初々しさが可愛らしく捉えられているのもいまおか監督作品ならではの長所で、いつのまにかファンタジックな情感をもたらしてくれているあたりも、10代初頭の少女のちょっとした冒険心に似つかわしい味わいでした。

39分の短編ではありますが、だらだら長いだけのそこらの作品などより、ずっと映画的情感を見る側に育ませてくれる良作です。

一方では、そんな針のムシロのような長篇ばかり作っているメジャー映画会社はどうして、いまおかしんじ監督の存在に着目しないのか?

そろそろ映画に関わる人々の見識が問われても仕方がないというか、いまおか監督のような才人をメジャー・シーンで起用する(いや、そこまでいかなくても、せめて普通の予算で制作できるような企画を持ってこれる)映画人はいないものかと待望しているところではあります。

(文:増當竜也) 

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