<検証>東出昌大は、(あらゆる意味で)人を引きつける天才か否か


恋は盲目、でも惚れたもん負け。『すべては君に逢えたから』

(C)2013「すべては君に逢えたから」製作委員会

世間はクリスマスムード一色。東京駅周辺を舞台に、男女に纏わる6つのストーリーが交錯、そしてその先の奇跡を描いた『すべては君に逢えたから』(13)。

肌寒くなってくると、クリスマスに関連する映画が観たくなる。
東出昌大関係なく、『すべては君に逢えたから』もクリスマスが近付くに連れて観たくなる映画の一つだ。

少し前の映画だが、まず、キャストが最高なので見てほしい。

Story1〈イヴの恋人〉
黒山和樹:玉木宏
佐々木玲子:高梨臨

Story2〈遠距離恋愛〉
山口雪奈:木村文乃
津村拓実:東出昌大

Story3〈クリスマスの勇気〉
大友菜摘:本田翼

Story4〈クリスマスプレゼント〉
岸本千春:市川実和子
寺井茜:甲斐恵美利

Story5〈二分の一成人式〉
宮崎正行:時任三郎
宮崎沙織:大塚寧々
宮崎幸治:山崎竜太郎

Story6〈遅れてきたプレゼント〉
大島琴子:倍賞千恵子
49年前の琴子:岡本あずさ
松浦泰三:小林稔侍

クリスマス映画のド定番、『ラブ・アクチュアリー』(03)を連想させる、オムニバス映画だ。



東出昌大は〈遠距離恋愛〉というストーリーの中で、建設会社の仙台支店に勤める津村拓実という男を演じる。遠距離恋愛のお相手は、東京のアパレルメーカーでデザイナーの卵として奮闘する山口雪奈(木村文乃)。

そういえば『寝ても覚めても』でも”仙台”がキーになっていたし、木村文乃とは後々『BLUE/ブルー』(21)でも共演している。偶然は重なるものだ。

クリスマス気分を思う存分に味わえる本作品は大好きなのだが、木村文乃ファンがこの映画を観たら、東出昌大のことを嫌いになってしまうかもしれない。いや、木村文乃ファンでなくとも、嫌悪感は生まれてしまうかもしれない。そんな”クズ”な役どころだ。

念の為先に弁解しておくと、私の中で「芝居が上手い」と評価するポイントは「演じている姿を見て本気でムカついたら負け」ということ。貶しているように聞こえるかもしれないが、嫉妬でもあり、めちゃくちゃ褒めているということをご理解いただきたい。

まず、超絶かわいい雪奈(木村文乃)が拓実(東出昌大)にゾッコンで、雪奈は毎朝モーニングコールをしたりメールしたりするのに、拓実のどことなくつれない態度が鼻につく。

東京出張で1ヶ月ぶりに会えるというのに、会食を優先し、朝まで連絡もしない拓実。雪奈から電話するも「先輩に付き合わされて朝までになっちゃって…お前がよくても俺、朝イチで帰んなきゃいけないし」と謎の言い訳。というか、ただの自己中?

健気な雪奈は出勤前に東京駅まで駆けつけ、クリスマス・イブにあるファッションショーのチケットを渡すも、浮かない顔の拓実。恥ずかしいのか、なんなんだ本当に。

東京出張でも一緒だった女の先輩にジャブらしきものを打たれ、YESともNOとも言わないような態度で朝まで飲み明かし、雪奈からのメールも返さずモーニングコールにも出ない拓実。
心配した雪奈は仙台の拓実の家まで押しかける。いや、これよっぽどですよ。よっぽど。仕事どうしたんだろう、雪奈。

それなのに一貫してツンケンした態度を取る拓実。もともとこういう奴なのであれば、なぜ雪奈は好きなのか謎でしかない。

この一件もあり連絡さえ取らなくなってしまった二人。とはいえ、会えない時間に思いは募る。
(C)2013「すべては君に逢えたから」製作委員会

クリスマス・イブ当日、ファッションショーに拓実が来ていないと思い込み、落胆する雪奈。しかし、拓実からは「東京駅にいる。会える?最終で帰る」という連絡が。
急いで東京駅に向かい、無事クリスマスツリーの前で落ち合う二人。そこで雪奈は拓実がファッションショーに来ていたことを知る。

「あれからいろいろ考えたんだけど…」と切り出す拓実。一旦遮り、遠距離恋愛の良いところを話し出し「拓実じゃないとダメだから、遠距離恋愛は大変だけど、これからも続けたい」と、雪奈。

「俺もやっぱり、雪奈じゃないとダメだから。ずっと続けるつもりだから。だったら、結婚しちゃえばいいんじゃない?しよ?遠距離結婚」と、拓実。

…え!!!まさかのプロポーズ!?と見ている側としては若干の困惑もありつつ、まぁ、二人が幸せならいいのか…

最終で帰る拓実を見送る雪奈。少し寂しそうな拓実のこと、ちょっと新鮮でかわいいと思ってしまった。

乗車し、雪奈を見つめ、手を差し出す拓実。雪奈が手を握ったその瞬間、なんと車内に引き込んでしまう。
「ちょっと私、明日仕事…」という雪奈に、「朝イチで帰れば」と言ってキスをする拓実。

……えーーーーーー!!!!!!もしかしてこれ、感動的なシーンなんですか??!
なんかもう拓実が自己中心的すぎて、逆に笑えてきてしまう…女の子って、みんな、こういう男にキュンキュンするものなのでしょうか。

そして、いい塩梅でクズさ加減を出してくる東出昌大に頭が上がりません。完敗。

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