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『DUNE/デューン』ハンス・ジマーの衝撃的サントラを君は聴いたか!?


近作と比較しても明らかに“異質”


全体を通して神聖かつダークなトーンに覆われているサウンドトラックですが、その独創性は既に巨匠のレベルに達しているジマーがさらに映画音楽界において未知の領域に踏み込んだと言っても過言ではありません。


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ジマーといえば現在公開中の『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』の作曲も手掛けていて、こちらはジマー節とも呼べる勢いはどちらかといえば抑え気味(それでもギタリストのジョニー・マーとノリノリで鳴らしていますが)。新しいサウンドを生み出すのではなく、『007』が築き上げてきた世界観やジェームズ・ボンド役から卒業するダニエル・クレイグへの敬意を大前提としたスタンスが窺えます。

またジマーは昨年公開された『ワンダーウーマン 1984』(20)の作曲を担当しましたが、ワンダーウーマンのテーマ曲を含めたアクションスコアやドラマ性を強調した“泣き”のメロディ、パーカッシブなサウンドは直近の登板作品で最もジマー本来のスタイルに近かったように思えます。



『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』と『DUNE/デューン 砂の惑星』が公開延期の憂き目にあっていなければジマーは同時期に大作3本を担当していたわけですが、それぞれ性質・アプローチが根底から異なった3タイトルの音楽を比較してみるのも1つの楽しみ方。

喜ばしい反面、ちょっと働きすぎでは……と心配にもなりますが。

話を『DUNE/デューン 砂の惑星』に戻すと、確かに重低音を響かせた楽曲群はノーラン作品の音楽に通じるところがあります。一方でこれは推測でしかありませんが、『ブレードランナー 2049』で久々にチームを組んだリドリー・スコット作品の音楽も意識しているような気配も。


写真:Album/アフロ

そもそもヴィルヌーヴ監督の画作りが随所でリドリー作品の“美しさ”を彷彿とさせるところがあり、音楽にもその影響が及んだ可能性は否定しきれません。たとえば民族性を想起しやすいアルメニアの管楽器ドゥドゥクの音色が時おり響きますが、ジマーはリドリー監督作『グラディエーター』(00)でドゥドゥクを多用した過去が。また『グラディエーター』と『ブラックホーク・ダウン』(01)で美声を披露したリサ・ジェラルドが、本作でもボーカリストとして参加しているのは果たして偶然でしょうか。



またジマーが “地球の音楽”ではなく“砂の惑星の音楽”を念頭に置き、月日をかけて新しい楽器と音色を生み出した点にも注目。そもそもジマーは、異国を舞台にした作品では「その国の音で演奏する」というスタンスを1989年のリドリー監督作『ブラック・レイン』の段階で明確にしています。

さらに『ブラックホーク・ダウン』ではアメリカ側をデジタルサウンド、ソマリア側を民族楽器に分けることで映像に加えて聴覚でも対比構造を鮮明化。その発展形に位置するのが本作です。

畏怖の念すら感じられる女性コーラスが観客を砂の惑星へと誘いつつ、新たに作り出された音色を含むオーケストラが砂の惑星という土俗感(極端に言えばデジタル機器が排された砂の世界)を、そして民族楽器が砂の惑星を舞台にした登場人物たちの“業”を表現しているようにも感じられました。

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