2021年11月04日

〈新作紹介〉『DANCING MARY ダンシング・マリー』ホラー?喜劇?ヤクザ映画?ジャンル分けもナンセンスな純愛エンタメ!

〈新作紹介〉『DANCING MARY ダンシング・マリー』ホラー?喜劇?ヤクザ映画?ジャンル分けもナンセンスな純愛エンタメ!



■増當竜也連載「ニューシネマ・アナリティクス」SHORT

このタイトルでEXILE NAOTOが主演なので情熱的なダンス映画かと思いきや、何ともジャンル分け不可能な、実にSABU監督らしいアナーキーな作品です。



冒頭からホラーチックな雰囲気で始まったかと思いきや、一転して緩めのお役所コメディとなり、さらにはそこからサイキックな青春映画風になったり、台湾ロケしてみたり、いつのまにかヤクザ映画になっていったり、気がつくと純愛映画になっていたりもして……一体これって何の映画?

(チラシなどには「純愛サイキック・エンターテイメント」ともありますが、やはりこれが一番当たってるかな?)



平凡が一番といった事なかれ主義の気弱系主人公(EXILE NAOTO)が霊能力を持つ少女(山田愛奈)とともに踊り子の幽霊マリー(阪東希)の恋人(吉村界人)を探すべく、さまざまな幽霊の聞き込みを始めるあたりのシュールな感覚もよく、また幽霊が見えるシーンはモノクロになったり、映像のメリハリも明快です。

特筆すべきは石橋凌扮する幽霊ヤクザが敵の幽霊たちと殺し合い(?)をはじめる殺陣シーンで、かっこいいといえばかっこいい、でも何だかキテレツな味わいも濃厚で、正直映画全体のバランスを崩している感もありつつ、実はだからこそ面白いという、これまた不可思議なシーンに仕上がっているのでした。

総じてさまざまなジャンル要素がてんこもりの中、ストーリー的な最終着地点に至るまでのEXILE NAOTOの好ましい奮闘の数々を通して映画全体がアナーキー化していくあたり、やはりSABU監督作品の醍醐味ともいえるでしょう。



マリーのダンス・レビュー・シーンが上手く撮れているだけに、もっと見たかったというないものねだりもありますが、ふたりのはかなさ系ヒロインが醸し出す雰囲気も映画全体に大きく貢献しているようでした。

ファンタスポルト・ポルト国際ファンタスティック映画祭審査員特別賞、ファンタスポア・ポルトアレクレ国際ファンタスティック映画祭“物語の意図を最もよく表現された撮影賞”、アジアン映画祭最優秀オリジナル映画賞を受賞するなど、海外で多大な評価を得続けてきた本作、いよいよ日本上陸です!

(文:増當竜也)

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(C)2021映画「DANCING MARY」製作委員会

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