(C)2021「聖地X」製作委員会
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2021年11月18日

『聖地X』岡田将生と川口春奈の兄妹の関係性に萌える!入江悠監督の新境地なエンタメホラーになった3つの理由

『聖地X』岡田将生と川口春奈の兄妹の関係性に萌える!入江悠監督の新境地なエンタメホラーになった3つの理由


3:入江悠監督の「オラこんな村イヤだ」な作家性も生かされまくり

前述した通り、『聖地X』は原作となる舞台があり、しかもオール韓国ロケで韓国チームもガッツリ制作に関わるややイレギュラーな制作体制となっている。にも関わらず、はっきりと「入江悠監督の作品だ!」と思えることも脅威的だ。

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何しろ、入江悠監督のいちばんの作家性と言えば「オラこんな村イヤだ」。閉鎖的な村社会の嫌らしさや気持ち悪さをねちっこく描き、そのシチュエーションに登場人物が「もうやめてくれ!もういいから彼らを幸せにしてやってくれ!」と本気で願うほどに苦しむことが多い(褒めている)。つまりは良い意味で意地の悪い作家とも言えるのだが、それが本作『聖地X』における「呪われた土地」や「笑えるほどにキモいドッペルゲンガー」という「こんなところに1秒だっていたくない!」な設定とは相性抜群というわけである。

思えば、ジャンルとしては決してホラーとは呼べない『22年目の告白 -私が殺人犯です-』でも、序盤からジャパニーズホラーを思わせる不気味な演出や、心底ゾッとさせる人間の「業」を強く感じさせるシーンもあった。元々、入江悠監督はホラーというジャンルとも相性の良い作家とも言えるのではないか。今回の『聖地X』はホラー以外のジャンルも混ぜこぜだからこその面白さもあったが、今後は入江悠監督によるガチなホラーも観てみたい!と強く思うことができた。

ちなみに、入江悠監督は岡田将生について「無垢で美しいだけではない、三十代になった今の彼の新しい側面を吹き込んで欲しかった」と、川口春奈についても「かつての無邪気さに代わる堂々としたたたずまいを携えながらも、仕事に対する責任感が増しただけ慎重になっているようなところがあって、そうした人生経験がこの役に相応しい」などとキャスティングの理由について語っている。まさにこの目論見通り、『聖地X』の岡田将生と川口春奈は、実力派の若手俳優が役者としてのキャリアと人生経験を重ねたからこその、「大人」としての堂々とした佇まいと熱演を見せている。それでいて、彼らが気の置けない親友のようにも見える兄妹役であり、それぞれの可愛らしさ、その掛け合いに大いに萌えられるのがたまらないのだ。

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TELASAで配信中の『ウワキな現場』も要チェック!

『聖地X』はホラーとしての「閉塞感」や「逃げ場のなさ」も重要なので、ぜひ映画館で集中して観てほしいと願える内容だ。だが、配信も劇場公開と同時に行われている作品なので、もちろんそちらで視聴するのもいいだろう。

このために(そうでなくても)TELASAに加入した方に、ぜひおすすめしたい短編映画がある。それは『カメラを止めるな!』(2017)の上田慎一郎監督の最新作『ウワキな現場』である。



あらすじは、浮気現場を目撃したお笑い芸人トリオの1人が、それを元にしたショートコントの練習をするというのもの。ジャンルとしては「サイコホラー」と言える内容であった。

すごいのは、福田麻貴(3時のヒロイン)、加納(Aマッソ)、サーヤ(ラランド)という本職がお笑い芸人の面々の演技がめちゃくちゃ上手いということ!それでいて短い上映時間に、よくもまあこれだけの驚きの展開を詰め込めたものだと、上田慎一郎監督とその妻のふくだみゆきが手がけた脚本に感心するばかりだった。

奇しくも『ウワキな現場』と『聖地X』は、「インディーズ映画で名をあげた監督が」「ホラー映画に挑み」「なおかつ二転三転する展開がエンターテインメントとしてめちゃくちゃくちゃ面白い」という、複数の共通点を持っていた。個人的には万人が面白いと思えるエンタメこそ映画の中でいちばん難しいと思うし、それを作家性を活かして見事に実現した入江悠監督と上田慎一郎監督はやっぱりすごい!とますますファンになった。ぜひ、合わせてご覧になってほしい。

(文:ヒナタカ)

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