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2021年12月27日

ザ・ドリフターズと映画|『男はつらいよ』シリーズとも実は密接な関係に!

ザ・ドリフターズと映画|『男はつらいよ』シリーズとも実は密接な関係に!




2021年に公開された話題作映画の中に『キネマの神様』も含まれますが、これは志村けん主演で企画されていたものの、彼の急死によって盟友・沢田研二が役を引き継いで完成したものでもありました。

その志村けんが所属していたお笑いグループが“ザ・ドリフターズ”であることを知らない方は少ないとも思われますが、彼らの映画もまたかつて数多く作られていたことを、今の若い世代の方々は意外にご存じないかもしれません。

実は現在、松竹で配給(途中から製作にも参画)された“ザ・ドリフターズ”映画が多くの配信で見ることが出来ます。

なかなかソフト化されないままでいた彼らの映画が、ようやくお手軽に見られる世の中になってきた!

これを喜ばずして、どうしましょう!

音楽バンドからコントへ転身
ザ・ドリフターズのキャリア


最初に、ザ・ドリフターズの経歴からざっとおさらいしていきましょう。

彼らはもともと1956年にマウンテンボーイズと東京ウエスタンボーイズが合併して結成された音楽バンドでした(当初はサンズ・オブ・ドリフターズと名称)。

ただし、楽曲を主体にした音楽ネタなども披露しており、次第にそれが好評でテレビ出演などするようにもなり、コミックソングを歌ってみたり、コントやギャグを披露するようになっていきます。

やがてメンバーの入れ替わりを繰り返しながら1960年代半ばにはいかりや長介をリーダーに、加藤茶、荒井注、高木ブー、仲本工事の5人メンバーを確立。

以後、コント・グループとしての彼らの人気もどんどん高まっていき、1969年10月4日(土)からTBS系で人気長寿番組「8時だョ!全員集合」が始まり、国民的不動の人気を得るように。

(一時中断していた時期もありますが、最終的には1985年9月28日まで、何と全803回を計上!最盛期の視聴率は40~50パーセント!)

そして1974年に荒井注がグループを脱退し、代わってグループのボーヤを務めていた志村けんが加入し、新生ドリフとしてさらなる人気を高めていきました。

こうした大人気は、もちろんテレビの功績ではありますが、実はその前に彼らは数多くの映画に主演していたのです!
 

「8時だョ!全員集合」以前に
始まったドリフ映画シリーズ



いかりや長介をリーダーとする5人体制のザ・ドリフターズは“クレージーキャッツ”に倣ったコミックバンドとして脚光を浴びるようになって、テレビ「大正テレビ寄席」に出演し、お茶の間の人気を獲得。

その勢いに乗せながら、1967年には彼らの映画『なにはなくとも全員集合!』が製作され、これが大好評となり、即シリーズ化されていったのです。

こうしたザ・ドリフターズ映画(通称ドリフ映画)は大別して松竹配給作品『全員集合‼』シリーズが16本、東宝配給作品『ドリフターズですよ!』シリーズが5本ありますが、このうち松竹版『全員集合‼』シリーズのうち14作品が現在YouTubeムービーやAmazonプライム、U-NEXT、GYAO!などで配信されるようになっています。

ドリフ映画はかつて松竹版のみビデオ化されましたが、DVD以降のソフト化は未だに成されていないので、これは貴重な配信でもあるといえるでしょう。
 

ドリフ映画は寅さん映画と
同時上映だった!



ここでドリフ映画の特色をざっと説明しておきますと、芸映プロで製作され、松竹で配給された全員集合シリーズ第1作『なにはなくても全員集合!』(67)の実質的主演は三木のり平で、ドリフの面々はそのサブキャラ的な扱いでした。

彼らのコントそのものが銀幕の中で見られるようになるのは、続いて作られた東宝配給作品の『ドリフターズですよ!前進前進また前進』(67)からで、1968年の松竹作品は『やればやれるぜ全員集合』のみ(ちなみにここから加藤茶が大きくクローズアップされていきます)、東宝では4作品を連打します。

しかし1969年、全員集合シリーズ第3作『いい湯だな全員集合!』以降のドリフ映画は松竹配給のみになり、続く『ミヨちゃんのためなら全員集合‼』(69)からはライバルともいえるコント55号主演映画と同時上映の布陣が張られるようになり、『ズンドコズンドコ全員集合‼』(70)から松竹も製作に参加するようになっていきました。



そして第8作『春だドリフだ全員集合‼』(72)からシリーズ最終作(16作)『正義だ味方だ!全員集合』(75)までのドリフ映画は全て『男はつらいよ』シリーズと同時上映で、お盆と正月の全国の映画館を席捲するようになっていったのでした。

(つまりはドリフと寅さんを映画ファンは一緒に、そして一気に見ることができていた!)

ちなみに『大事件だよ全員集合‼』(73)は荒井注の最後のシリーズ出演となり、代わって本作から志村けんが出演するようになっていきます。

さまざまなパターンが
その後の松竹喜劇映画に踏襲



全員集合シリーズそのものにストーリー的繋がりはなく、毎回手を変え品を変えていますが、大体はいかりや長介が権力者のイジメ役で、加藤茶がイジメられ役というパターンが多く見受けられます。

また当初は愚連隊やヤクザなど社会のはみだし者をモチーフにすることが多かったことから、その笑いもブラックではありましたが、「8時だョ!全員集合」人気とともに、次第に毒気は薄れ、ホームコメディ的になっていった感もありました。

毎回マドンナが登場してはふられるというパターンも『男はつらいよ』シリーズをはじめ、その後の松竹喜劇映画に踏襲されていった要にも思えてなりません。

そして今、何よりもこれらのシリーズを見ながらユニークに感じられるのは、製作当時の時代の街並みであったり、風俗であったり、登場するゲスト・スターたちの華やかさでしょう。

クレージーキャッツや小松政夫、コント55号、左とん平、ザ・タイガース、堺正章、萩原健一、天地真理、キャンディーズなどなど懐かしくも初々しい顔ぶれを見ているだけでも同世代的には懐かしく、若い世代には初々しく映えること必至!

何よりもドリフの面々の当時の勢いみたいなものが、テレビ・バラエティとは一味違った魅力として画面から弾けきれています。

今の笑いと異なる部分もあれば、普遍的なものもあれば、と、いろいろな楽しみ方が可能な松竹版ザ・ドリフターズ映画“全員集合‼”シリーズ、この年末年始にぜひお楽しみください!

(文:増當竜也)

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