表現者・庵野秀明「5つの人物像」を考える<庵野秀明展 無事閉幕>
表現者・庵野秀明像2:作品制作へのこだわりが凄まじい
「庵野氏がつくったもの」のパートでは庵野氏が原画マンや監督を務めた作品の原画や画コンテ、企画書、デザイン案、エピソード構成案、脚本などが展示されています。
月並みな表現ですが、こんなにも描き続けたから今の庵野氏があるのか、というほどものすごい量の資料で溢れていました。
どれも共通しているのが、たとえラフ画だとしても、全て丁寧に細かく描写しているということ。
例えば、原画マンを務めた『超時空要塞マクロス』(1982〜1983)では、メカのバーニアやアーマー、胸のデザインなど細かい箇所も鮮明に描いています。
『風の谷のナウシカ』(1984)の巨神兵は、一瞬観ただけでぎょっとするようなダイナミックな原画になっているのが印象的でした。
そして、監督・脚本・画コンテ・原画を務めた『トップをねらえ!』(1988〜1989)の庵野氏が作成した「マシーン兵器参考資料」を見て注目したのは、指示が明確な点です。マシーン兵器の特徴の説明のほか、(実在するキャラクター)〇〇のように仕上げてください、武器はこの長さまで伸びます、など。アニメーターへの指示が具体的なため、作画に関しては素人の筆者でも、そのキャラクターをどんなイメージで描いていけばいいのかが理解できました。
また、監督・企画・原作・脚本・画コンテ・メカ作画監督を務めた『新世紀エヴァンゲリオン』(1995〜1996)でも、エヴァンゲリオンに対するデザイン、ディテールはもちろん、長距離輸送機やネルフ本部発令所、シンジの「スーパー・デジタル・オーディオ・テープ」といった小道具まで多岐にわたる設定の指示を出しています。
作画に任せる、といったスタンスではなく自らが描いて見せることで、より解像度の高い指示を伝えている印象を受けました。それほど、庵野氏の中には明確なイメージが出来上がっていたのだと思います。
こうした展示物を通して、庵野氏の作品に対する愛やこだわりを感じ取りました。
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©️HIDEAKI ANNO EXHIBITION