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2021年12月29日

表現者・庵野秀明「5つの人物像」を考える<庵野秀明展 無事閉幕>

表現者・庵野秀明「5つの人物像」を考える<庵野秀明展 無事閉幕>


表現者・庵野秀明像3:愉快さも備えている


庵野秀明像1、2では庵野氏が作品に対していかに情熱があるかについて書いてきましたが、庵野秀明展で展示されている作画用紙や画コンテの中には思わずクスッと笑ってしまうような愉快な落書きもありました。

例えば、大学時代に制作し、監督・作画を務めた自主制作8ミリフィルムアニメーション「水たまり」(1980)では、自分が描いた画コンテの最後のコマに「またもやつまらん話だナァ…」「その割には手間をくいそう…」というコメントと、恐らく自画像だと思えるイラストを添えていました。

同様のイラストを『DAICON FILM版 帰ってきたウルトラマン』の画コンテの最後のコマにも描いていたことから、アマチュア時代の庵野氏にとって画コンテの最後に自分のイラストを添えることは流行りのひとつだったのかもしれません。

その他、庵野氏が原画マンとして携わった『風の谷のナウシカ』での落書きも印象的でした。



真っ白なレイアウト用紙に大きく「目標 本当に2日で1CUT」「みなさま私の原画はおわりました!」といった落書きのほか、『仮面ライダー』やバイク、女の子のキャラクターなど『風の谷のナウシカ』とは全く関係ないイラストまで描いてあり、庵野氏の愉快な一面が見えた気がします。

そんな庵野氏に対し、「ナウシカ期待の原画マン!!」「あんのさんガンバレ。くじけるな!!」といった激励や「らくがきしている時間があったら1cutでも原画を上げてください」など辛辣なコメントも添えられていて、現場の臨場感や切迫感も伝わってきました。

そして、落書きの中には監督・宮崎駿氏のものもありました。「ねすぎる」「はやくカットあげろ」といったコメントや庵野氏と思われる人物のイラスト、2人の写真まで展示されていたのが印象的です。

作画に対して真摯に向き合う真面目な面だけでなく、愉快な面も備わっているのが表現者・庵野秀明の個性のひとつなんだと思います。

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©️HIDEAKI ANNO EXHIBITION

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