俳優・映画人コラム

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2022年01月19日

<ウィレム・デフォーの魅力>闇と光のカリスマ性

<ウィレム・デフォーの魅力>闇と光のカリスマ性


闇のウィレム・デフォー


『ストリート・オブ・ファイヤー』(C)1984 Universal Studios. All Rights Reserved.

ウィレム・デフォーはヴィランのイメージが強い。そのイメージを決定づけた作品は『ストリート・オブ・ファイヤー』だろう。エレン・エイムの凱旋ライブ。「ノーホエア・ファスト」のメロディが会場を熱く燃え上がらせる中、ストリートギャング「ボンバーズ」が忍び寄る。全身で歌うエレン・エイムを客席の闇からじっと見つめるリーダー・レイヴン。この不気味な表情は一眼で不吉な予感を抱かせる。トム・コーディ一味にボンバーズのアジトが襲撃され、業火に燃える中、レイヴンは大胸筋を強調した独特な姿で現れる。

滑稽なシーンになってしまうところを、リーダーとして堂々とした振る舞いをすることでその場にカリスマ的なオーラが流れる。ヴィランとしての華をみせつけるのだ。自信を持った立ち振る舞いをすることで、ツッコミどころある場面を魅力的にさせる。

また、表情で場の空気を支配できる特徴を活かしてデヴィッド・クローネンバーグ『イグジステンズ』(99)では闇商人ガスを演じている。背骨にバイオポートとよばれる専用器具を取り付けることとなったテッド・パイクルがガスのもとを訪れる。この時のウィレム・デフォーのニヤリとした表情は一目で「ロクなことが起こらない」と思わせる。


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『Death Note/デスノート』では死神リュークの声を演じている。ここでは不気味な笑い声と、グリーン・ゴブリン役で培った悪の甘き香りを匂わせる話し方でライト・ターナーを誘惑している。

このようにウィレム・デフォーは声と表情で登場人物だけでなく、観客の心も闇へと誘うのである

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