国内ドラマ

REGULAR

2022年01月24日

「DCU」第2話レビュー:阿部寛が“黒幕”から“理想の上司”に。複雑な人間関係を物語る、横浜流星の表情にも注目!(※ストーリーネタバレあり)

「DCU」第2話レビュー:阿部寛が“黒幕”から“理想の上司”に。複雑な人間関係を物語る、横浜流星の表情にも注目!(※ストーリーネタバレあり)


>>>「DCU」の画像を全て見る(全7点)

阿部寛主演のTBS系日曜劇場「DCU」が2022年1月16日放映スタートした。

TBS×ハリウッド大手プロダクションの共同制作となる本作は、水中の捜査に特化したスペシャリスト集団「DCU(Deep Crime Unit)」の活躍を描く“ウォーターミステリー”。真実を突き詰めるまで諦めないDCUの隊長・新名正義を阿部寛、新名のバディとなる隊員ダイバー・瀬能を横浜流星が演じる。

本記事では、第2話をcinemas PLUSのドラマライターが紐解いていく。

【関連記事】 <日本沈没ー希望のひとー >最終回までの全話の解説

【関連記事】横浜流星、演技の振れ幅|アクション系からイマドキの若者まで

【関連記事】『護られなかった者たちへ』レビュー:佐藤健が追われ、阿部寛が追う!

「DCU」第1話レビュー



「DCU」第1話の終盤では、主人公の新名(阿部寛)が15年前の海難事故でバディの成合(吉川晃司)に濡れ衣を着せて自身の罪を隠蔽した可能性が浮上。記憶を頼りに瀬能(横浜流星)は当時の報告書を調べるが、新名が成合を殺してまで手にしようとしていた鍵についての記述は残されていなかった。

一方、部下が自分の罪を暴こうとしているにもかかわらず、一切焦る様子がない新名はPTSD(心的外傷後ストレス障害)の症状が出始めている瀬能を潜水業務から外す。このことが、二人の間により深い亀裂を生んだ。

そんな中、北能登の港で変死体が発見される。何らかの凶器で刺殺されたのは、地元漁師の島田(須田邦裕)。彼は密猟者と戦う地元のリーダー的存在で、他の漁師たちは密猟グループの連中に殺されたに違いないと騒ぎ立てていた。



現場となった場所には水産物の研究所を建てる計画があり、ロシアから政府高官が視察に来る5日後までに事件を解決するよう急かされた新名たちは早速捜査に乗り出す。遺体が遺棄された場所を特定するため、被害者の遺留品を探す西野(高橋光臣)、森田(岡崎体育)、大友(有輝)の3人に対し、地元刑事の坂東(梶原善)と共に聞き込み捜査を行う新名と瀬能。その中である人物が容疑者として浮かび上がる。

それは島田の下で技能実習生として働いていたロドリゴ・サンチェス(フェルナンデス直行)。彼は島田が殺された夜に一人で密漁のパトロールを行っていたそうだが、供述には不審な点があった。周辺の海のように波が荒い場所では発光しないはずの夜光虫を見たというのだ。



一方、海の中からは遺体の傷と一致する二本鉤が見つかる。凶器には左利きの人間が握ったと思われる跡がついていた。容疑がかけられているサンチェスも左利きであり、瀬能は坂東と一緒に張り込む。しかし、その中で見たのは溺れた子供を助け出そうと迷いなく海に飛び込んだサンチェスの勇敢な姿だった。

彼に人を殺すことはできない。瀬能がそう思い始めた矢先にサンチェスの家から島田の血痕がついた財布が見つかり、翌日の朝には送検されることが決まった。しかし、新名もまたサンチェスが何かを隠していると疑っており、真実を明らかにしたい瀬能との思いが合致する。

鍵を握るのは、未だ見つかっていない島田のスマホ。サンチェスが送検される時間が刻一刻と迫る中、新名は水中ドローンを使った捜査に長けている森田の腕を信じて海の中をくまなく捜索。ようやく見つかったスマホに残されていたのは、島田が殺される一部始終の音声だった。



犯人は地元の市議会議員を務める岡部(古田敦也)だったことが明らかに。岡部はヤクザと癒着している密漁ブローカーだったのだ。さらに瀬能と調べを進めていた坂東も岡部とグルで、サンチェスを犯人に見せかけるため、島田の血痕がついた財布も凶器も彼が仕込んだものだった。

そんな二人と島田が揉み合っているところを目撃していたにもかかわらず、真実を隠していたサンチェスは新名たちに「私が外国人だからです。本当のことを言っても誰も信じてくれない」と涙ながらに訴える。それでも唯一自分のことを信用してくれていた島田が守り続けたアワビの漁場が盗まれないように、彼は口を噤んでいたのだ。



水陸同時捜査で今回も事件の真相を見事に突き止めたDCUだが、第2話はその中で新名のリーダーとしての素質が垣間見えた回だった。早い段階から坂東に疑いをかけて瀬能に彼と一緒に行動するように指示を出しただけではなく、操作中もさり気なく部下をサポートしていた新名。

自分に自信が持てないでいた森田に得意の水中ドローンを積極的に使わせ、なかなかスマホが見つからず焦っていた彼を落ち着かせようとしていた姿も印象的だった。時間の無駄と森田の努力を一切認めなかった西野と対象的だ。

特にリブリーザー試験に臨む隆子(中村アン)にお守りを渡す新名はどうしても本作の“黒幕”には見えない。むしろメンバー1人ひとりの長所や短所を理解した上で的確なパスを回す“理想の上司”ぶりに、ほうっとため息をついた人も多いのではないか。こんな上司が会社にいたら自然と下の人間が育っていくだろう。

また、そんな新名に不信感を抱く瀬能もやはり魅力的で、個人的な感情に振り回されることなく業務を遂行し、新名を慕っている隆子に本当のことを言わなかったことからも彼の誠実さが伝わってきた。

瀬能の新名に抱く憎しみと尊敬が入り混じった感情や、隆子への憧れとも恋心ともまだ判断がつかない淡い気持ちを表情で語る横浜流星の演技力が、人間関係が複雑に絡み合う本作の一つの支柱となっている。

(文:苫とり子)


【関連記事】 <日本沈没ー希望のひとー >最終回までの全話の解説

【関連記事】横浜流星、演技の振れ幅|アクション系からイマドキの若者まで

【関連記事】『護られなかった者たちへ』レビュー:佐藤健が追われ、阿部寛が追う!

無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。

無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。

(C)TBS

RANKING

SPONSORD

PICK UP!