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映画ビジネスコラム

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2022年02月01日

2021年映画産業分析:『ARASHI 5×20 FILM』と『滝沢歌舞伎』が示した映画館の生き残る道

2021年映画産業分析:『ARASHI 5×20 FILM』と『滝沢歌舞伎』が示した映画館の生き残る道


『ARASHI Anniversary Tour 5×20 FILM “Record of Memories”』©2021 J Storm Inc.

先日、2021年の日本映画産業統計が日本映画製作者連盟(映連)から発表されました。2021年も、2020年から続く新型コロナウイルスの流行状況に振り回された格好となりましたが、希望は微かにでも見えてきたのでしょうか。

結論から言えば「昨年より興収は伸びたが、長いトンネルからまだ抜け出せたとは言えない。そして映画産業の不可逆の構造変化が鮮明になり、映画館も対応していく必要がある。」ということがわかってきました。

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全体では下から2番目、しかし邦画は上から3番目



2021年、全国の映画館の年間興行収入は、1618億円。2020年対比で113%の成績となり、若干の回復傾向が見られます。しかし、2000年以降では過去最低から2番目に低い数字となっており(過去最低は2020年)、苦しい状況が続いています。

コロナ前の2019年の2611億円と比較すると62%の成績であり、いまだに1000億円近くの開きがあります。

不振の最も大きな要因は洋画です。ハリウッド映画メジャーの作品群が公開延期、もしくは公開されずに配信に流れてしまう傾向が続いており、洋画のシェアが20.7%と低迷しています。

それでも回復傾向を維持できたのは邦画の好調です。洋画とは対照的に、邦画は2000年以降で過去3番目に高い成績を記録しており、邦画だけならコロナ前の水準をある程度回復しているといえます。

大ヒットの目安と言われる興収10億円超えの作品は邦画で32本が達成、これは2019年の40本には負けますが、2018年の31本を超える数字であり邦画については問題ない数字とさえ言えるのかもしれません。

しかも、この成績は期待の新作、例えば『シン・ウルトラマン』や『映画ドラえもん のび太の宇宙小戦争 2021』などが公開延期となっての数字なので、これらの作品がもし公開されていれば、もっと伸びていた可能性があります。

しかし、それでも全体で見れば上記の通り厳しい数字。それだけ洋画が欠けた穴が大きいのです。

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