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2021年映画産業分析:『ARASHI 5×20 FILM』と『滝沢歌舞伎』が示した映画館の生き残る道

©2021 J Storm Inc.


洋画の生殺与奪の権は誰が持っているか

上から3番目の好成績だった邦画に対して、洋画はなんと前年比98.7%で2020年を下回ってしまいました。回復どころか悪くなっています。

これは、2020年の中盤から続いている、話題作の公開延期が続いていることが大きいと思われますが、洋画最大手のディズニーと映画館の軋轢も大きな要因になっているでしょう。



2021年3月にディズニーの新作アニメーション映画『ラーヤと龍の王国(以下ラーヤ)』が公開されました。ディズニーは、2020年に本格稼働した配信サービス「ディズニープラス」への注力とコロナ禍が重なったこともあり、事業全体を配信に傾注する動きを見せていました。

例えば2020年には、実写映画『ムーラン』が数度の公開延期から劇場での公開を取りやめ、ディズニープラスで配信されることになりました。



しかし、映画館は延期されてもいずれ上映すると考えていたので、予告編をいっぱい流していました。そのため、映画館は結果的にディズニープラスの宣伝をタダでしていたような状態となり、観客を奪われたと感じていました。同じようなことが「ソウルフル・ワールド」でも起こり、全興連(全国興行生活衛生同業組合連合会)がディズニーと今後の上映について協議されることとなりました。

こじれた結果『ラーヤ』はなんとか劇場公開されたものの、公開規模が縮小されることになりました。3月5日の封切時、約250館で始まりましたが、コロナ前のディズニーの新作なら350から400に近い館数で上映されていたはずです。



ディズニー配給作品は、それ以降もいくつか話題作を公開していますが、思ったような成績が上がっていません。11月の『ミラベルと魔法だらけの家』の際には、約370館で封切を迎えています。しかし、この作品も日本では興行が低迷し10億円を超えていません。

そして、2022年3月に公開を予定していたピクサーの最新作『私ときどきレッサーパンダ(以下レッサーパンダ)』が公開を取りやめ、ディズニープラスで配信されることが決まりました。この作品も映画館で予告編が何度も流されていた作品で、全興連はついにディズニーに、これまでの予告編分のシネアド(スクリーンで流れる広告のこと)分の宣伝広告費を個別に請求する可能性を示唆する抗議文を送るまでの事態になりました。



ディズニーの公開中止および延期の決定は、基本的に米国本社の決定です。日本法人のウォルト・ディズニー・ジャパン独自の決定ではありません。

日本人の我々には、なかなか米国本社に対してアクションを取りづらいという状況があります。実は、洋画系の日本法人はだいたいどこも同じような状態で、米国本社の意向で決まります。

とりわけ、昨今は映画会社の大型買収があり、寡占が進んでいます。ただでさえアメリカの会社のことなので、日本からはどうすることもできない状況になってきています。


アニメ「鬼滅の刃」21話より ©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

いわば、洋画に関しては生殺与奪の権を、海の向こうに握られている状況と言えるでしょう。冨岡義勇さんに怒られそうです。

配信サイトはローカルによってIP制限をしているので、世界一斉に配信する必要はないし、実際にどこの配信サイトも地域ごとに権利の保有状況が異なるので、制限をかけながらやっています。

それに、ディズニープラスのサービス圏外の国では『レッサーパンダ』は劇場公開するそうですし、ならば、映画館が機能している日本も劇場公開してもいいのではないでしょうか。洋画各社には、それぞれの国のニーズに沿った柔軟な対応を期待したいです。

そのために日本人の観客としてできることは、ニーズがあるということを示す、つまり映画館に観に行くことを続けるしかないでしょう。

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