圧倒的に<新しい有村架純>:『前科者』でアップデートされた没入感
映画・ドラマ「前科者」から推し測る、有村架純の尋常じゃない“没入感”
「ビッグコミックオリジナル」にて2018年1月より連載中の「前科者」。
原作をベースとした物語がWOWOWオリジナル放送された連続ドラマ「前科者 -新米保護司・阿川佳代-」として、オリジナルストーリーであるドラマの3年後が描かれた物語が映画『前科者』として実写化された。
(C)2021 香川まさひと・月島冬二・小学館/映画「前科者」製作委員会
映画『前科者』はドラマを観なくても充分楽しめる内容になっている。
それでも、阿川佳代(有村架純)にとっての初めての保護観察対象者であり今では親友でもある斉藤みどり(石橋静河)や、保護司として奮闘する佳代を見守る保護観察官の上司・高松直治(北村有起哉)と佳代がアルバイトをしているコンビニの店長・ 松山友樹(宇野祥平)との関係性を知っておいた方がより入り込めるとは思う。
WOWOWオンデマンド、Amazon Prime Videoにて配信されているので、ぜひチェックしてみてほしい。
ドラマは、全6話で1話30分ほど。新米保護司・阿川佳代が、3人の前科者ーー斉藤みどり(石橋静河)、石川二朗(大東駿介)、田村多実子(古川琴音)ーーとともに成長する姿が描かれている。
(C)2021 香川まさひと・月島冬二・小学館/映画「前科者」製作委員会
映画『前科者』ではその3年後が描かれる。保護司として元受刑者に対して自身の生活もなにもかも放り投げ全力で向き合う姿は変わらず、相手を思った上での厳しさを持ち逞しくなった阿川佳代の姿が印象的だ。
1つだけ注意しておきたいのは、映画『前科者』を「WOWOWやアマプラで配信されてるドラマの映画版ね〜」くらいの軽い気持ちで観ない方がいいということ。さもないと、想像を絶する虚無感に襲われて鑑賞後もずるずると引きずることになってしまう。
まぁ、この覚悟をしたうえで観てもこのザマだったので、申し訳ないが抜け道はない。
(C)2021 香川まさひと・月島冬二・小学館/映画「前科者」製作委員会
過酷すぎる運命を辿ってきた工藤誠(森田剛)、実(若葉竜也)、滝本真司(磯村勇斗)、そして有村架純演じる阿川佳代に傾注しすぎてしまい、涙でスクリーンが霞むほどに、手が震えてしまうほどに心苦しくなってしまうのだ。
それも、この言うまでもない実力派キャストが揃っているのだから尚更である。
映画『前科者』を通して、有村架純が阿川佳代に、いや阿川佳代が有村架純に取り憑いたようにその姿を体現していて、あらゆるシーンで彼女の感情に没入してしまった。
これは、有村架純自身がその役に没入していることが大前提であり、そのパワーにぐいぐいと引き込まれまるでノンフィクションかのような錯覚をも起こす“不思議体験”だ。
見れば見るほどに良い、スルメのようなうまみを持つ演技力
(C)2017「ナラタージュ」製作委員会
有村架純のお芝居は、どの作品のどんな役においても安心して見ていられるのが特徴だ。
ドラマであれば初回より2話、3話というように、見れば見るほどに良くなっていく、スルメのようなうまみを持っている。
10代で初々しいデビューを飾った有村架純も間もなく30代に突入。
女優としてますます脂が乗ってくるこの時期に、初の大河ドラマへの出演も控えている。
これはもう間違いなく、新垣結衣や長澤まさみ、戸田恵梨香、石原さとみなどに続く黄金世代女優への仲間入りを果たす切符となるだろう。
彼女のさらなる活躍を、テレビの前で、スクリーンの前で全力待機して迎え入れたい。
(文:桐本絵梨花)
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