2022年02月04日

『大怪獣のあとしまつ』土屋太鳳インタビュー「この作品を見たらみんな、アラタを好きになる」

『大怪獣のあとしまつ』土屋太鳳インタビュー「この作品を見たらみんな、アラタを好きになる」


三木監督のこだわりを感じる、独特な”セリフの間”と”テンポ感”

——コミカルさとリアルさのコントラストが鮮やかで、三木聡監督らしさが炸裂した映画になっていますね。三木監督とご一緒した感想を聞かせてください。

土屋:三木監督は、セリフの間や軽快なテンポ感をとても大事にされる方なんです。監督が手がけられた「シティボーイズ」を自宅で見ながら、その”独特のテンポ感”を理解しようと努力して、撮影現場に臨みました。

——撮影の合間で印象的なやりとりはありましたか?

土屋:監督のメガネって、耳にかける部分からセリフが聞こえるようになってるんですよ。「僕のメガネ、イヤホンが付いてるんだよ〜」って教えてもらって。まさに特撮ガジェットみたいで、感動しましたね。「老眼鏡にもなってるんだ〜」って自慢されている様子がかわいらしくて、ほっこりしました。

三木監督は、演技や作品づくりに対して厳しい方ではあるんですけど、そういったお茶目な面もある方なんです。緊張感とともに、安心感も現場で感じられました。


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——三木監督の奥様である、ふせえりさんとの共演シーンも多かったですね。

土屋:仕事を通じて関係を深めるお二人の様子が、まさにアラタとユキノみたいだなと思いました。

ふせさんとは、朝ドラ「まれ」(2015)で共演させてもらっていますが、当時とはまったく雰囲気が違うお芝居をされていて、とにかく笑いをこらえっぱなしでした。ふせさん演じる環境大臣に「クレバーなあなたならわかるでしょ?」と言われるシーンがあるんですが、その「クレバー」の言い方も面白くって。

尊敬する皆さんと一緒の現場だったので、変に自分を飾らなくてもいいんだと思えるようになりました。思わず「ちゃんとした作品になるんだろうか?」と思ってしまうくらい、皆さんがワタワタするシーンもあるんですけど。

——たとえば、どのシーンですか?

土屋:西田敏行さん演じる総理大臣をはじめ、各大臣が集まって大怪獣の死体処理について話し合うシーンです。軽快なやりとりの中に、「実際にこういう方々もいそうだな」と思えるリアリティもあって。改めて皆さんのバランス感覚を尊敬しました。


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見た全員が好きになるヒーロー像

——主演の山田さんとは「スクール革命!」(日テレ)などのバラエティ番組では共演されていますが、映画での共演は初めてですね。印象の違いはありましたか?

土屋:バラエティでも演技の場でも変わらず、立ち振る舞いが穏やかで、とても素敵な方です。座長として作品全体を引っ張っていくのは難しいことだと思いますが、山田さんの存在自体が現場を柔らかくしていて、自然と「この人についていこう」と思えました。


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——バラエティの現場でのギャップは感じましたか?

土屋:バラエティでも映画でも、それぞれの現場での立居振る舞いを心得ていらっしゃるんだと思います。カットの前後で人柄がガラッと変わることもないですし、日常の中に本番がある方。本作の撮影現場でもユキノとして現場に立てる、自然な呼吸を作ってくださいました。

山田さん演じるアラタは、彼がその場にいることによって、周りの人が大切なものを思い出せる存在なんです。きっとこの作品を見た方は皆さん、アラタを好きになると思います。


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——大怪獣の様子も含め、ほとんどがグリーンバックでの撮影ですよね。山田さんも土屋さんもご経験が深いとはいえ、演技をするのが難しいシーンも多かったのではないでしょうか?

土屋:人生で初めてグリーンバックでの撮影を経験したとき、演技指導の方に「大袈裟に(演技を)しないと、映像の力に負けちゃうよ」と言われたのを思い出しました。ご指導いただいた方への恩返しのつもりで演じましたね。その気持ちが映像にも表れていればいいなと思います。


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——まるで目の前に本当に大怪獣が寝そべっているようなリアルさを感じました。

土屋:私自身も、仕上がった映像を見て「なんじゃこりゃ!」と驚きました。大怪獣のリアルさ、生々しさが、観客の皆さまにも伝わればいいなと思います。この作品は、思わずクスッと笑えてしまう要素があるからこそ、リアリティを感じる作品になっているはず。その空気感も含めて、ぜひ楽しんでいただきたいです。

(スタイリスト:津野真吾(impiger) 、ヘアメイク:石川ユウキ(Three PEACE)、撮影:小山志麻、取材・文:北村有)
<衣装協力>Creat Clair、ma chere Cosette?

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(C)2022「大怪獣のあとしまつ」製作委員会

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