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<考察>『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』このスペクタクルはハリウッド超え!?
<考察>『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』このスペクタクルはハリウッド超え!?
小さなガムと大きなサッカーボールの華麗な応用例
■ジェームズ・ボンドも驚く、粘着質なサッカーボール出力機とは?
名探偵コナンといえば、ジェームズ・ボンドも驚くであろうガジェットの扱いだろう。本シリーズにおけるサッカーボールの使い方は魅力的であり、どのような危機を止めるスーパーショットを魅せてくれるのか気になるものがある。
『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』では手榴弾を止めるだけでなく、ハリウッド超大作も驚愕の修羅場をせき止める存在として、サッカーボールが使われている。
正体を現したプラーミャを制圧したコナン。しかし、ハロウィンの渋谷に危機は残る。スクランブル交差点に向かって、恍惚と光る粘着質の液体がジワジワと押し寄せる。ピンクの液体とブルーの液体が接触すると大爆発し、街は壊滅してしまう。時間はもう残されていない。
それを止めるのに、阿笠博士が発明した巨大化するサッカーボールを使用するのだ。スクランブル交差点の中心に、コナンたちが集まる。少年探偵団が四散駆け出し、紐をくくりつけようとする。コナンがスイッチを押すとサッカーボールがどんどん膨らむ。粘着質に、ビルに張り付き、余す空間に向かって広がっていくのだ。
■チームワークを引き出す粘着質な物体たち
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このシーンにおけるサッカーボールは、殉職した松田の技術の継承を象徴している。松田はプラーミャが遠隔で爆弾を起動させピンチとなる。絶体絶命の状況で口に入れていたガムを、起爆剤の合流地点にねじ込むことで切り抜ける。渋谷の街での危機はスクランブル交差点が巨大な爆弾となっている。それを粘着質なサッカーボールで止めるのだ、ミクロな爆破阻止をマクロな爆破阻止に応用していくプロセスが華麗である。
また、巨大な渋谷爆弾を止めるにはより困難がつきまとう。粘着質な起爆剤が少年探偵団の足を侵食する。小さな身体では、粘り気ある流体に耐えることができない。そんな少年探偵団を、警察や共闘することとなるロシア人部隊ナーダ・ウニチトージティが力を貸す。
一貫してプロフェッショナルたちによるチームワークの物語に着地させていくところが鮮やかである。
この作劇上のスペクタクル。作劇を意識したことにより「コナンは松田のガムの件をどこで知ったのか?」といった疑問が出てくるであろう。本作は、この疑問にも真摯に対応している。
コナンは昔、破裂した水道管と対峙したとのこと。完全に身動きが取れず、チェックメイトとなった時に通りかかった者に野球ボールを突っ込み回避する方法を伝授してもらっているのだ。プロフェッショナルとは過去をノウハウとして蓄積し、新たな問題に対し応用していく存在だ。
江戸川コナンは、球状の物体を使った解決法を今回の事件に応用して解決させたといえよう。
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(C)2022 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会