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2022年04月19日

「吉祥寺ルーザーズ」第2話レビュー:ルーザーたちの共同生活で、ルールよりも大切なもの(※ストーリーネタバレあり)

「吉祥寺ルーザーズ」第2話レビュー:ルーザーたちの共同生活で、ルールよりも大切なもの(※ストーリーネタバレあり)

ⓒ「吉祥寺ルーザーズ」製作委員会

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秋元康が企画・原作を務める増田貴久主演ドラマ「吉祥寺ルーザーズ」が2022年4月11日にスタートした。

共演に田中みな実、片桐仁らを迎え、“人生の負け組=ルーザー”6人がシェアハウスで一緒に暮らす日々を描いたシチュエーションコメディドラマ。

本記事では、第2話をcinemas PLUSのドラマライターが紐解いていく。

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「吉祥寺ルーザーズ」第2話レビュー

共同生活がスタートしてから6日が経過。

クセの強い人ばかりが集まっているうえに、それぞれが勝手に生活するせいで、早くも歪みが生じていた。朝から洗面所の争奪戦、洗濯機の奪い合い、冷蔵庫の中身が勝手になくなる、トイレの使い方、夜中の騒音……など。

当たり前だが、生活習慣はそれまでの生活の蓄積だから、100人いれば100通りになるだろう。

聡(増田貴久)が桜(田中みな実)からジャムを拝借しようとして起きた些細な意見の相違も、筆者としてはあながちわからなくもなかった。パンくずがついたスプーンを瓶の中に突っ込まれるのは、たしかに嫌だ。さすがに雑菌の温床になる、と思ったことはなかったが。

でも、桜は自分が神経質だという自覚があるだけましなんじゃないか。「そういう人がいるんだって知っていてほしい」。これは集団生活でなくても大事な想像力なんじゃないかと思う。

ⓒ「吉祥寺ルーザーズ」製作委員会

桜の発案により、リビングに全員集合してルールを決めることに。ところが、相手の気になるところを言い合う格好になってしまい、まずは池上(國村隼)がキレる。「温和な池上さんが、まるで『アウトレイジ』だ」という表現、妙にツボだった。

そんな聡は、本音を言い合うのはよくない、とみんなをたしなめる。しかし、「わたしは強いから、本音を言ってごらん」と桜。このときソファに座りながら、足元はしっかりつま先立ちになっている桜の美意識にはあっぱれだった。だからこそ、聡に言われた「意外とモテないんじゃ……」という言葉が聞き捨てならなかったのだろう。

自分がいかに女として非の打ち所がないか言い連ねる桜。女性ファッション誌の編集長として、どんなにアンテナを張り巡らせ、自身の身なりを整え、昼夜を問わず仕事に没頭していたかをまくしたてる。さすが元アナウンサー、こんなに興奮してしゃべっている演技なのに、何を言っているかちゃんとわかる。

桜が努力の人であることはよくわかった、それゆえプライドが高くなってしまっていることも。もうちょっと楽になろうぜ、と思わず声をかけてあげたくなった。

話し合いはまとまらぬ中、オーナーから荷物が届く。ルーザーたちがルールを守るためには、秘密を担保にし、ルールを破ったらそれが暴かれるという仕組みを導入すべしといった内容の手紙が同封されていた。どこかで監視でもしているような内容だ。

ⓒ「吉祥寺ルーザーズ」製作委員会

聡はこれに乗り、みんなにも秘密を紙に書くように促す。もしもこの場にいたら、自分だったらどんな秘密を書くだろうかと考えてしまった。誰にも知られたくない秘密……それぞれのキャラクターたちは、一体どんなことを書いたんだろう。

守るべきルールを、まずはひとつだけ導入することに。そこへ、池上が「日曜の夜だけはみんなでご飯を食べる」というルールを挙げた。もしやこの人は寂しいのだろうか……?

時間に縛られたくない、と半数が反対する中、運命の日曜日がやってきた。

それぞれが用意するメニューに、個性が出る。聡は唐揚げ、池上は親子丼、桜はサバの味噌煮……。約束の時間には3人しかそろわない。
30分が経過。しびれを切らした桜が、秘密を書いた紙を入れたアボカドの置物を割ろうとしたとき、ようやく残りの3人がやってくる。
翠(濱田マリ)はお惣菜、幡太(片桐仁)はファストフード、舞(田島芽瑠)はウーバーイーツだった。

そして桜、聡に専用のジャムをプレゼントする。なんだかちょっとずつ思いやりが芽生えてきたのでは? と思える、いい食卓だった(そのあとがちゃがちゃもめてたけど)。

思いやり――。共同生活をするうえで必要なのは、細かいルールではなく、“相手への思いやり”ではないだろうか。思いやりがあれば、相手がしてほしいこと、されたら嫌なことを考える想像力が伴うはず。

そのためにはまず、相手の人柄を知ることが必要だし、週に1回食事を共にするというのはいいきっかけになりそうだ。ルーザーたちが共同生活の中でどんな変化を遂げていくのかが楽しみになってきた。

(文:あまのさき)


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