インタビュー

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2022年04月24日

365日1日1作品の配信サービス「JAIHO」、ローンチから約1年で培われたシネフィル向けの魅力とは

365日1日1作品の配信サービス「JAIHO」、ローンチから約1年で培われたシネフィル向けの魅力とは


JAIHO(ジャイホー)という配信サービスをご存じだろうか。NetflixやAmazonプライムなどと同様の定額制(月額770円・税込)のビデオ・オンデマンド・サービスであり、映画祭で高く評価された知る人ぞ知る名作や、人気俳優の出世作など、 厳選された世界中の映画を観ることができる。

ここでは、「365日1日1作品配信」をはじめとした特徴や注目の作品などを伺った、JAIHOの宣伝担当者である徳嶋万里子さんへのインタビューをお届けする。

JAIHOならではの「プレミア作品」の配信

――サービスを開始したきっかけを教えてください。

徳嶋万里子(以下、徳嶋):まず、JAIHOは配給会社ツインのグループ会社である、株式会社JAIHOが運営する映画配信サービスです。コロナ禍の初め、1回目の緊急事態宣言の時に全国の映画館が完全に閉まってしまい、配給業務に関しては、何もかもがなくなってしまいました。これを機に、新規事業を考えてみようとしたんです。実現するかどうかは別として、アニメ事業をやってみたいとか、ざっくりとした感じの話し合いではあったのですが、そこで社長から映画配信サービスをやってみようというアイデアが出て、スタートしました。

――2021年6月のローンチからもうすぐ1年となりますが、反響はいかがでしょうか。

徳嶋:弊社としても初めてのことであり、常に試行錯誤かつ勉強の日々ではあるのですが、少しずつ皆様に浸透していっている印象はあります。JAIHOを立ち上げた当初は365日毎日1作品配信され、どの作品も配信期間は30日間というサービスでした。今年の2月からリニューアルをして、30日間配信の作品だけでなく、60日間配信の作品や、配信期間に制限のない常時配信の作品が増え、より長い期間映画を楽しんでいただけるようになりました。また、機能面でも映画を鑑賞中に一旦映像を止めて離席してもその位置から再生できるレジューム機能を4月30日(土)より開始予定です。

――ラインアップの中には「プレミア作品」というものがありますが、これはどういったものでしょうか。また独自の魅力がありましたら教えてください。

徳嶋:JAIHOは他の配信サービスと異なり、映画祭などでは上映され高く評価されたものの、まだ日本で一度も劇場公開がされていない、配信もしてない作品も提供しており、それらを「プレミア作品」と呼んでいます。配信中の作品の半分以上は、プレミア作品と初配信(プレミアと定額制配信サービスでの配信が初)作品が占めています。

また、1日1作品、365日毎日配信していて、1日新しい作品が入って、1作が配信終了となることも、他の配信サービスにはない魅力です。「今日はどんな作品が配信されるんだろう」という楽しみがありますから。また「このタイミングでこの作品を配信する」工夫もしていて、たとえばブルース・リーの命日に『ドラゴン怒りの鉄拳 4Kマスター版』を配信したこともあります。編成チームが日々、俳優の誕生日であるとか、当時公開した年から何周年であるとか、色々と映画史における大きな出来事と合わせるなどして、「なぜ今日、この作品を配信するのか?」という理由づけをしています。

――30日、あるいは60日間も「あえて」の限定的だからこその価値を盛り込もうとしているのでしょうか。

徳嶋:限定的価値というのもありますが、配信する日やタイミングに意味を持たせ、その日・その時期に観ていただくことで、映画そのものだけでなく、映画的なイベントも含めて楽しんで頂けたらと思っています。また、いまは30日間/60日間配信の作品に加え、常時観られるプレミア作品も増えています。

「隠れた名作を見つけたい」という気概

――メジャーな作品ではなく、国際的に高い評価を得た知る人ぞ知る名作が多くラインアップされている印象も強いですね。

徳嶋:シネフィルの方にマッチする配信サービスにはなっていると思います。大手配信サービスではオリジナル作品を作られていて、面白い作品が沢山あると思います。ただ、映画祭で上映された受賞作が話題を集めても、日本で観られないケースが多くあり、そういった作品を心待ちにする日本の映画ファンがいることは事実です。シネフィルが興味を持つものを配信してみよう、掘り出し物を見つけて配信していこうという気概がJAIHOにはあります。

――俳優や監督の名前で検索できるサービスは他社にもありますが、ライブラリが国別にカテゴライズされているのも良いと思いました。

徳嶋:ジャンルを問わず、世界中の多様な映画をなるべく配信したいという思いでいます。東欧もあれば、ぜんぜん違う東南アジアの映画もある。国際性と多様性を意識し、なるべく偏らないように、いろいろな国の映画を配信できるようにはしています。

――シネフィルとの相性も良さそうな、読み応えのあるコラムも掲載されていますね。

徳嶋:他の国にはない、日本の観客の映画を観るスタイルとして、パンフレットの文化がありますよね。映画配信サービスでありながら、観た後にその映画をより理解できるようなコンテンツがあれば良いと考え、掲載しています。

宣伝担当に聞く!おすすめ作品

――現在のJAIHOにおける、おすすめの映画を教えてください。

徳嶋:まずは、フランスの2018年のドキュメンタリー映画の『宝島』です。



ギヨーム・ブラック監督は、ヌーヴェル・ヴァーグを継承する新しい才能といわれる監督です。フランス郊外のレジャー施設を訪れた人々をひたすらに撮るという内容なのですが、『ドライブ・マイ・カー』の濱口竜介監督が「ドキュメンタリーとフィクションの境界性がわからない映画」と、『きみの鳥はうたえる』の三宅唱監督が「この10年の中でもっとも好きな映画」などと絶賛されています。ドキュメンタリーなのに、これはどうやって撮っているんだろとていうシーンがいっぱいあるんです。4月30日(土)配信終了予定ですので、お早めにご覧になってください。

<『宝島』配信情報ページ>

2018年のルーマニア・チェコ・ドイツ・ブルガリア・フランス合作の『野蛮人として歴史に名を残しても構わない』もありますね。



4月23日(土)より劇場公開の『アンラッキー・セックスまたはイカれたポルノ 監督〈自己検閲〉版』のラドゥ・ジューデ監督作であり、第二次世界大戦時のルーマニアが舞台、最高指導者が「野蛮人として歴史に名を残しても構わない」と発言したことがタイトルの元になっています。かつてオデッサでルーマニア軍によるユダヤ人の大量虐殺が行われていました。女性のジャーナリストが、その時の大量虐殺を劇として大勢の前で再現するということを、ドキュメンタリータッチに捉えていく内容です。配信は6月14日(火)までとなっています。

<『野蛮人として歴史に名を残しても構わない』配信情報ページ>

他には、2011年の韓国映画『私が、生きる理由』もあります。



メガ・ヒット作を生み、日本にも韓流ブームが上陸した 2000 年代の韓国映画を特集する「ミレニアム・コリア特集」を今年の2月から組んでいて、その最後の作品として配信しました。主人公の女性の誕生日に、自動車事故で婚約者が死んでしまい、その死を乗り越えていく様を描いています。ドラマ『秋の童話』や『太陽の末裔』のソン・ヘギョの出世作でもありますね。こちらは5月10日(火)までの配信です。

<『私が、生きる理由』配信情報ページ>

また、『憂鬱な楽園』、『黒衣の刺客』を含むホオ・シャオシェン特集も配信中です。今後も有名監督の特集を組んでいく予定があります。

――これからのJAIHOの展望を教えてください。

徳嶋:JAIHOの利用者は、20代30代の方が増えてきています。昔の名作をまだ観ていない方が、観てみたいと思ってもソフトが出ていない、他の配信サービスでも配信されていない、だからJAIHOに加入して観ていただいているというユーザーが多いです。今後も、昔の名作も含めて編成を考えていきたいです。

また、今年から新たに劇場配給業務にもチャレンジしていて、4月23日(土)に『アンラッキー・セックスまたはイカれたポルノ 監督〈自己検閲〉版』、6月10日(金)に『ストーリー・オブ・フィルム 111の映画旅行』が公開されます。こちらにも、ぜひ注目してください。

*****

JAIHOは月額770円(税込)でサービスを提供中、2週間の無料体験も実施されている。PC、スマホ、タブレットに加えFire TV(注)にも対応しているので、自身に合ったスタイルで楽しんでほしい。

(注)PC、スマホ、タブレットはブラウザ視聴となります。アプリはございません。

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